かつての「マツダ地獄」を払拭!? 変わるマツダの高級路線化は本当に良いのか?
国産自動車メーカーのなかで独自路線を歩むマツダがいま、大変革の真っ只中にある。
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以前から玄人好みの真摯なモノづくりやロータリーエンジンなど、その独自性が評価されてきたマツダだが、いっぽうで「マツダ地獄」という言葉があるとおり、一般にはなかなかその独自のブランドイメージが浸透しきれていない側面もあった。
そうしたなかで、マツダはプレミアムシフトを推し進めている。その象徴がマツダ3や発売直後のCX-30といった新世代モデルたちといえる。
自動車ジャーナリストを含む多くのプロたちが、「特にここ最近のマツダ車の走りはすばらしい」と口をそろえて絶賛している。
果たしてその評価は本当だろうか。そして、本当だとしたらそれだけ高い評価の理由は何か? 最新モデルから解説する。
文:松田秀士
写真:編集部
ベストカー 2019年11月10日号
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高級路線に邁進!? それでマツダ独自の走りは本当に味わえるのか
現行型のロードスター。変革期にあるマツダにおいて、「マツダでないと味わえない楽しさ」があるか否かを示す象徴的なモデルといえよう
魂動デザインに代表されるマツダのプレミアムシフト。今、マツダ車はかつてなかったほどの変革の真っただなかにいる。
「ZOOM ZOOM」、「Be a Driver」というキャッチは、走る楽しさ、気持ちよさを訴求したもの。では、その走りの楽しさや気持ちよさはどのように進化してきたのだろうか?
また、そこにはマツダ独自の、マツダでないと味わえない楽しさ気持ちよさ、があるのだろうか?
例えばロードスター。1989年にデビューした初代ユーノスロードスター(NA型)時代から現行モデルのND型まで、サスペンション型式はF1マシンと同じ前後ダブルウィッシュボーン式、ステアリング系タイロッドは前引き式、とスポーツモデルとして理想とされる形式を継続している。
例えば、サスペンション型式ならエンジンを搭載してスペースのないフロントは、スポーツカーでもストラット式を採用するメーカーもある。
しかし、前後の動的ロール軸コントロールを理想に近づけるには、アッパーアーム(サスペンション上部のアーム)とロワアーム(同じく下部のアーム)の上下2本のアームが必要(ストラット式はロワアーム1本のみ)なのだ。
(編注1:サスペンションのアッパー/ロアアームは、タイヤの接地面を均一に維持するために重要な役割を担う)
さらに、「ステアリング系タイロッド前引き」とは、フロントタイヤのトーアウト変化を阻害せず、狙ったコーナリングラインを安定してトレースするための基本的なレイアウト。
(編注2:トーアウトとは、車を正面から見た際、タイヤがハの字に開いている状態。一般的にトーインに対し、曲がりやすいといわれる)
コンパクトで安価なロードスターながら、各種のレイアウトはスーパースポーツと変わらない装備が奢られている。
「ひと声数十万円引き」と揶揄されたあの時代でも、常に技術革新に燃える広島のモノ作りメーカーだったことが窺がえるのは、ロータリーエンジンをはじめ妥協しない技術への向上心だろう。
走りへの技術革新のなかで、今マツダが新しい扉を開き始めていると感じている。
マツダ3は安い足回りになった? その狙いとは
2019年5月に発売され、日本での販売名をアクセラから改めた新型マツダ3。足回りは一般的にはより安価な形式となったが、果たしてその意味とは?
そのことを顕著に現わしているのが、マツダ3やもうすぐ販売されるCX-30だ。
マツダ3の先代はアクセラだった。アクセラのサスペンション型式は、フロント:ストラット/リア:マルチリンク式。
マルチリンクは、ダブルウィッシュボーンの進化系で独立懸架だ。それがマツダ3では左右が繋がったリジットアクスルのトーションビーム式に変更されている。
トーションビーム式はマルチリンク式に比べて部品点数も少なく安価。軽自動車などコンパクトモデルはほとんどがこのサスペンション型式だ。ついにマツダ3では製造コストの低減にシフトしたのか? とスペックを見た時は想定した。
しかし、乗ってみて驚いた。アクセラ以上にサスペンションのストローク感があり、しかもその動きが素晴らしくマネジメントされている。コーナリング性能もハンドリングも、そして乗り心地も大きくアクセラを上回っていたのだ。
その技術的なことを細かく書くと、あまりにマニアックかつ膨大な情報量になるので割愛するが、フロント・ストラット/リア・トーションビーム式でも4輪独立懸架以上の性能を出せることを証明したのだ。ただし、これは前輪駆動車(FF)での話だ。
さらに、走行中の静粛性。おそらくこのクラスではダントツに静かだ。
これまでのマツダ車の欠点はロードノイズが大きなことだった。試乗会ごとに苦言を呈してきた。「もうちょっと待っててください」と言う技術陣の顔はなぜか明るかった。
「減衰節」演歌のタイトルではない、静粛性を達成するために発生減となる車体の振動を熱エネルギーに変換して鎮める新技術。
もちろん、これだけで静かになっているとは思えないが、ノイズが小さければエンジン音などスポーティなお膳立てにはポジティブ。音響にもフォローだ。
足回りで浮いたコストは別の部分に!? ローコスト化の意味と新型FRへの期待
2019年10月24日にいよいよ発売されたCX-30。マツダ3をクロスオーバー化したような車格で、今後のマツダの屋台骨を支える車種として期待されている
サスペンション型式のローコスト化で浮いたぶんを、細かな制御やプレミアム性の向上に回し、さらにハンドリングの精緻な制御にこれまで以上にお金をかけている。
4輪独立懸架や電子制御の減衰ダンパーを使わずとも、その乗り心地とサスペンションの制御は相当なレベル。ややエンジンがプアに感じるけれども、それはシャシー性能が大きく進化したからだ。
同じことがこのあと発売されるCX-30にもいえる。こちらはドイツ・アウトバーンで180km/hオーバーでも直進性がバツグンで、風切り音を含む室内静粛性も高い。
さらに2020年にはマツダ初の電気自動車・バッテリーEVが登場するが、こちらの走りがまたスバラシイ仕上がり。
今後出てくると予想される後輪駆動の新型車はどのような仕上がりなのか? 期待せずにはいられない。
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