集合管なしのZ2など考えられないという楠先生。だが、上京前の投稿時代、Z2+集合管についてふたつのジレンマを抱えていた。
©楠みちはる/講談社 ※全ての写真及び記事の無断転載を硬く禁じます。
第7回「Z2+集合管のジレンマ」
「集合管を付けると車検は通らないし、走っていればパトカーや白バイに止められ整備不良で注意、もしくはキップを切られる。一番キツかったのは『キップは切らないからノーマルに戻して署まで持って来い』でしたね。時間と手間を考えるとコレはキツい」。
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本音で言えば、黙ってキップを切ってくれた方がありがたかったが、そう何度も整備不良で止められているわけにもいかない。
「CBとかZ2に乗っていれば、それなりに運転も上手くなるし、ヤンチャにもなります。警察を見たら逃げるという感じに。すれ違いや白バイの追尾は注意していれば大丈夫。問題は信号なんかで止まっている時。いきなり横から出てくるパターン。
そこで大事なのは一瞬の方向転換、アクセル・ターンです。アクセル・ターンは練習しましたねえ。きっちり180度回すとタイヤも減るしコケる確率も高い。ポイントは90度です。90度回せば方向は変えられる。セパハンをやめて、ノーマルハンドルに戻したのもアクセル・ターンのしやすさでしたね」。
「そんな大好きだったZ2+集合管に大きな弱点があったんです。それは集合管の持つ子供っぽさ。レーシングアイテムなのに、お兄ちゃんの改造車レベルから出られなかったんです。20歳を過ぎて集合管は(当時)ちょっと恥ずかしくなり、走る場所も阪神環状や南港から、人のいない山道やツーリングに変っていきました。ツーリング先でも目立たない場所に止めるようになって行きましたね。
子供っぽいけど、やっぱりカッコいい。人前に出るのは恥ずかしくなったけど、誰もいない場所で1対1でZ2と向き合うとホレボレしましたね」。
そんな大好きなZ2とも別離の日がやってくる。投稿作品が賞を取り、ついに漫画家としてデビューが決まった。本気で漫画家になるため、すべてを処分して、楠青年は上京するのだ。
(以下、第8回「今日からプロの漫画家だ」をお楽しみに!)
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