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【スバルのこだわり】シンメトリカルAWDが理想と言われる理由

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【スバルのこだわり】シンメトリカルAWDが理想と言われる理由

 世界で生産されるスバル車の98%がAWD(全輪駆動)モデルというほど、AWDにこだわっているスバル。

 「スバル車といえばAWD」というイメージをお持ちの方も多いことでしょう。

10月23日 スバル 新型「レヴォーグプロト」 東京モーターショーで世界初公開!!

 スバルのAWDは、シンメトリカル(左右対称の)AWDと呼ばれ、スバルはこれまで、この独特のドライブトレーンにこだわってクルマ作りをしてきました。

 だからこそ、スバルは日本市場でも北米市場でも、大きく成功できたと考えられます。スバルが、これほどこのシステムにこだわる理由は何なのでしょうか。

 そしてこの仕組みの利点と欠点はどこにあるのか。簡単に解説してみます。

 文:立花義人、写真:スバル、トヨタ

スバルこだわりのエンジンとは? 

水平対向エンジンが搭載されているイメージ画像

 スバルこだわりの水平対向エンジンは、シリンダーが水平に寝ており、それが左右一対で向かい合う形式です。シリンダーが水平に寝ているため、直列式やV型に比べてエンジンの全高を低くすることができます。

 スバルは、この水平対向エンジンのメリットを生かし、重量物であるエンジンの位置を低くすることで、重心を下げつつ、エンジンの中心部分に位置するクランクシャフト、

水平にエンジンが置かれているため、車体のバランスが良くなる。


 そしてトランスミッションからリアデフに至るまでを、一直線上に配置し、シンメトリカル(左右対称)の重量配分となるようにしました。

 この重量配分によって、4輪のタイヤにバランス良く荷重をかけることができ、AWDによるメリットをより一層高めることが可能となりました。

 スバルは低重心かつ理想的な重量配分をもたらすこのシステムによる恩恵を最大の強みと考え、シンメトリカルAWDと呼んでいます。

シンメトリカルAWDは理想的?

RAV4のエンジン骨組み

 ほとんどのFF車は、直列エンジンを横置きに搭載しています。

 FFであれば、駆動系のパーツをエンジンのすぐそばに配置することができるため合理的ですが、この方式を4WD化する場合、横向きの出力を縦向きに変換するための機構が必要です。

 なぜなら、横置きのため、クランクの回転方向がプロペラシャフトの回転方向と90度異なっているからです。そうなると、重量増や走行抵抗増につながり、燃費も悪くなります。

 いっぽう、エンジンを縦置きにすると、ドライブトレーンを一直線上に配置できることに加え、FFの4WDに比べて、機構は簡略化でき、駆動ロスを少なくすることができます。

 ただし、一般的な直列エンジンを縦置きにした場合、スペース効率は悪くなってしまいます。

 その点、スバルのシンメトリカルAWDは、低く、長さの短いエンジンを縦置きで積むことができるため、車重の増加を抑え、効率の良いトルク伝達と優れたパッケージングの点で、他のシステムより優れているといえます。

シンメトリカルAWD イメージ画像

 スバルは当初、すべりやすい路面での発進や悪路走破性能を高める目的で四輪駆動を採用していましたが、様々な技術革新によって、このシンメトリカルAWDのメカニズムを推進・熟成させてきました。

 近年では緻密な電子制御により、あらゆる路面状況が変化する中での高速走行安定性や、快適で安全に走行するためのシステムへと成長しています。

シンメトリカルAWDにも弱点もある

 とある試乗会の場で、スバルのエンジニアと話す機会がありました。シンメトリカルAWDには弱点はないのですか?と聞いたところ、設計的にはとてもつらい所があるとのことです。

 シンメトリカルAWDを構成する水平対向エンジンは、全長が短くて、車両の低い位置に搭載できるとはいえ、エンジンの横幅は広くなるので、サスペンションレイアウトへの影響が出てしまう。そのため、車幅が狭いクルマには搭載が困難です。

 また、衝突安全性能も厳しく、前方衝突時に、エンジンが車両後方へ押し込まれない様、エンジンやミッション、ドライブシャフトを車両下方へ逃がすように、車体構造やエンジン搭載方法を工夫する必要があり、その点で大変苦労をしていると話されていました。

衝突時のエンジン構造 イメージ画像

 性能は理想と言えるのかもしれませんが、クルマ作りの点では、必ずしもパーフェクトなシステムではなく、メリットの裏には必ずデメリットがあるのだということが分かります。

まとめ

スバルXV 走行写真

 シンメトリカルAWDがもたらす走りの良さや安定感は、スバルが世界から高い評価を受けていることにつながっています。今後、この独創的なメカニズムがどのように熟成、進歩していくのか、楽しみにしています。

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