■四輪車メーカーとしての基盤を作り上げた「N360」
1972年7月、ホンダは4輪事業社として本格的な小型車の、初代「シビック」をデビューさせます。国内のみならず、グローバル市場を見据えたホンダ製コンパクトカーの登場でした。そんなシビックにはどのような歴史があるのでしょうか。
ホンダは1967年、四輪車メーカーとしてその基板を作り上げることになる軽自動車「N360」で、市場に旋風を巻き起こしました。N360は、瞬く間にそれまでのトップセラーであるスバル「360」を抜き去り、軽自動車のベストセラーカーに登り詰めたのです。
N360はボディが、英国のミニを思わせるフォルムを持ち、空冷4サイクルの354cc 2気筒エンジンで前輪を駆動する画期的なクルマでした。
N360の登場から5年、ホンダは4輪事業で確固たる足場を築くべく、世界戦略車の初代シビックを発表。シンプルな2ドアボディに1.2リッター4気筒OHCエンジンをフロントに横置き搭載し、前輪を駆動する欧州車的なレイアウトのクルマでした。
デビュー当初はハッチバックではなく、独立したトランクを持った2ドアモデルだけでしたが、すぐにリアゲートを持った3ドアハッチバック車が追加されます。
デビュー時の2ドアボディのサイズは全長3405mm×全幅1505mm×全高1320mm、前後オーバーハングをギリギリまで詰めて2200mmのロングホイールベースとし、サスペンションはスペース効率に有利な全輪ストラット式の独立で、大人4名がゆったり乗れる広い室内を得ていました。
ベーシックモデルのエンジンは1.2リッターで、最高出力60馬力、最大トルク9.5kg.mを、上級モデルには69馬力バージョンを搭載していました。
トランスミッションはフロアシフトの4速MTで、1973年5月に2ペダルの「ホンダマチック」が追加されます。600kg強程度の車体を引っ張るには十分なパワートレインでした。
1973年12月に、搭載エンジンも1.5リッターとし、ホイールベースを80mm延長してやや大きくなったボディの4ドアモデルを追加。同時に、ホンダ独自の副燃焼室を備えた低公害CVCCエンジンを積んだ「CVCC 1500」を発表し、シビックは環境対応車として世界的な好評価を得ます。
ホンダが送り出したCVCCエンジンの大きな特徴は、ほかのメーカーが排気ガス浄化について後処理装置に頼っていたなかで、排気ガスのクリーン化をエンジン本体だけで達成したことです。「エンジン屋ホンダ」の真骨頂といえる環境エンジンでした。
しかし時代は、日産「スカイラインGT-R」や「フェアレディZ」、トヨタ「セリカ」、三菱「ギャランGTO」など、スポーツモデルのラッシュが続いた時期です。
特筆すべきハンドリング性能を持っていたシビックにも、よりパワフルなスポーティモデルを望む声がホンダファンから挙がっていました。それに対してホンダは、1974年12月に「シビック1200 RS」をラインナップすることで応えます。
3ドアハッチバックのボディは全長3650mm×全幅1505mm×全高1320mm、ホイールベース2200mm。1.2リッターの4気筒エンジンはツインキャブレター仕様とし、76馬力の出力と10.3kg.mのトルクを発揮。また、シビック初となる155SR13サイズのラジアルタイヤを装着しました。
■懐かしき愛称が付いた2代目から7代目はどんなクルマだった?
1979年7月、シビックは2代目にフルモデルチェンジします。2代目は、ホンダが公式につけたキャッチコピー「スーパーシビック」という愛称で親しまれます。
ボディ形状は3ドアハッチバックと5ドアハッチバック、そして80年に追加となる4ドアセダンとステーションワゴン「カントリー」をラインアップしました。
エンジンは1.3リッター(68馬力/10.0kg.m)と1.5リッター(80馬力/12.3kg.m)のほかに、初代RSを引き継ぐスポーティグレード「CX」には専用の85馬力バージョンを搭載しました。
初代を受け継いだキープコンセプトモデルの2代目シビックですが、残念ながらマツダ「ファミリア」など数多くのライバル出現で国内販売は低迷します。
1980年代に入ると、小型車だけでなく国産車の多くが前輪駆動モデルに転換します。ライバル各社に先んじて前輪駆動技術で牽引してきたホンダは、その代表車種シビックを1983年9月に3代目にモデルチェンジします。大胆にイメージを変えた戦略モデル「ワンダーシビック」の登場です。
ボディタイプが多彩なことも特徴で、主役の3ドアハッチバック、独立したトランクを持つ4ドアセダン、そしてステーションワゴンの「カントリー」に代えて5ドアハッチバックのマルチパーパスモデル「シャトル」をラインアップしました。
そして、「S800」以来となるDOHCエンジン(ZC型)が復活したことが、話題となります。
1987年9月に4代目「グランドシビック」にモデルチェンジします。フロントグリルレスとロングルーフによるデザインフィロソフィーは受け継ぎますが、ボディはやや大型化し、ZC型DOHCエンジン搭載の3ドアハッチバック「Si」で、全長3965mm×全幅1680mm×全高1335mm、ホイールベース2500mmとなりました。また、足回りがアコードやプレリュードなどと同じ4輪ダブルウイッシュボーン式独立となります。
バブル経済が崩壊した1991年9月、シビックは第5世代「スポーツシビック」に引き継がれ、このモデルで4ドアセダンに「フェリオ」の名が付きます。B16A型エンジンの最高出力は、170馬力とクラス最高となりました。
1995年9月、20世紀最後となる6代目「ミラクルシビック」がデビューします。多くの競合車が大型化するなか、シビックのボディサイズも5ナンバー規格ギリギリまで車幅が大きくなり、3ドアハッチバックのタイプRで全長4185mm×全幅1695mm×全高1360mmで、ホイールベースは3ドアハッチバックでもセダン共通の2620mmとCセグメント並みに延長されます。
1997年に投入となった3ドアハッチバック「タイプR」は、同社「NSX」や「インテグラ」に次ぐ第3のタイプRでした。搭載したB16B型1.6リッター4気筒VTECエンジンは、185馬力、16.3kg.mを発生するNAエンジンでした。
以降、シビックはグローバルモデルとして仕向地ごとに細かな仕様が生まれ、非常に複雑なモデルラインとして各国で販売されます。
2000年9月に登場した7代目となる「スマートシビック」は当初5ドアモデルとフェリオのみのラインナップで5ドアEUにはインパネシフト、前後左右にウォークスルーが可能なフラットフロアを採用。
ミニバンに近い高効率パッケージングによって広大な室内空間を実現2001年12月6日に追加された「タイプR」(EP3型)は、イギリスから輸入されて販売されました。
同月にフェリオをベースにしたハイブリッドカーのシビックハイブリッド(ES9型)が発売され、専用エアロパーツ、専用アルミホイールなどを装備します。なお、キャッチコピーに基づく愛称はこの代が最後となりました。
■大型化が進む8代目から現行モデルとは
2005年に8代目として国内でハイブリッド車を発売し、2007年にはタイプRが復活。8代目シビックは、ドライバーに深い歓びを感じさせる新たな資質「センシャス・クオリティ」の創造をコンセプトに開発されました。
時代の流れからボディが拡大し、国内でも全幅1750mm-1755mmと3ナンバーサイズとなります。
またエンジンには、新開発の1.8リッターエンジンを搭載し、シビックハイブリッドは31.0km/Lという超低燃費を両立しました。
さらに、ドライバーの運転負荷や安全面での向上も図られており、クラス初の車速・車間制御機能IHCCや、追突軽減ブレーキを採用するなど、時代の進化に合わせた工夫が目立つモデルといえます。
9代目シビックは、2011年から海外市場を中心に販売が開始されます。先代からやや全長は短くなったものの、大型車としての路線は変わらずに、8代目のコンセプトを受け継ぐものでした。なお、日本での発売は予定されていたものの結果的に発売はおこなわれませんでした。
2017年7月、日本市場においては8代目の販売終了以来、7年ぶりとなる10代目シビックが登場しました。
外観は、8代目と9代目を通して地域ごとに異なっていたボディサイズの統一が図られたことにより、シャープで端正な仕上がりとなります。小型のハッチバックタイプの登場により、久しぶりのシビックらしさが戻ってきたモデルといえるでしょう。
ラインナップには、1.5リッターターボエンジンと6速MT、CVTを組み合わせた「ハッチバック」、1.5リッターターボエンジンとCVTを組み合わせた「セダン」、2リッターターボエンジンと6速MTを組み合わせた「タイプR」の3モデルが設定されました。
また、先進技術の搭載も充実しており、「ハッチバック」、「セダン」のCVT車には「Honda SENSING」を設定しており、走りの性能のみならず安全性に配慮している点が特徴的です。製造はセダンは埼玉製作所寄居工場生産の国産車、ハッチバックとタイプRは英国で製造し輸入する形がとられています。
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