青と赤を基調とし、斜線が描かれた丸い標識。これを見れば誰もが「あ、駐車禁止区間だ」と認識するであろう知名度抜群の標識だ。
警察庁交通局がまとめた統計によると、東京都特別区における瞬間路上駐車台数は、平成29年で5万1538台にのぼり、このうち違反車両の割合は85.7%。このデータを見てもいかに駐車違反に該当する路上駐車が多いかがわかる。
実は、冒頭の標識がなくても駐車禁止となる場所は意外なほど多く、なおかつ駐車違反に該当しない道路でも「停め方」次第で駐車違反となるケースもある。駐車違反となる11の場所、範囲とNGな停め方とは?
文:永田恵一
写真:Adobe stock
【画像ギャラリー】図解で見る! 駐車違反になる「場所」と「停め方」
標識がなくても「路駐」になる場所は意外に多い
交差点・横断歩道は駐車禁止の代表的な場所。駐車だけでなく停車も違反となる
そもそも「停車」と「駐車」の違いは? というと、大まかに言えば5分以内を目安にドライバーがすぐ車両を動かせる状態で、人の乗り降りや荷物の積み下ろしなどのためにクルマを路上に止める行為が「停車」、それ以外でクルマを止める場合は「駐車」となる。
(メイン写真のような)標識があれば、駐車禁止区間だと一目瞭然にわかるが、次にあげる11の場所、範囲では標識等がなくても駐車禁止となる。
■路上駐車が違法となる11の場所、範囲
・交差点、横断歩道
・自転車通行帯
・トンネル内
・坂の頂上、勾配のきつい坂
・踏切の10m以内
・運行時間中のバス停から10m以内
・交差点、路上のカーブから5m以内
・駐車場やクルマの出入り口から3m以内
・道路工事の現場から5m以内
・火災報知器から1m以内
・防火水槽や消防器具置き場、それらの出入り口を含め5m以内
クルマの人や車の往来が激しい交差点や横断歩道はもちろん、駐車が非常に危険な場所であるトンネルや見通しが悪く他車からの発見が遅れる坂の頂上なども駐車禁止となっている。
ここで注意したいのが「何m以内」という定義で、「その場所から前後○m」と考えがちだが、実際には「その場所から半径○m」と定められている。
そのため、こうした場所では対向車線側に駐車しても駐車違反となることがほとんどで、注意が必要だ。
「停め方」次第で路上駐車が駐車違反となる場合も!
駐車違反時にフロントウインドウに貼り付けられる放置車両確認標章。「この場所なら大丈夫」と停めても、その停め方によってはこの標章を貼られてしまう場合もある
ここまで読むと、「じゃあ先述のような駐車違反となる場所以外なら路上駐車しても良いのでは?」と思うかもしれないが、実は駐車違反にならない場所でも、クルマの停め方によっては駐車違反となる。それが以下のような場合だ。
【1】車両の右側に3.5m以上のスペースがとれない道路の場合
これは路上駐車した自車の外側を消防車のような大型車が通り抜けられなければならないためだ。
【2】路側帯がある道路で適切な位置に駐車していない場合
路側帯がない道路であれば左側ギリギリに寄せる必要があるが、路側帯がある場合は、以下のように道路によって適切な駐車方法が異なる。
・路側帯が単なる白線の場合=道路の左端から0.75m以上離して駐車
・左側が破線で右側が白線の「駐停車禁止路側帯」、白線2本の歩行者用路側帯の場合=車道の左側に寄せて駐車(※路側帯には駐車できない)
路駐できる場所でも時間無制限ではない
路上に設置されたパーキングメータの例。パーキングメータとパーキングチケットを合計して、平成28年時点で全国に2万2787件が設置されている
ここまで挙げた条件を満たした路上駐車が違法とならない道路でも、当然ながら道路は駐車場ではないため日中なら12時間以上、夜間は8時間以上連続して路上駐車すると駐車違反となる。
「標識等がない場所でも駐車違反になる路上駐車」の例は、周りの迷惑や交通の妨げになることを考えると納得できるものばかりである。
同時に、条件に当てはまらない“駐車違反にならない路上駐車”というのは、少なくとも首都圏や都市部ではほとんど該当箇所がないことも理解できるだろう。
さらに、路上駐車は違法でなくとも少なからず周りの迷惑や交通の妨げになるものなので、腹を立てた人にクルマを傷つけられたり、他車が避ける際に接触され、そのまま逃げられるといったリスクもある。
総合的に見ると原則として路上駐車をすることははじめから考えず、有料駐車場やパーキングメーターに駐車した方が、安心でき、ずっとリーズナブルなのではないだろうか。
(※四輪の場合最低でも駐車異変で1点の違反点数、1万円の反則金を科せられる)
そのためにもクルマで特に不慣れな場所に移動する際には、駐車場の下調べをし、時間に余裕を持つといった行動を心掛けてほしい。
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