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業界ニュース 2019.11.1

トヨタの敵はトヨタ? 他社を圧倒する新車シェア率を誇れる理由とは

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■トヨタの強みは「トヨタ対トヨタ」図式だった?

 2019年1年から9月に日本国内で売られた小型/普通車の内、トヨタが占める割合は、レクサスブランドを含めると47%に達します。

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 今は国内市場で販売されている新車の37%が軽自動車なので、これを含めるとトヨタのシェアは30%ですが、小型/普通車市場では圧倒的に強いです。なぜトヨタはここまで高いシェア率を誇るのでしょうか。

 トヨタがここまでシェアを広げた背景には、小型/普通車市場における他メーカーの弱体化もあります。たとえばホンダの場合、軽自動車の「N-BOX」などのヒットもあって、最近では国内販売台数の約50%を軽自動車が占めます。

 そうなれば小型/普通車の割合は下がります。また、日産も軽自動車比率が34%に高まり、三菱では半数を超える55%です。

 他メーカーの軽自動車比率が増えて、軽自動車に頼らないトヨタの小型/普通車市場における支配力が強まった面もあります。

 そしてトヨタの1人勝ちが進むと、トヨタ車同士で競争関係が生まれます。トヨタブランド内の販売事情について、カローラ店の営業担当者は、次のように説明しています。

「売れ筋ミニバンの『ノア』が値引きなどで競争する相手は、兄弟車の『ヴォクシー』が圧倒的に多いです。次が日産の人気ミニバン『セレナ』です。

 ホンダのミニバン『ステップワゴン』とは、ほとんど競いません。トヨタのコンパクトミニバン『シエンタ』も、トヨタのほかの販売系列が扱うシエンタとの競争が多くなり、その次がホンダのコンパクトミニバンの「フリード」と競っています」

※ ※ ※

 ほかのメーカーが軽自動車に力を入れた結果、小型/普通車では「トヨタの敵はトヨタ」の図式が明確になります。

 その結果、トヨタから新型車が発売されると、今まで人気の高かったトヨタ車の売れ行きが下がります。直近では2019年4月に新型SUVの「RAV4」が発売されて、同じトヨタのコンパクトSUV「C-HR」の売れ行きが下がりました。

 C-HRはもともと外観の個性が強く、実用性よりも趣味性が重視される商品です。従って発売直後にユーザーの購買意欲を刺激して売れ行きを一気に伸ばし、その後は急速に落ち込みました。

 時系列で説明すると、2016年12月にC-HRが登場して、2017年では登録台数の1か月平均が約1万台に達しましたが、2018年には6400台へ急落しています。

 この後、2019年4月にはRAV4が発売され、C-HRのターゲットユーザーはさらに奪われました。2019年4月から9月の1か月平均は4200台です。

 前年の同時期と比べても31%減り、C-HRが発売されたときの1か月の販売目標は6000台だったことから、今後テコ入れを積極的におこなわないと、目標に到達できません。

 一方のRAV4は、2019年4年から9月の1か月平均が6500台を超えました。RAV4の1か月の販売目標は、3000台となりC-HRの半数ですが、現時点のRAV4の売れ行きはC-HRの1.5倍です。

 RAV4が好調に売れる一番の理由は、商品の特徴と市場のニーズがタイムリーに合致したことです。過去を振り返ると、乗用車のプラットフォームを使うSUVは、1990年代の中盤に普及を開始しました。今では20年以上を経過して、小型/普通乗用車の20%を占める人気のカテゴリーに成長しています。

 普及が進んだ代わりに、最近のシティ派SUVには、飽きられる傾向も見られます。トヨタ「ハリアー」、マツダ「CX-5」、ホンダ「ヴェゼル」などの車種が増えて、シティ派感覚をさらに強めたC-HRも存在し、飽和状態に陥ったからです。

 その半面、SUV本来の悪路指向を意識させる車種は、大幅に減りました。後輪駆動ベースのSUVは、三菱「パジェロ」が廃止されて同クラスはランドクルーザーシリーズのでです。

 日産「エクストレイル」は、前輪駆動ベースの4WDながらもオフロードのイメージを感じさせますが、現行型はシティ感覚を強めて今では設計も古くなりました。

 SUV市場にこのような閉塞感が生じたとき、ちょうど良いタイミングで登場したのがRAV4です。ボディは大柄で日本向けではありませんが、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)が190mmから200mmのボディを含めて悪路指向を感じます。

■今後は「トヨタの敵はトヨタ」が無くなっていく?

 RAV4はSUVの原点に回帰する魅力もあり、注目を浴びてC-HRの顧客を奪いました。2018年に20年ぶりのフルモデルチェンジをはたしたジムニー/ジムニーシエラも、SUVの原点回帰を求めるユーザーの間で人気を高めています。

 そしてRAV4に顧客を奪われたC-HRも、過去には別のトヨタ車のユーザーを奪った経験があります。C-HRが2017年に1か月平均で1万台以上を登録したときは、現行「プリウス」の売れ行きが大幅に減ったのです。対前年比で35%の減少でした。

 さらに遡ると、現行プリウスもトヨタのコンパクトカー「アクア」の顧客を奪っています。2013年から2015年の小型/普通車の登録台数1位はアクアでしたが、2016年にフルモデルチェンジを受けた現行プリウスが1位になり、アクアは2位に後退しています。この年のアクアは対前年比が22%のマイナスです。

 このように今の小型/普通車市場の販売上位は、新旧のトヨタ車だけで入れ替わっていることも多いです。高人気の背景には、メーカーの商品開発力と併せて、販売店の系列化もあるでしょう。

 ほかのメーカーは2010年までに系列を撤廃して車種数も減りましたが、トヨタは今でも東京地区以外は系列化されています。プリウス、アクア、C-HRなどは全店が扱いますが、RAV4はトヨタカローラ店とネッツトヨタ店のみです。

 系列があるために、トヨタは同じカテゴリーに複数の車種をそろえ、売れ行きを伸ばしました。ユーザーはトヨタ車のなかから、用途や予算に応じて複数の車種を選べる自由があります。

 販売系列間では、トヨタ同士の競争も生じます。ユーザーの選べる自由と販売会社の競争が、ユーザーの利益に結び付いてトヨタの強みになりました。

 しかし今後はどうなるか分かりません。2020年5月には、東京地区に続いてほかの地域でも、トヨタの全店が全車を扱う体制へ移行するからです。

 トヨタにはメーカーの資本に頼らない地場資本の販売会社が多く、4つの系列は残りますが、全店が全車を扱うと実質的に系列の意味は薄れて形骸化します。

 そしてヴォクシー/ノア/エスクァイアのような姉妹車は不要になり、ミニバン人気の火付け役ともいえる「エスティマ」が廃止されて「マークX」も2019年中に終了します。

 販売系列ごとの専売車種があると、販売店の財産だから廃止は困難ですが、全店が全車を扱えば廃止も可能です。このように国内で売られるトヨタ車の車種数を半減させて、合理化する方針です。

 こうなるとすべての販売会社が同じ車種を扱うので、同じ地域内では、販売会社同士の過当競争が激化します。その一方で車種数が減ると、「C-HR 対 RAV4」のような車種同士の競争は生じにくくなります。

 直近では、「ヤリス 対 アクア」のような新たな競争関係も生まれますが、今後「ヤリスがあればアクアは不要」といった判断をされると、1カテゴリーに1車種の品ぞろえに集約され、トヨタ車同士が競うトヨタの強みが薄れ、次第にほかメーカーと同じようになる心配があります。

「販売系列をなくせば、全店で全車を買えるから便利」といわれますが、別の見方をすると、1つの店舗で扱える車種数には限りが出てくるのです。

 つまり全店が全車を売る本当の目的は、車種数を減らすリストラです。その結果、日産は、軽自動車「デイズ/デイズルークス」、コンパクトカー「ノート」、セレナ、エクストレイルの5車種だけで、国内で売られる日産車の約70%に達します。

 仮に日産に専売車種を含めた系列が残っていたら、この販売状況では販売会社が成り立ちません。以上のように考えると、全店が全車を扱う方針は、後ろ向きの市場戦略であることが分かるでしょう。

 小型/普通車を愛用する人達のために「トヨタの敵はトヨタ」であり続けて欲しいと思います。

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(くるまのニュース 渡辺陽一郎)

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みんなのコメント

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  • nsf*****|2019/11/01 07:53

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    トヨタユーザーの中に他メーカーを検討、試乗した上で購入を決めた人は何割いるのだろう。
    販売店も多いし、日本一大きなメーカーの造った車が悪いはずがないの考え方で購入を決めた人も多いのではないでしょうか?
    日本人の国民性か、何に対しても70点主義のトヨタの車造りが合っているのかもしれませんね。
    あくまでも、個人の感想です。
  • ssm*****|2019/11/01 08:10

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    トヨタかホンダ。二者択一。
  • non*****|2019/11/01 08:27

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    車業界を活性化するためにコーチビルダーやバックヤードビルダーみたいなのの規制を緩めて、また携帯電話みたいにトヨタは希望するメーカーにラインを貸さなきゃいけないみたいなのはどうだろう?トヨタだって競争がない世界では社員(系列)が育たないだろう。

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