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業界ニュース 2019.11.1

【ヒットの法則42】レンジローバースポーツはオフロードも走れるスポーツカーだった

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2005年、ランドローバーの5番目のモデルとして登場した「レンジローバースポーツ」。今ではレンジローバーブランドの「スポーツトゥアラー」として高い人気を誇るが、デビュー当時はどのように受け入れられていたのか、スペインで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年7月号より)

SUVメーカーとして絶大な信頼を誇るランドローバーの新作
つい10年前まで、レンジローバーにとって代わるクルマなど存在していなかった。それまでは「レンジローバー対凡百のオフロード4輪駆動車」という構図だったのだが、その後にレンジローバーを軸とする「プレミアムSUV」というジャンルが生まれた。BMW X5、フォルクスワーゲン トゥアレグ、ポルシェ カイエン、ボルボXC90など。アメリカならば、ここにキャデラック エスカレードとリンカーン ナビゲーターなども加わるだろう。

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その中でも、とくにポルシェ カイエンの成功は、ランドローバー首脳陣をいたく刺激したのではないか。だが、いくらポルシェやBMWが優れたSUVを作り上げたとはいっても、ランドローバーのブランドイメージには敵わないはずだ、と思う。ランドローバーは半世紀以上もの昔からオフロード4輪駆動車だけを作り続け、独自のポジションを築きあげていた。「レンジローバー」を送り出してからも30年以上も経つ。そして、ポルシェやBMWはSUVを作ったが、ランドローバーはSUVしか作らないのだから。その企業姿勢の一貫性は、ユーザーに対して絶大なる信頼感をもたらすはずだ。その信頼感は、優れたブランドイメージに直結する。

「確かに、ランドローバーには強いブランドイメージがあります。でも、世の中には、まだランドローバーのことを知らない人がいますし、ランドローバーを知っていても、レンジローバーやディスカバリーを知らない人もいます。我々は、楽観的ではいられません」と、ランドローバー社のマネージングダイレクター、マシュー・テイラー氏は、慎重な姿勢を崩さない。

そしてレンジローバーのブランドマネージャー、フィンバー・マックフォール氏はこう説明する。「レンジローバースポーツは、新しいタイプのランドローバーです。今まで、ランドローバーを考えたことのない人にアピールしたい。具体的には、注目されることを躊躇しない人や、自分のクルマに自分の成功を映し込みたい人。レンジローバースポーツによって、よりスポーティなイメージをランドローバーに与えることも大きな目標のひとつです」

幅広いユーザーにアピールできる価値
では、レンジローバースポーツとは、どんなクルマなのだろうか。レンジローバーのボディ寸法とホイールベースを縮め、ランドローバー史上最強(390ps)のスーパーチャージャー付き4.2L V8エンジンを搭載する。他に、自然吸気の4.4L V8、日本と北米以外の市場用に2.7LのV6ターボディーゼルが用意されている。

シャシは、レンジローバーのモノコック式とは異なり、ディスカバリー3で初採用された「インテグレーテッドボディフレーム」だ。ラダーフレームとモノコック式を組み合わせ、ディスカバリー3からホイールベースを152mm縮めている。

写真では、レンジローバーとの違いは少ないように見える。だが、実物は大いに違う。ルーフが低くなったことが最も印象を違えているし、フロントガラスが寝ていて、フロントグリルやフロントフェンダーのエアアウトレット、ホイールなどの意匠が異なっている。

運転席に乗り込むと、傾斜したセンターコンソールと、そこに連なるシフトレバーとテレインレスポンスシステムが眼を惹く。

たしか、レンジローバーでは、これらの操作部分はダッシュボードとドライバーに近いところに分離していて、ここまでの一体感はなかった。レンジローバースポーツでは、大袈裟に例えればドライバーはスポーツカーのコクピットにいるような感覚にとらわれる。こんなに一体感があるSUVのコクピットを他に知らない。

付け加えれば、レンジローバー同様に、インテリアの色遣い、素材遣いが巧みだ。素っ気ないように見えるが、接すれば接するほどセンスの良さが感じられてくる。

走り始めて最初に気付かされるのは、柔らかなタッチの乗り心地だ。柔らかいとはいっても、ユラユラと揺れが残るタイプではなく、最初の動きをじんわりと受け止める。速度を上げていくと、路面の凹凸や加減速によって生じる車体の上下左右への動きが大きくなるはずだが、レンジローバースポーツは手綱を引き締めるように大きな動きを抑えるのに成功している。

これは、「ダイナミックレスポンスシステム」の効能だ。コンピュータ制御によって、コーナリング中のロールを減らし、姿勢をフラットに保とうとする他、ドライバーに的確なフィードバックをもたらすことを狙っている。

この「ダイナミックレスポンスシステム」はスーパーチャージャー付きエンジン仕様に標準装備され、4.4LのNA仕様ではオプションとして設定されている。

レンジローバーもオンロードでの乗り心地には素晴らしいものがあるが、レンジローバースポーツはそれに磨きがかかり、引き締まったものに仕上がっている。舗装の荒れた路面やオフロードでは、やや跳ね返りが強く感じられる点が残っている以外では、非常に洗練された乗り心地とハンドリングを有している。レンジローバースポーツの一番の美点だろう。

ジャガー製をベースとした2種類のV8エンジンだが、スーパーチャージャー付き4.2L V8を推したい。スーパーチャージャーの存在を感じさせないほどスロットルレスポンスがナチュラルで、アイドリングからレッドゾーンにわたって、トルクが厚くなっているからだ。

レンジローバーとは異なる存在意義の提示
以上の、オンロードでのパフォーマンスや挙動についてはある程度予想していたものだった。ところが、驚かされたのがオフロードでの走りっぷりだった。泥と砂と岩で覆われた、傾斜のキツい専用オフロードコースを走ったが、歩いて上り下りできないような苛酷な道なき道を、レンジローバースポーツは何ごともなく上り下りしたのだ。それも、扁平率の大きなオンロード用タイヤのままで!

ここに繰り返す必要もないが、こまでのすべてのランドローバー各車には卓越したオフロード走破能力が備わっていた。ただし、その能力を引き出すのには、ドライバーにも相応のスキルが要求された。しかし、レンジローバースポーツには、それが要らない。新しい「テレインレスポンスシステム」が、ドライビングをリードしてくれる。テレインレスポンスシステムはセンターコンソールのスイッチで、5種類の走行モードの中からひとつを選ぶことにより、それに適した走行を自動的に行うというもの。

5種類の走行モードは、「通常走行」「草地/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」「岩路」。モードによって、エンジンの最適トルク、ギアボックスのシフトタイミング、車高調整、ダイナミックスタビリティコントロール、トラクションコントロールとアンチロックブレーキ、ヒルディセントコントロール(HDC)、デフロックを、状況に適した走行が可能となるよう自動的に変化させる。旧型ディスカバリーでは、HDCは手動で選択しなければならなかったが、レンジローバースポーツと新型ディスカバリーでは自動的に選択される。手動も可能。

この辺りにポルシェ カイエンとの考え方の違いがある。カイエンは、可能な限りクルマが路面と走行状況を判断して、オンロードからオフロードまでシームレスに走行を制御しようとするが、ランドローバー各車はドライバーに走行モードを選択させる。HDCが自動化されたことで、ややカイエンに近い考え方が採られたと解釈することもできるが、どちらが優れているかという設問に対する答えは、用途と走行パターンの違いによって導き出されるだろう。

レンジローバースポーツは、レンジローバーとディスカバリーの間隙を埋めるためのマーケティング先行開発型のニッチカーのように見えるかも知れない。だが、実際にオンとオフで試してみると、2台の隔たりというか差異は大きく、かえってレンジローバースポーツの存在が光ってくる。これで2ドア版があったら言うことはないのだが、レンジローバーやディスカバリーの購入を考えている人には、大いに検討に値する。カイエンやX5などの手強いライバルが出現したものだ。(文:金子浩久/Motor Magazine 2005年7月号より)

ヒットの法則のバックナンバー

ランドローバー レンジローバースポーツ HSE (2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4798×2170×1812mm
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:2480kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4394cc
●最高出力:300ps/5500rpm
●最大トルク:425Nm/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
※欧州仕様

ランドローバー レンジローバースポーツ HSE SUPERCHARGED(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4798×2170×1812mm
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:2572kg
●エンジン:V8DOHC+スーパーチャージャー
●排気量:4197cc
●最高出力:390ps/5750rpm
●最大トルク:550Nm/3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
※欧州仕様

[ アルバム : ランドローバー レンジローバースポーツ(2005年) はオリジナルサイトでご覧ください ]

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(Webモーターマガジン Motor Magazine編集部)

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