現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【メルセデス“小史”06】久しぶりの小型メルセデス、190シリーズが登場

ここから本文です

【メルセデス“小史”06】久しぶりの小型メルセデス、190シリーズが登場

掲載 更新
【メルセデス“小史”06】久しぶりの小型メルセデス、190シリーズが登場

かつて、メルセデス・ベンツといえば大きな高級車、というイメージが強かったが、現在ではAクラスやBクラスをはじめ、小型車のバリエーションも増えた。そんなメルセデス・ベンツの小型車の歴史を何回かに分けて振り返ってみたい。

第一次石油危機が、小型メルセデスの開発を進ませた
およそ20年の間、今でいうEクラス以上の大きなモデルしか作っていなかったメルセデスが、鳴り物入りでコンパクトな190シリーズを発表したのは1982年のことだった。

【スクープ】専用スペースフレーム採用か!? 特許公開でわかったRX-9の開発進捗状況

今まで書いてきたように、メルセデスは小さなモデルをつくろうと何度も試みていたが、実現しなかった。ところが1970年代には、小型モデルの必要性が切実なものになってきていた。安全や環境、そしてエネルギー問題が世界的に重大な関心事になり、自動車にも配慮が求められるようになってきていたのだ。

とくに1973年に勃発した第1次石油危機は決定的だった。メルセデスも燃料を節約できる小型車の開発に進まざるを得ず、1977年、ついに正式な開発へのゴーサインが下された。その2年前の1975年に、重要な輸出先であるアメリカで企業平均燃費規制「CAFE」が議決されていた。

CAFEとは、メーカーが販売するクルマの燃費の平均値が規定値を達成できないと巨額の罰金を払わなければならないという法律で、これをクリアするためには、メルセデスも小型車をつくって売らなければならないと見込まれたのだ。

小型車開発を決断した理由はほかにもあり、ラインアップを小型車まで広げることで、ブランドの活性化とユーザーの若返りを図りたいという思惑もあった。このフルライン化政策と、ブランド活性化の方向性は今日まで進展し続けており、190シリーズの開発は、メルセデス・ベンツにとって大きな一歩だった。

開発は大規模なものになった。たとえ小さいモデルでも、大きなメルセデスと同様の高い安全性、品質、走りなどが備わっていなければならず、ボディ、シャシ、エンジンと、全面的に新しい技術が開発された。

とくに画期的な新技術は、シャシである。新世代のメルセデス各車にも展開されるものとして、新しい形式のサスペンションが開発された。それがリアに採用されたマルチリンク・サスペンションである。今では上級車クラスを中心に、世界中のメーカーが採用しているマルチリンク方式だが、この190の開発時に、メルセデス・ベンツが実用化した。

スタイリングも新しく、ハイデッキで左右が絞り込まれたリアデザインをはじめ、新しい手法が取り入れられた。4ドアセダンでありながら燃費追求のために空気抵抗は非常に低く抑えられていた。スタイリングを統括したのは、この190シリーズ以外にも数多くのメルセデス車を手がけたブルーノ・サッコである。

190シリーズでさらに注目すべきは、スポーティモデルが設定されたことで、1983年にコスワース社が開発協力した直4DOHCを搭載した190E 2.3-16が追加された。これをベースにしたマシンでレースに積極参戦し、この時代までモータースポーツから遠ざかっていたメルセデスのイメージを、おおいに活性化することになる。

190シリーズが誕生する前は、今でいうEクラスに相当するモデルがコンパクトクラスと呼ばれていたが、190が出たことによりミディアムクラスと呼び名が変わった。190シリーズは大成功し、累計約188万台を生産。1993年に登場した2代目モデルからは、新たにCクラスと呼ばれるようになった。現在ではCクラスとして4代目に進化し、メルセデスの屋台骨を支える存在になっている。(文:武田 隆/写真:メルセデス・ベンツ)

メルセデス小史のバックナンバー

[ アルバム : ベンツ小型車の歴史6 はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

MBP Motoが「モルビデリ」を買収! 歴史的ブランドが復活へ
MBP Motoが「モルビデリ」を買収! 歴史的ブランドが復活へ
WEBヤングマシン
【20世紀名車ギャラリー】ポルシェの原点にして傑作RRスポーツ、1959年式ポルシェ356Aの肖像
【20世紀名車ギャラリー】ポルシェの原点にして傑作RRスポーツ、1959年式ポルシェ356Aの肖像
カー・アンド・ドライバー
次期型「ステップワゴン」!? ホンダ「新型ミニバン」公開! “窓なし”「丸テール」が斬新すぎる! 新型「スペースハブ」にユーザーの反応は?
次期型「ステップワゴン」!? ホンダ「新型ミニバン」公開! “窓なし”「丸テール」が斬新すぎる! 新型「スペースハブ」にユーザーの反応は?
くるまのニュース
まもなく世界初公開!? BMW新型「X3」が最終テストを終了 人気のミドルSUV 4代目はどう進化する?
まもなく世界初公開!? BMW新型「X3」が最終テストを終了 人気のミドルSUV 4代目はどう進化する?
VAGUE
15年ぶり全面刷新! トヨタの超本格・最大級「新型SUV」はデザインめちゃ良い! “機能美”極めた「カクカクボディ」の新型「ランクル250」とは
15年ぶり全面刷新! トヨタの超本格・最大級「新型SUV」はデザインめちゃ良い! “機能美”極めた「カクカクボディ」の新型「ランクル250」とは
くるまのニュース
トヨタが新型「ランドクルーザー250シリーズ」を発売、特別仕様車も設定
トヨタが新型「ランドクルーザー250シリーズ」を発売、特別仕様車も設定
@DIME
新型アリアNISMO実走テスト! ~電動スポーツ最前線~
新型アリアNISMO実走テスト! ~電動スポーツ最前線~
グーネット
すごい「ホンダ・ハッチバック」登場! 速そうな「リアウイング」初公開! めちゃカッコいいーシビック!? アクセスの新たな空力アイテムとは
すごい「ホンダ・ハッチバック」登場! 速そうな「リアウイング」初公開! めちゃカッコいいーシビック!? アクセスの新たな空力アイテムとは
くるまのニュース
まだパジェロのこだわりは新型トライトンに生きていた!?!?  さすがホンマもん!!  パジェロのスイッチがいちいちデカかったワケ
まだパジェロのこだわりは新型トライトンに生きていた!?!?  さすがホンマもん!!  パジェロのスイッチがいちいちデカかったワケ
ベストカーWeb
スズキ「GSX-R125 ABS」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
スズキ「GSX-R125 ABS」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
俺の[セブン]は最高だったのよ!! 君はFC型サバンナRX-7[アンフィニ]を知っているか? かつてオーナーだった古参BC編集部員の記憶
俺の[セブン]は最高だったのよ!! 君はFC型サバンナRX-7[アンフィニ]を知っているか? かつてオーナーだった古参BC編集部員の記憶
ベストカーWeb
300psオーバー「超進化型ハチロク」出るか?? GRヤリスエンジン+「チューニング対応」の新開発MT炸裂だ
300psオーバー「超進化型ハチロク」出るか?? GRヤリスエンジン+「チューニング対応」の新開発MT炸裂だ
ベストカーWeb
ツートンカラーのボディがかわいい! 車内もオシャレなトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
ツートンカラーのボディがかわいい! 車内もオシャレなトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
ええ、セダンなのに6人乗り?!  しかも超絶未来っぽいやん内装!!  アメリカからやってきたプロナードがイカす
ええ、セダンなのに6人乗り?!  しかも超絶未来っぽいやん内装!!  アメリカからやってきたプロナードがイカす
ベストカーWeb
モビリティリゾートもてぎに働くクルマが大集合!白バイやパトカーのパレードランも開催!
モビリティリゾートもてぎに働くクルマが大集合!白バイやパトカーのパレードランも開催!
グーネット
アルトの元祖は商用車?! 軽にインタークーラー付ターボ・チャージャーはイカツイて! 茨の道をパワーで突き抜けた「漢」初代アルトワークス
アルトの元祖は商用車?! 軽にインタークーラー付ターボ・チャージャーはイカツイて! 茨の道をパワーで突き抜けた「漢」初代アルトワークス
ベストカーWeb
シビックを着る!歴代12モデルをデザイン、ホンダ公認Tシャツ新登場 キャムショップ
シビックを着る!歴代12モデルをデザイン、ホンダ公認Tシャツ新登場 キャムショップ
グーネット
車の電動化はどこまで加速する? 専門家に聞く、自動車業界のイマとミライ【前編】
車の電動化はどこまで加速する? 専門家に聞く、自動車業界のイマとミライ【前編】
グーネット

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

480.0850.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.01280.0万円

中古車を検索
190シリーズの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

480.0850.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.01280.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村