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業界ニュース 2019.10.30

【ヒットの法則40】BMW1シリーズとメルセデス・ベンツAクラスはともに「真面目な」クルマだった

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2004年にBMWが1シリーズでついにCセグメント市場に参入、折しも同じ年2004年にメルセデス・ベンツもAクラスを2代目にスイッチして新しい挑戦を開始していた。ここに至り、プレミアム化が進んでいたCセグメント市場に大きな変化が訪れることになる。2005年春、BMW1シリーズとメルセデス・ベンツAクラスはCセグメントの大衆性をどうクリアしていたのか、そしてこの2台の関係にどうなっていたのか。BMW 116iとメルセデス・ベンツA170の比較試乗を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年6月号より)

プレミアム化するCセグメント、その口火を切ったのはゴルフだった
僕はドイツ車に対しての格別のリスペクトも、ゴルフに対して世界の標準車であるという想いも、それほど強くは持っていない。

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煮え切らない言い方しかできないのは、もちろん乗るたびに感心はさせられるからだ。でも、自分の中でのその感心の内訳は「凄いというより偉い」だったりもする。ご当地にはご当地なりの事情があって、それによってクルマの作られ方も味付けも違う。ご立派なのはわかりましたけど、なにがなんでもそれを物差しにするこたぁないでしょう、というのが、偽りなしの想いだ。

ゴルフが確立したハッチバック2ボックスという小型車のあり方と、気がつけばゴルフを軸に構成されていたCセグメントというクラスにはなんの抵抗もない。それどころか、国境を問わず、家族向け実用車の理想型はここにあると思っている。が、そのCセグメントもこのところはプレミアム症候群にどっぷりだ。

一瞥でBセグメントの車格とDセグメントに劣らない豪華さとを狭間で求めれば、ゴルフVのようなクルマになるというわかりやすい話に引っ張られるようにアストラやフォーカスは肥大化し、それが周辺の3シリーズにまで影響を及ぼす。その暴走の口火を切ったのが先代にあたるゴルフIVというのも皮肉な話だ。

そのゴルフIVと並ぶと、先代のAクラスは本当に悲惨なクルマだった。なにこのショボい内装? なにこのカートみたいな着座姿勢? なにこの重心の高い乗り心地? どこベンツなのよこれの……。お客の期待値がべらぼうに高い元祖プレミアムには、まさか国民車風情がここまでやってくるとはという驕りもあったのかもしれない。

あるいはフォルクスワーゲンにしてみれば、自分のショバを荒らしに来たコーマンチキを見越して一矢報いるつもりでゴルフを刺客に仕向けたと邪推することもできる。メルセデス的にはBセグメントとCセグメントの狭間あたりに落としたつもりだったのかもしれないが、初代Aクラスは結局ゴルフIVにしてやられたわけである。

だから新しいAクラスは、そんなゴルフへの復讐心に充ち満ちたクルマなんじゃあないかと勝手に思っていたのだが、実際はそうとは言い切れない。

ほかのCセグメントカーとは役者が違う
その話は後に回すとして、一方のBMW1シリーズ。このクルマは毛色がちょっと違う。そのスタンスは「殴り込む」というより「利用している」という感じだ。

2ドアという点が良くも悪くもコンセプトを曖昧にしていたtiの時代とは違って、4ドアオンリーとなった1シリーズはサイズ的にも排気量的にもドンピシャのCセグメントだ。が、BMWはそこでもFRを譲らない。スペースユーティリティ的にはまったく不利=実用性最下位を覚悟の上で、彼らのアイデンティティであるドライバビリティを最優先している。

今回乗った、1シリーズのもっともベーシックなラインにあたる116iは、アルミホイールを標準装着するなどの装備差を考えても同排気量のライバルよりも30万円前後は高い値付けになっている。内に載せてあるものの手間を考えればそうなるのは当たり前だ。彼らは価格競争もある程度無視して、その場に店を開いているわけである。

極端な話、BMWは1シリーズで儲ける気はあまり抱いていないのではないだろうか。ひとつは当然のことながらメルセデスA/BクラスとアウディA3に対しての牽制のため。もうひとつはCセグメントという世界の檜舞台を使って「FRでなければクルマにあらず」とでも言わんがばかりの自分の意向を、ゴルフあたりをカマセ犬にしてアジるためと。BMWにとっては周りが全部FFということが、モノ言う場としてはかえって好都合というわけだ。

それを裏付けるように、116iは有無をも言わさぬBMWのクルマだった。こんなクルマはCセグメントのどこを探してもない。駆動方式でクルマの優劣が決まるとは決して思わないが、支えているシャシも含めて、他とは役者が違う感触は確かにこのクルマに宿っている。

ざっくり言えば、116iは良くも悪くも、重い。ドアを閉めた瞬間から、ステアリングを回した瞬間から伝わってくるその手応えに、女子供にひよる素振りはまったく感じられないほど重い。そして転がり始めればそれはそのまま「重厚感」という言葉に置き換えられるものとなる。高速域での直進安定性などは他のFF版Cセグメントとは一線を画している。

そのぶん、中低速域での取り回しやコーナーでの振り回しに、我々が抱く「テンロクFR」の軽快感はない。バルブトロニックなしのベーシックな4気筒は飄々と吹け

上がり、普段は過不足ない仕事をするものの、登坂の山道などではさすがにドン踏みでもいっぱいいっぱいだ。ハチロクやロードスターのようなものを想像すると「?」ということになる。このパワーと実用性の低さをどう考えるかによって、116iというクルマの評価はいかようにも変わる。

すなわち使えないBMWか使い切れるBMWかと。人並みのCセグメントの用途を求めれば、たとえば4人乗るとか荷物を載せるとかいうことまでを強く求めれば、答えは前者だ。

が、大半は1~2人乗車で後席も荷室もスカスカという使い方にとって116iは骨の髄まで味わい尽くせるBMWということになる。そして、既存のCセグメントユーザーの少なからずなところがこちら側に当てはまるのも事実なわけだ。

メルセデスライドをFFで実現した新型Aクラス
話は再びAクラスである。今回試乗したのはエントリーグレードにして装備を充実させた「A170エレガンス」だ。奇しくも価格は116iとほとんど同じ。なんだかんだ言ってもベンツの敵はビーエムであり、ビーエムの敵はベンツという図式がここにも色濃く表れている。

Aクラスの基本的な構成は先代を引き継いでいる。二重底のフロアに傾斜シリンダーを持つ専用設計のエンジンを潜らせるのも相変わらずだ。ただし足回り、とくにリアサスは全面的にやり直された。何が何でも転ばせないというメルセデスの力みが伝わってくるようだ。

それを裏付けるようにAクラスは先代比、まるで別物となった。前席の着座姿勢や後席の居住性、内装質感や後席を潰しての荷室使いなど、その変化は一回り大きくなってきらびやかになったエクステリア以上に中身に及んでいる。遠目にみる後ろ姿は小高いフィットのようだけど。

その印象は走っても変わらない。しなやかさで支えられる安心感みたいなところが皆無だった先代に比べれば、新しいAクラスは嘘のように綺麗なメルセデスライドをFFで実現している。着座位置の高さや物理的な高重心ゆえのロール感は慣れが必要だが、それこそエルクテスト級の無茶をしない限り、タイヤが地面を離れることはないだろう。

メルセデスとしては初出となる自社製CVTの出来も悪くない。日産やホンダのそれには至らないものの、街中から山道までアクセルのオンオフを多用するような場面でも違和感を覚える場面は少なく、小さなエンジンを精一杯使わせてくれる。先の1シリーズ同様、登坂ではきつい場面もあるが、さりとて2L版を敢えて選ぶ必要性は感じない。

実用性と運動性能を筆頭とした総合力で、Aクラスはようやくゴルフと肩を並べたと僕は思っている。が、その上でAクラスは、他のライバルとの比較で全長が400mm近くも短い。電池積まなきゃ意味なしと思っていた独特なパッケージの意味が、他車の無尽蔵な拡大のおかげで際立つこととなった。図らずも、そういうカタチでプレミアムブームはメルセデスに追い風となったわけだ。

BMWが自社のポリシーを貫いて、その他のCセグメントとの差別化を図っていることに対して、メルセデスは革新的な構造をやっとモノにして他との差別化を図ることが出来た。プレミアムという言葉の有象無象ぶりとは裏腹に、大御所が放つこの2台は皮肉なまでに真摯だと思う。(文:渡辺敏史/Motor Magazine 2005年6月号より)

ヒットの法則のバックナンバー

BMW 116i(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4240×1750×1430mm
●ホイールベース:2660mm
●車両重量:1280kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1596cc
●最高出力:115ps/6200rpm
●最大トルク:150Nm/4300rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:288万8000円(2005年当時)

メルセデス・ベンツA170エレガンス(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:3850×1765×1595mm
●ホイールベース:2570mm
●車両重量:1310kg
●エンジン:直4SOHC
●排気量:1698cc
●最高出力:116ps/5500rpm
●最大トルク:115Nm/3500-4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●車両価格:288万7500円(2005年当時)

[ アルバム : BMW116iとメルセデス・ベンツA170エレガンス はオリジナルサイトでご覧ください ]

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(Webモーターマガジン Motor Magazine編集部)

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