■盗難被害でもトヨタブランドは強かった?
クルマを購入した後、気になるのが盗難被害。最近では、「リレーアタック」という新しい手口もニュースなどで取り上げられています。
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日本損害保険協会が発表した車名別盗難状況では、レクサスが2018年から2.6倍の66件に増加し、ワースト1位(2018年ワースト4)となりました。盗難されやすいクルマにはどのような特徴があり、盗まれないためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
車名別盗難における上位車種の特徴として、トヨタブランド(レクサス含む)ということが挙げられます。2018年の車名別盗難状況では、1位「レクサス(トヨタ)」2位「プリウス(トヨタ)」3位「ランドクルーザー(トヨタ)」4位「ハイエース(トヨタ)」となり、9位に登場するホンダ「ヴェゼル」まではトヨタ車が占めています。
とくに、プリウスは、2016年車名別盗難状況の全体のうち20%、2017年は22.3%となり、盗難の被害が減少した2018年でも全体の15%を占めるなど、窃盗グループに狙われているクルマといっても過言ではありません。
今回のランキングを発表した日本損害保険協会は、「2017年調査まで4年連続ワースト1だったプリウスは、2018年調査ではワースト2と依然として盗難数が多く、車両本体盗難の被害が特定の車種に集中する傾向が続いています」とコメント。
また、愛知県では、2018年にレクサスのミドルサイズSUV「RX」の盗難が増加し、転売されるだけでなく走行性能の良さから窃盗グループの移動手段として使われているといいます。
なぜ、トヨタ車が狙われやすいのでしょうか。国内外で中古車の取引をおこなっている専門業者は、次のように説明しています。
「トヨタ車が狙われやすいのは今に始まったことではありません。元々、トヨタブランドは世界の自動車メーカーのなかでも耐久性や信頼性が高く、新車・中古車にかかわらず人気があります。
とくに、ランドクルーザーは世界中のあらゆる環境下においても走行可能な高い性能をもっているので、中東や南米などでも人気が高いです。また、プリウスも同様にハイブリッド車のパイオニア的存在ということもあり、中国などのアジア圏で人気です。
盗難車の多くは、正規ルートではない方法で海外に運ばれます。国内で盗難車を売る場合は、出所が判明される可能性が高いため、部品ごとに解体して輸出先の国で元に戻すなどの作業がおこなわれるといいます。
一概にはいい切れませんが、『中古車市場で人気のクルマ=狙われやすい』ともいえるかもしれません。また、レクサスが人気となった背景には、信頼性が高いトヨタの高級ブランドということで、世界的に人気が高まっていることが大きいと思います」
※ ※ ※
2000年前半には、トヨタ「RAV4」も盗難されやすいクルマに挙げられ、ユーザーの要望も多かったこともあり、2006年8月の一部改良では、盗難防止を配慮した機能としてIDコードが登録された鍵(キー)以外では、エンジンが始動しないシステムを標準装備した経緯もあります。
■広がる手口、どのような対策が必要か
盗難被害に遭う条件として、「時間」と「場所」が大きな要素を占めています。日本損害保険協会の発表によると、もっとも盗難事故が起きる時間帯は「深夜から朝(22時から9時)」が全体の7割強を占めるという結果になりました。
盗難が起きた場所として「自宅の屋外」が約5割となり、屋外の契約駐車場での被害を含めると7割強という結果です。このことから、被害は人々が寝静まる深夜の時間帯にかけて、侵入しやすい屋外駐車場が狙われやすいようです。
従来の盗難手口としては、「金尺・針金を使う」「鍵穴の破損・ピッキング」「ガラスを破る」など物理的なものが多く存在していました。
しかし、最近では電波を使って開閉錠をする電子キーの普及により、リレーアタックと呼ばれるような新しい手口が問題となっています。
以前までの鍵穴に差し込むタイプであれば、自動車メーカーは、盗難を防ぐ車両側の対策として「ドア鍵穴からのエンジンキーの複製防止」や「キーシリンダーの破壊を防止する強度向上」、「キーを使わずドアを開けると警告音が鳴るオートアラームの採用」など、さまざまな対策をおこなってきました。しかし、これらの対策は「リレーアタック」には通用しません。
リレーアタックとは、電子キーが発する電波をキャッチして、その電波を特殊な装置により増幅させてクルマの近くにいる人に飛ばすことで、電子キーを持っていなくても解錠できるという仕組みです。
現時点での対策方法としては、金属製などの遮蔽物で電子キーの電波を遮断することが有効とされています。いまではカー用品店などでさまざまな専用の対策グッズも販売されるなど、リレーアタックのニュースをきっかけにユーザー認知が進むことで、社会全体での対策が可能かもしれません。
また、自動車メーカー側の対策方法として、レクサスの販売店スタッフは次のように説明しています。
「最近のモデルでは、クルマを追跡するサービス『G-Security』や電子キーを複雑化するなどさまざまな対策をおこなっています。
また、ニュースを見たお客さまからも『リレーアタック』に関するご相談を受けます。その際には、電子キーの仕組みを説明したうえで、個々の車両保管方法に合わせて対応策をお伝えしていることもあります」
※ ※ ※
基本的な対策方法としては、「バー式ハンドルロックや警報装置などの盗難防止機器を使用する」「狙われやすいような貴重品を車内に放置しない」など、複数の防犯対策を講じることが有効です。
また、自宅の駐車場でも安心せずに、防犯カメラや防犯灯などを利用して窃盗犯が心理的・物理的に侵入しづらくすることも重要といえます。
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