他車の動向をみても消費税率アップの駆け込み需要が影響
ホンダN-BOXといえば、軽自動車のみならず日本で一番売れているクルマとしておなじみですが、現行型にフルモデルチェンジしてからの月間販売記録が2019年9月に更新されました。その販売台数は、なんと2万8484台。前月比155.8%、前年同月比126.4%という驚くべき数字です。しかも、N-BOXは10月にマイナーチェンジを実施しています。つまりマイナーチェンジ直前での記録更新というわけです。
「軽は安い」は本当? 同じ車両価格の軽自動車とコンパクトカーの維持費の差とは
旧型N-BOXの月販記録は2015年3月の3万633台でした。3月というのは決算期で、どのメーカーも売れる時期なので当然です。軽自動車全体でいっても月販記録は2014年3月の30万2345台だったりします。つまり、例年通りであれば9月に販売記録を更新する要素というのは考えづらく、2019年のイレギュラーな要素である消費税増税が、販売増につながったのは間違いないでしょう。
なお、軽自動車のセールストップ5の前年同月比をみると、ダイハツ・タントが184.3%、日産デイズが118.4%、スズキ・スペーシアが114.2%、ダイハツ・ムーヴが121.0%と軒並み前年から伸びています。どのモデルにも共通している点を考えると、消費税増税前の駆け込み需要と考えるのが妥当です。
同門N-WGNの残念なトラブルでN-BOXに顧客が流れた
もうひとつN-BOXが売れたのにはホンダならではの事情が考えられます。同じく9月の販売実績を見ると、フルモデルチェンジしたばかりのN-WGNが2121台しか売れていません。これは同モデルにおいてEPB(電動パーキングブレーキ)関連のトラブルが起き、生産を止めているためです。つまり、駆け込み需要に対応できるのはN-BOXしかなかったといえるのです。
そんなN-BOXは、10月のマイナーチェンジによって先進安全装備&運転支援システムである「ホンダセンシング」に磨きをかけたほか、前席シートヒーターや後席の左右独立センターアームレストの標準装備化などにより商品力を上げています。
全面的に刷新したダイハツ・タントが迫っていますが、それでもN-BOXがリードを保っているのは既存顧客の存在もあるでしょうが、やはりちょっと乗っただけでも感じることのできる「いいもの感」にあるでしょう。軽自動車というコストに厳しいジャンルですが、コストダウンを感じさせないクルマづくりがN-BOXの人気につながっているといえます。
それにしても、このペースで売れ続けると、年度末の3月には先代モデルを含めたN-BOXとしての月販記録を更新しそうな勢いです。はたしてN-BOXを止める強力なモデルは、それまでに登場するのでしょうか。
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