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ハッチバックのロードスター【マツダ3 ファストバック 試乗記】

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ハッチバックのロードスター【マツダ3 ファストバック 試乗記】

“Be a driver.”というメッセージを、マツダがテレビCMで送り始めたのは2014年7月のことらしい。ウェブで検索すると、こんなのが出てくる。あらためて全文紹介したい。

「自分の人生の、主人公になろう。

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自分の行く道を、自分の意志で選ぶ人になろう。

自由に、積極的に、人生を美しいものにしよう。

既存のルールや常識に縛られない人になろう。

自分の行く道は、自分で決めたほうが、楽しいに決まっている。

人生の、ドライバーになろう。

Be a driver.

MAZDA」

メッセージはさらにこう続く。

「マツダが『Be a driver.』の『driver』に込めたふたつの想い

“何よりも運転が大好きな人でありたい。だから、自分たちが走らせて退屈だと思うクルマは絶対につくらない”

そして

“マツダの想いに共感してくださる人たちと共に、自らの人生を積極的に楽しみ、世の中にドライブをかけていく存在になりたい”

マツダはこれからもクルマが大好きな皆様と共に走り続けていきます。」

この“Be a driver.”宣言のもとで開発されたのがマツダの新世代商品であり、その第1弾がマツダ3である。ご存じのように、マツダ3の前身は日本名アクセラで、新型に切り替わるのを機に海外名の「マツダ3」というシンプルな名称に統一することになった。

【主要諸元(XD バーガンディ セレクション)】全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm、ホイールベース:2725mm、車両重量:1410kg、乗車定員:5名、エンジン:1756cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ(116ps/4000rpm、270Nm/1600~2600rpm)、トランスミッション:6AT、駆動方式:FWD、タイヤサイズ:215/45R18、価格:304万4555円(OP含まず)。2019年9月には新世代商品第2弾のコンパクトSUV「CX-30」が発表となっており、同年12月中旬には圧縮・着火するディーゼル・エンジンの高効率を取り入れたという次世代ガソリン・エンジン「SKYACTIV-X」を搭載したマツダ3もいよいよ発売される。

では、マツダがつくろうとしているのは実際、どういうクルマなのか? マツダ3を現時点で象徴すると思われるモデル、ファストバックXDの “バーガンディ セレクション”というディーゼルのトップ・グレードに試乗してみた。

マツダ3はファストバック(5ドア・ハッチバック)のほか、セダンも選べる。セダンのボディサイズは全長×全幅×全高:4660mm×1795mm×1445mm。セクシーで超カッコいい先代アクセラ同様、マツダ3はセダンと5ドア・ハッチバック、2種類のボディからなっており、5ドア・ハッチバックは今回から「ファストバック」と呼ばれる。全長×全幅×全高=4460×1795×1440mmという日本車離れしたプロポーションは、アクセラ比でわずかに短くて低く、相対的によりロー&ワイドが強調されている。

2725mmというホイールベースは先代より25mm長いから、わずかとはいえ、その分、確実にオーバーハングは短くなっている。エンジン横置きのFWD(前輪駆動)ハッチバックなのに、古典的なロング・ノーズ、ショート・デッキと表現できる。流麗なファストバック・スタイルをまとうことで、5ドアの5人乗りとはいえ、純然たる実用車ではなく、パーソナル・クーペであることを主張している。ごくひらったくいえば、セクシーで超カッコいい。

ファストバックのボディは全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm。バーガンディ セレクションはファストバック専用グレードで、その名の通り、ワインレッドの本革内装を備えている。試乗車は「ポリメタルグレーメタリック」というマットのようにも見えるグレーで、ドアを開けると濃い赤がパッとあらわれる。1980年代末のベントレー「ターボR」にあったような、ドレッシーなシブい組み合わせだ。

「引き算の美学」をポリシーにデザインされた運転席まわりは伝統的なスタイルを守っている。8.8インチの大型センター・ディスプレイを別にすれば、1980~1990年代のクルマのようにも思える。

速度計を真ん中に、左に回転計、右に水温計と燃料計をセットにした丸型3連メーターがメーターナセルのなかに昔ながらに鎮座し、昔ながらのシフトレバーが左手を伸ばすとそこにある。エアコンの昔ながらのスイッチもモノとして、ダッシュボードに配してある。メーター、スイッチ類のフル液晶化を断固拒否している。時代のメガトレンドにあらがっているのだから、なかなかできることではない。

試乗車のシート表皮はレザー。運手席の調整は電動式(メモリー機能付き)。メーターパネルは中央の速度計は液晶表示。左右に回転計と水温計および燃料計がある。オートエアコンは、左右独立温度調整機能付き。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。ラゲッジルームは通常時、67リッターのスーツケースを2個積める。シルバーの表紙が印象的なオーナーズマニュアル。マツダ3はロードスターの派生モデル!?着座位置が低めな点を除けば、ドライビング・ポジションは、まったくもって違和感ない。手を伸ばせばステアリング・ホイールがあり、右足を伸ばせばアクセル・ペダルがある。不自然なほど自然な運転姿勢は、ここのところのマツダの“人間中心のクルマづくり”の具現化のひとつである。

マツダ3は現時点で、ガソリンの1.5リッター、2.0リッター(ともに直列4気筒エンジン)と、ディーゼルの1.8リッター直列4気筒エンジンと3種類のエンジン設定がある。

搭載するエンジンは1756cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ(116ps/4000rpm、270Nm/1600~2600rpm)。WLTCモード燃費は19.8km/L。試乗車のディーゼル1.8は、最高出力こそ116psと控えめながら、最大トルクは270Nmを1600~2600rpmで発揮する。車重1410kgに対し、116ps/4000rpmだから、パワー的にはちょっと物足りないと感じるときもある。その物足りなさを、驚くほどスムーズかつ静かで、なによりディーゼルとは信じられないほどトルクの頭打ち感がなく、さらに、まわして気持ちのいい、伸びやかさを持つ回転フィールが忘れさせる。

アイドリング時こそディーゼル特有の振動を若干感じるけれど、アイドリング・ストップ機構が付いているから、たいがい(エンジンは)完全に停止する。

駆動方式はFWD(前輪駆動)のほか4WDも選べる。ギアボックスはいまどき6段しかないオートマチックである。それゆえ100km/h巡航が2000rpm と、最近のクルマとしてはやや高めで、これを8段なりに多段化を進めれば、いっそうの燃費向上……

というようなことはマツダの開発陣も考えているに違いない。とはいえ、フィーリング的にはこの6段ATでなんの不満もない。

トランスミッションは6AT。電動パーキングブレーキ(オートホールド機能付き)は標準。乗り心地ははっきり硬い。これはスタンダードの16インチに対し、試乗車のXDバーガンディ セレクションが履いていた18インチのタイヤ&ホイールにも責任があるように思われる。

といって、この硬さがちっともイヤではない。ときに目地段差で跳ねるような傾向すらあるけれど、それでもつねに“人馬一体感”がある。

マツダ3はアクセラの後継モデル。なお、旧型モデルも日本市場以外ではマツダ3の名称で販売されていた。タイヤサイズは215/45R18。ステアリングは重めで、FWDっぽいトルクステアがほとんどない。まるで後輪駆動のスポーツカーか、スポーツ・クーペを駆っている感覚がある。

マツダ3 ファストバックXD バーガンディ セレクションは、FWDのハッチバックのカタチをした、マツダ「ロードスター」の派生モデルである、と考えると、筆者のなかでは大いに合点がいった。

トランスミッションは6ATのほか、6MTも選べる。問題はその先にある。

1台あたりの収益力やブランド力を高めようというマツダのプレミアム戦略は、せっかく“Be a driver.”な、クルマ好きのためのクルマをつくったのに、マツダ全体の2019年1~8月のグローバル販売を見ると、前年比でマイナス11.0%になっているのだ。

完全自動運転が注目される時代に、あえて“Be a driver.”と投げかけたマツダには踏ん張りどころである。

「“何よりも運転が大好きな人でありたい。だから、自分たちが走らせて退屈だと思うクルマは絶対につくらない”」

じ~んと来るなぁ。広島、がんばれ。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

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