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モデル末期のゴルフがさらにオイしくなった! ディーゼル・モデル試乗記

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モデル末期のゴルフがさらにオイしくなった! ディーゼル・モデル試乗記

VW(フォルクスワーゲン)「ゴルフ」に“TDI”と呼ばれる2.0リッターのディーゼル・エンジン搭載モデルが2019年10月1日からくわわる。

2012年に登場した現行ゴルフVIIはいまやモデル末期だけれど、年内に新型ゴルフVIIIが本国で発表されたとしても、ニッポン上陸は半年後、というわけにはいかないらしい。VW にはVWの世界戦略上の都合というものがあるからだ。逆にいうと、安心してください、完成度の高いゴルフVIIを現行型として楽しむ時間はたっぷり残されている。

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【主要諸元(TDI ハイライン マイスター】全長×全幅×全高:4265mm×1800mm×1480mm、ホイールベース:2635mm、車両重量:1430kg、乗車定員:5名、エンジン:1968cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ(150ps/3500~4000rpm、340Nm/1750~3000rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:FWD、タイヤサイズ:フロント225/45R17、価格:391万円(OP含まず)。フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)はTDI搭載のゴルフを、ハッチバックとワゴンのヴァリアントの2タイプ、4グレードそれぞれに用意。

いちばんお求めやすいのは323万円のTDIコンフォートラインから、ではあるけれど、ただしこちらは受注生産になる。ショウルームに飾られているのはデジタルメータークラスターとインフォテインメントシステムなどを装備した「マイスター」になる。

マイスターのメータパネルはフルデジタルの「アクティブ インフォ ディスプレイ」が標準。モデル末期になると設定されるこの特別仕様車は2019年6月に、ガソリン・エンジン搭載モデルに設定されて登場している。ナビゲーションとオーディオ等を組み合わせたインフォテインメントシステムと、デジタルメータークラスターなど、本来はオプションのものを最初から装備。前後LEDランプ、17インチのアルミホイールで、外観も華やかになっている。

車両本体価格は、スタンダードのゴルフTDIハイライン、362万円に対して29万円高の391万円(いずれも消費税10%込み)。それなりに高価ではあるものの、お買い得モデルであるのは疑いない。

マイスターは、純正ナビゲーション・システムおよびETC2.0対応車載器、モバイルオンラインサービス「フォルクスワーゲン Car-Net」などが標準(ほかのグレードはオプション)。5ダブルスポークの17インチ・アルミホイールは、ハイライン マイスター専用デザイン。素晴らしいディーゼル・エンジンで、このゴルフTDIハイライン マイスター、今回、河口湖周辺の一般道でごく短時間試乗したのみだけれど、きわめて好印象だった。まるで高級車である、とさえ思った。

ハイラインはもともとシートが本革になる高級車仕様である。それが試乗車の場合、シェトランドというオフホワイトで、白い革っていいね、という感じ。贅沢感がいやます。

ハイライン マイスターのシート表皮はレザーが標準。フロント・シートの調整は電動式(メモリー機能付き)。センターアームレスト付きのリアシート。専用エアコン吹き出し口付き。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。ラゲッジ・ルーム容量は通常時380リッター、リアシートのバックレストをすべて格納すると1270リッターに拡大する。なにより肝腎のディーゼル・エンジンがイイ。トルクの厚みがあって、じつに滑らかに走る。ボア×ストローク=81.0×95.5mmのロング・ストローク、排気量1968ccをグーっと圧縮して爆発させることで生まれる最高出力は150ps/3500~4000rpm、最大トルクは340Nm/1750~3000rpm もある。こちら、2018年に導入された「ティグアンTDI」とおなじスペックで、ティグアンがゴルフ・ベースのSUVであることを考えればむべなるかな。

車重は1430kgと、ガソリンの1.4TSI比で100kg、1.2TSI比だと200kgも重いけれど、7段DSG(デュアル・クラッチ・トランスミッション)とのコンビで軽やかに感じる。最大トルク250Nmの1.4TSIも、175Nmの1.2TSIだって、それぞれ1394ccと1197ccという排気量を考えたら驚くほどよく走るわけだけれど、TDIに乗ってみるとゴルフVIIの真打はこっちだったんだなぁ、と思わされる。疾(はや)きこと風の如く、駆動系の徐(しず)かなること林の如く、である。まわすとやかましいけれど、回さなくても十分速い。スポーティだとさえ感じた。

TDIエンジン搭載モデルのWLTCモード燃費は18.9km/L。搭載する1968cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ(150ps/3500~4000rpm、340Nm/1750~3000rpm)。排ガス浄化用のアドブルー(尿素水溶液)の充填口は、給油口のとなりにある。乗り心地も、しっとり感がある。試乗車のタイヤは225/45R17のブリヂストン「トランザ」が選ばれていて、扁平ゆえのやや硬めな印象はあるけれど、重い車重がよい方向に働いているのではあるまいか。

河口湖周辺の一般路の荒れた路面が低速でも気にならない。もともとゴルフTSIの乗り心地はいいと思っていた筆者をして、ゴルフってこんなによかったんだ、と再認識させた。

トランスミッションはデュアル・クラッチ・タイプの7AT。2015年に巻き起こった、いわゆる“ディーゼルゲート事件”をきっかけに、VWは電気自動車へと大きく舵を切った。今年のフランクフルト・ショウでは「ID.3」なる“未来のゴルフ”を披露してもいる。

そういうなかでニッポン市場にあらわれたディーゼルである。ゴルフVIIはこのTDIの登場によって、EVからプラグイン・ハイブリッド、ガソリン、そしてディーゼルと、あらゆるパワートレインを揃える唯一無二のモデルとなる、とVGJは誇らしげにうたっている。

The new Volkswagen ID.3ID.3の航続距離は、満充電時、420km(WLTPモード)に達する。欧州では2020年半ばに販売開始される予定。www.martinmeiners.deディーゼル・エンジンは捨てちゃうにはモッタイナイ技術である。EVにはEVの、バッテリーの処分をどうするかという問題もある。

ディーゼルには強力な低速トルクと低燃費という美点がある。なによりも、それは内燃機関である。アドブルー(尿素水溶液)を排ガス内に噴射する触媒を得たVWのTDI再評価が極東から世界に広がる、かもしれない。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

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