1954年、東京モーターショーの前身である「全日本自動車ショウ」が開催されてから、2019年で65年が過ぎた。そんな東京モーターショーの歩みを、当時のニューモデルやコンセプトカーなど、エポックメイキングなモデルを軸に紹介しよう。今回は1981年の第24回ショーを振り返った。
クルマの多様化や機能による分化が進む
1981年の第24回東京モーターショーは、各社とも開発が進む電子技術を意欲的に出品してきたのが目立つ。また、レジャービークル(RV)の種類が増え、クルマの多様化や機能による分化が一段と明確になってきた。エンジンは前回のセドリックに続き、三菱がフルラインターボ体制を整え、ダイハツがシャレード デ・トマソ ターボを参考出品するなど、ターボ時代の到来を強く印象づけている。
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■トヨタ RV-5
ターセル/コルサのシャシを使った4WD実験車として登場。高い車高、ガルウイング風に開くリアクオーターウインドーや大きなハッチゲートなどでRVの使いやすさと楽しさを訴求した。室内はリアシート横にビデオシステムを置き、4座目はその後方に横置きするなどショーモデルの域を出ないが、TVやビデオの搭載などを含め遊び道具としての楽しさは伝わってくる。スタイリングはほぼそのままで市販用に手直しされた後、1982年にスプリンターカリブとして発売された。
■トヨタ EX-11
ソアラをベースに、当時の技術者が考えうるすべての電子技術を搭載したエレクトリックカー。当時は夢の技術だった、前車の車速を感知してスピードを制御するレーダー & オートドライブ、超音波で後方の障害物を確認する後方確認システム、4輪エレクトロニック・スキッドコントロールなど、現在の安全技術の原型がすでに提案されている。操作系もステアリングスイッチやキーレスエントリー & イグニッション、マルチディスプレイにボイスコマンドシステムなどが40年近く前から実用化に向けて研究されていたのだから、驚かされる。
■マツダ MX81
「ファミリアの10年後はどうなっているか」という命題を与えられたカロッツェリア・ベルトーネが出した答えが、このMX81だった。当時の記事は「完全なフラッシュサーフェスボディに、リトラクタブルライトとコンシールドワイパーを組み合わせて空気抵抗を減らしたエクステリアは、かつてのスーパーカーを彷彿とさせる」と評している。驚異的なのはステアリングホイールがなく、モニターを装備したインパネ自体が回転すること。回転数、燃費などの情報はモニターに3次元表示されるとアナウンスされた。後方の障害物を確認するレーダーも搭載している。
■日産 NX-018
1981年11月に発売予定のシティを展示したホンダのブースは、そのトールボーイスタイルが話題となり、黒山の人だかりとなった。対して、当時コンパクトカーを持たなかった日産の切り札が、リッターカーのコンセプトモデル、NX-018だ。1Lエンジンを積むFF 2BOXカーの完成度は高く、すぐにも発売されると期待されたが、日産は車名を一般公募するティザーキャンペーンを実施。約565万通の応募から「マーチ」の名が選ばれ、1982年10月に発売されることになる。
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