■オイルが汚れるのはなぜ? エンジンオイルの仕事
クルマに乗っていると、さまざまな部品が劣化していきます。とくにエンジンは定期的なメンテナンスが必要ですが、なかでもエンジンオイル交換は、走行距離や期間によって交換時期が指定されています。
では、オイルを交換しないまま乗り続けると、どのような不具合が起きるのでしょうか。
エンジンオイルは、エンジン内部のピストンとシリンダー、クランクシャフトなど、金属部品の可動部で生じる摩擦を潤滑にする働きを持っています。
また、潤滑作用のほかに、燃料の燃焼で上昇した温度の冷却作用、シリンダーとピストンの間の気密性を保つ密封作用、内部の防錆作用、エンジン内で生じた汚れを取り込み、内部を清浄に保つ作用も担っています。
エンジンが作動していると、内部では燃料を燃焼することで運動エネルギーを生み出しますが、その燃焼がさまざまな要因で不完全になる場合があり、カーボンスラッジという燃えカスが発生しています。
この燃えカスはエンジン内部でエンジンオイルに溶け込みます。また、金属の摩擦を潤滑することで生まれるゴミや、小さな金属の粒子も発生し、これもエンジンオイルに混入することでオイルは汚れるのです。
そのため、オイル交換などのメンテナンスを適切におこなっていないと、不純物やスラッジがエンジン内部に蓄積してさらなる不完全燃焼の原因となったり、油圧経路の詰まりなどからバルブタイミング機構に不調をきたして燃費が悪化するだけでなく、オイルの潤滑不足からエンジンが焼き付く恐れがあります。
エンジンオイル交換は、エンジンを保護するとともに、クルマの安定した走行に欠かせないメンテナンスなのです。
ひと昔前まで、エンジンオイルの交換のタイミングについて「走行5000km、または半年」と一般的にいわれていましたが、現在の国産車の自然吸気ガソリン車は「走行1万5000km、もしくは1年」としているのが一般的です。また、ガソリンターボ車やディーゼルターボ車は「5000kmまたは6か月」となっています。
オイルの交換タイミングについてオートバックスセブンは、次のように話します。
「クルマの取扱説明書が推奨するオイル交換サイクルは、何のストレスも無いベストな状態で走行しているクルマに当てはまる尺度です。
酷暑が続くような夏では、都内の渋滞路ばかり走行したクルマのオイルなどは、早期に汚れて硬くなっています。そのため説明書の半分程度の交換サイクル(1万kmを推奨しているなら5000kmなど)をおすすめしています」
※ ※ ※
最新のエンジン生産技術・組付け精度の向上やオイルの性能上昇によって、オイル交換時期は延びる傾向にあるだけでなく、センサーの発達によりオイル内のカーボン量を測れるクルマでは、必要に応じてクルマがオイル交換を促す場合もあります。
■「過酷な使用条件」のオイル交換サイクルも定められている
前述したオイル交換時期は、一般的な通常走行で使っているクルマに該当した交換サイクルですが、自動車メーカー各社は「過酷な使用条件」で走行したクルマのオイル交換サイクルも別途定めています。
一般的に「シビアコンディション」といわれる使用条件で、具体的にはダートの凸凹道、轍(わだち)路面、埃が立ちやすい悪路走行、峠道などアップダウンが多い登坂路、標高の高い高地走行、長時間のアイドリング、そして一度の走行が7km未満の短距離繰り返し走行などが該当します。
このシビアコンディションで走ったクルマのオイル交換の目途は、各メーカー共に自然吸気ガソリン車で「7500km、または6か月」、ガソリンターボ車で「2500km、または3か月」、ディーゼルターボ車では「2500kmから1万km、3か月から6か月」とメーカーでは推奨しています。
このなかで気をつけたいのが、ショートトリップによるオイルの異常劣化です。近所の買い物などの短距離使用は、エンジンが暖まる前にエンジンを止めるため、エンジンオイルの一般的な交換目安である「走行1万5000km、もしくは1年」になかなか達しません。
しかし、冷えたエンジンを始動するコールドスタートでは、排気ガス浄化装置の触媒を素早く暖めるために濃いガソリン混合気を噴射し、濃い燃料比率状態でエンジンの運転・停止を繰り返すと未燃焼ガスがエンジンオイルに溶け込みやすくなります。
その結果、オイルがガソリンで希釈され白濁したようになり、粘りのない油膜切れを起こしやすいオイルになります。短距離走行を繰り返したクルマのオイル注入口のキャップを開けてガソリン臭がある場合、注意が必要かもしれません。
では、定期的なオイル交換は、どこでおこなうのが良いのでしょうか。
新車で購入したクルマであれば、もっとも安心なのは、購入した販売店で点検整備とともにおこなうことです。正規販売店であれば大型ジャッキで持ち上げて、ドレーンコックを外して、いわゆる「下抜き」で劣化したオイルを完全に回収し、ドレーンワッシャーを新品と交換してから、車種に合った新鮮なオイルを規定量注入します。
対して、街の修理工場などでは「下抜き」をせず、オイルチェンジャーによる「上抜き」での交換作業が多いといいます。これは、修理工場ではその車種毎に純正ドレーンワッシャーの用意が無く、抜いたドレーンを流用することによるオイル漏れを嫌うからです。しかし、この方法では古いオイルを完全に抜くことはできません。
なお、セルフ給油タイプのガソリンスタンドが増えたことで、ガソリンスタンドでオイル交換できるところは減少しているといい、自分で交換する場合でも抜き取った廃油(産業廃棄物)の処理が足かせになるようです。
加えて、オイルエレメント(オイルフィルター)の交換も考慮すると、正規販売店での作業が純正パーツの調達を含めて確実だといえます。なお、エレメントの交換は、オイル交換2回に一度といった目安でおこないましょう。
※ ※ ※
エンジンオイルの交換は、クルマを正常に使うために必要なメンテナンスですが、当然ながら交換の目安はクルマの仕様や利用状況によっても変わります。
走行距離や期間だけを目安にするのではなく、定期的なオイルチェックを怠らず、異常を感じた場合には販売店などに相談することを心がけましょう。
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