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業界ニュース 2019.10.13

『紅の豚』『風立ちぬ』の世界の中でベルトーネデザインに浸る【第8回 ヴォランディア飛行機博物館】

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イタリアを旅するとき、成田からの直行便が就航しているミラノの空港を利用すると便利だ。帰国便は午後3時くらい。そこでイタリア滞在最終日の午前中を有意義に過ごすことができるスポットを紹介しよう。ちなみに、ミラノには中央からほど近いリナーテ空港があるが、日本からの直行便がある空港は、ミラノから北西に40kmほど離れた場所にあるマルペンサ空港だ。

ミラノがあるロンバルディア州は、かつて航空機産業が盛んだった。スタジオジブリの映画『風立ちぬ』に登場するジャンニ・カプロニが創業した航空機メーカーをはじめアグスタ、アエルマッキ、SIAIマルケッティなどもこの地で創業している。

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カプロニ社の当時の建物を保存しながら、博物館の施設として利用している。そしてカプロニ社の旧施設を博物館として再利用しているのが、ここで紹介するヴォランディア飛行機博物館である。収蔵されている飛行機などの展示も見どころ満載だが、敷地内の建物自体も往時を偲ばせて見応えがある。

かつてのカプロニ社の建物は相当年季が入っており、エントランスの建物も木造の梁などが当時のままの姿でむき出しで風情がある。ヴォランディア飛行機博物館は、航空機などの収集と保存・展示だけでなくカプロニの旧施設建物の保存も行っているのだ。入場チケットを購入してさっそく博物館内へ。

博物館内へはこのタラップから。否が応でも気分は高まる。最初に楽しませてくれるのは、タラップを模した階段だ。まるで飛行機に搭乗するかのような気分で博物館内へ入場する。階段を登った先に広がるのは、飛行機やヘリコプター、そしてケースに入った数多くの航空機のミニチュアモデルたち。大掛かりな鉄道模型のジオラマは圧巻。

そして次のエリアがカプロニのワークショップとなる。実物の飛行機だけでなく、エンジンやプロペラなどの部品が展示されていると同時に、そうした展示物を整備している人を見ることもできる。このカプロニのワークショップエリアを出ると、広大な敷地内にある展示を自由に閲覧することが可能になる。

最初のパビリオンから見どころ満載。手前の赤い機体はCVV.6 Canguro。クルマが目当てならここは足早に。ベルトーネが手掛けたクルマが一堂に会する場所カプロニのワークショップを出ると、舗装された通路を旧工場の建物が一列に並んでいる。お目当てのベルトーネの車両が収蔵されている建物までは200mほど。通路の両サイドにはプロペラ機やジェット戦闘機などが屋外展示されており、目を楽しませてくれる。

カプロニが最初に手掛けた双発複葉機カプロニCa.1。ヌッチオ・ベルトーネが大きくしたかつてのベルトーネは、イタルデザインやピニンファリーナなどと同じく、イタリアを代表する名門カロッツェリアであった。ランボルギーニ・ミウラやカウンタック、ランチア・ストラトスといったスーパーカー世代にはお馴染みのクルマだけでなく、シトロエンBXやオペル・アストラなどの大衆モデルも手掛けたことで有名だ。

2008年に事実上倒産し、ベルトーネ自社内に所蔵していた市販モデルやコンセプトモデル、ショーモデルなどの車両が散逸してしまわないか心配されていた時期もあった。しかし、2011年のヴィラ・デステ・オークションにかけられたストラトス・ゼロなどの一部を除き、無事に国外に流出するようなこともなく、ヴォランディア飛行機博物館に収蔵されたという経緯がある。

カプロニのワークショップでは展示しながら修復も行う。ベルトーネの車両が展示されているのは、かつてのカプロニの施設。その建物の外観はそのまま保存し、内部もなるべく手をつけずにクルマを展示するという手法が取られている。そのため、欧州自動車メーカーが手掛ける自社ミュージアムなどに比べると、展示方法に華やかな雰囲気はなく、むしろ個人のガレージといった印象。ただそれがまたおもしろい。

カプロニCa.60の模型。この試作飛行艇はテスト飛行で墜落してしまう。迷路のような順路をたどって、フェラーリとランボルギーニのクルマが展示されているエリアを抜けると、壁だけでなく天井も床も白く塗られた空間に出る。クルマも壁側ではなく部屋の真ん中に配置されていて、360度どの角度からでも眺めることができるのだ。ここはフラミニオ・ベルトーニのインスタレーションのエリアで、シトロエンの2CVとDSのデザインを手掛けたことで有名なカーデザイナーであり彫刻家である。展示されているのは、2CVとDSに加えて彼がデザインしたとラクシオン・アヴァンとアミ6の4台である。

屋外にも航空機が展示されている。写真左はミグ21戦闘機。DSがその後のカーデザインに与えた影響は大きく、後のシトロエンにはDSのデザイン思想が色濃く受け継がれていた。奇しくもベルトーネが手掛けたシトロエンもカマルグ、XM、Zabrusの3台が展示されているので、それらと見比べてみるのも一興だろう。

ベルトーネとベルトーニ、それぞれに入り口がある。すべてを閲覧したい人は手前のベルトーネから。最後は、ベルトーネの近未来的なコンセプトカーが数多く並んだフロアだ。1970年代から80年代、90年代と、ベルトーネがモーターショーで話題を振りまいていた頃のコンセプトカーが所狭しと並んでいるのは壮観。

写真右はベルトーネBMWピックスター(1998年)、写真左は1994年のポルシェ・カリスマ(1994年)。手前はオペルslalom(1996年)。工場の建物を再利用しているので、車両を細かく見たいという人には少々難のある展示。左からベルトーネ・ラッシュ(1992年)、スズキGo(1972年)、クライスラー・フランス・シェイク(1970年)。ベルトーネは、こうしたマルチパーパス・ヴィークルも得意だった。市販化されたランチア・ストラトスにアルファ ロメオの歴代名車たちも展示。ベルトーネといえば、フィアットX1/9を連想する人も多いだろう。5台のX1/9が展示されている。ベルトーネが手掛けたランボルギーニ・ミウラ、カウンタック、エスパーダの向こうに、市販化されたフェラーリ308GT4と、当時物議を醸したフェラーリ・レインボー。ベルトーニがデザインしたシトロエン2CVとDSとベルトーネのシトロエン・カマルグを実写で見比べることができるのは、世界でもここだけ。ベルトーネの夢が詰まった最後の展示エリアは必見。古い建物だけに、天井からのホコリその他が気になるところだが……。足早に通り過ぎるだけでも、全体を見て回ると10分弱はかかってしまうベルトーネ&ベルトーニの博物館。ここでしか見ることができない車両ばかりなので、1台ずつ丹念に見学していると、とても1~2時間では足りない。ヴォランディア飛行機博物館は、総面積25万平方メートルの敷地に屋内の総床面積が3万2000平方メートルもある欧州でも最大級の施設。本来の見どころである航空機を展示したパビリオンが多数存在するほか、スペースパビリオンやシュミレーターエリア、子供向けの屋内プレイエリアにピクニックできる屋外エリアなど実に多彩。フライトまでの数時間の暇つぶしでは、実はすべてを味わい尽くすなどできない規模である。クルマ好きの人は、他に目を奪われずベルトーネのエリアを見学するくらいの気概でないと、フライト時刻に間に合わなくなるので要注意だ。

ヴォランディア飛行機博物館の正面玄関。マルペンサ空港のターミナル1とマルペンサ空港駅から徒歩で10分ほど。Volandia Park and Flight Museum
ヴォランディア飛行機博物館
住所:Via per Tornavento, 15, 21019 Somma Lombardo VA, ITALY.

TEL:+39 0331 230007
開館時間:3月~10月の火・水・木・金/10:00~19:00、土・日/10:00~19:30
11月~2月の土・日/10:00~19:30
※年末年始やシーズンによっても異なるので、詳しくはホームページを参照
URL:http://volandia.it

文・尾崎春雪 編集・iconic

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(GQ JAPAN 尾崎春雪)

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