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業界ニュース 2019.9.17

「いきなりエベレスト登頂は無理だった」ホンダF1復帰5年目の大躍進の裏側を探る

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■2015年にF1に復帰したホンダは苦難の連続だった

 フォーミュラ1(以下、F1)に挑戦するホンダが、2019年はシーズン半ばまでに2回優勝する大活躍を示しています。ホンダのF1といえば、つい最近まで苦戦続きで、ドライバーからも散々非難されていたはずです。

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 それが、今年に入って大躍進を果たしたのは、一体なぜなのでしょうか。

 ホンダと組んで2勝を挙げたのは、レッドブル・レーシング(以下、RBR)というチームです。設立16年のRBRは、F1チームのなかでどちらかといえば新興勢力ですが、その短い歴史のなかで4回タイトルを勝ち取った実力派でもあります。ホンダはこのRBRと組むことで、大きな成功を収めたのです。

 リーマンショックの影響で2008年シーズンでF1から撤退したホンダですが、2015年には6年ぶりの復帰を果たします。そのときパートナーに選んだチームはマクラーレンでした。

 マクラーレンといえば54年の歴史を持ち、8回チャンピオンに輝いた名門中の名門。かつてホンダは1988年から1992年までマクラーレンと組んでいて、このときは5年間で4回タイトルを獲得する戦績を収めています。

 しかも1988年には全16戦中15勝を挙げる快挙まで達成。当時のマクラーレン・ホンダはまさに無敵の存在でした。

 そんな過去があったので、マクラーレンと組んで復帰したホンダに対しても大きな期待が寄せられていました。当時、ホンダ栃木研究所の技術広報室長で、いまはホンダF1のマネージングダイレクターを務めている山本雅史氏でさえ、「マクラーレンと組めばすぐに勝てるようになる」と思っていたそうです。

 しかし、現代のF1はどれだけ実力のあるチームや自動車メーカーであっても、すぐに成功を収められるほど簡単なレースではありません。

 そもそも、ホンダが休止していたあいだに、F1マシンの動力源はハイブリッドへと進化。ここにホンダは1年遅れで参入することになったため、性能的に遅れをとるのは仕方ありませんでした。

 いっぽうのマクラーレンも、これと前後して首脳陣や技術陣に大きな変化があり、体制面で安定しているとはいえない状況でした。それにもかかわらず、マクラーレン・ホンダが過去に残した成績が突出してよかったため、どちらの側にも焦りが出て実力を出し切れなかったようです。

 山本氏は当時を振りかえって、次のように語ります。

「山登りにたとえていえば、いきなりエベレストに登れないのと同じですよ。やっぱりちゃんとステップを踏まないと高い山には登れない。マクラーレンと組んで、僕たちはそんなことを学んだのかもしれません」

■2018年にトロロッソと組んで再出発したホンダ

 不本意な成績しか挙げられなかったマクラーレンとホンダは、2017年を最後に関係を解消します。「ここはおたがい1回リセットして出直そう」という判断だったと見ていいでしょう。そして名門マクラーレンに続いてホンダが組んだのがトロロッソでした。

 もともとミナルディという名前で設立されたトロロッソは、これまで35年間にわたってF1を戦い続けてきましたが、規模が小さいこともあってチャンピオン争いに加わったことのない、どちらかといえば弱小チームです。

 彼らは2006年にエナジードリンクメーカーのレッドブルによって買収され、チーム名をトロロッソに改めました。トロロッソはイタリア語で「赤い牛」、つまりレッドブルを意味しています。また、メインスポンサーが共通であることもあって、RBRとトロロッソは兄弟チームのような関係にあります。

 トロロッソとの提携を山登りにたとえれば、「目標をエベレストから富士山に切り替えて、ひとまず練習として高尾山に登ってみよう」といえるかもしれません。

 ただし、この方針は大成功でした。1段1段のギャップが大きすぎて躓いてばかりだった状況から抜けだし、確実に前進できるようになったからです。いわば、ホンダは「急がば回れ」を実践したわけです。

 そうした着実な進歩がRBRの目にとまり、RBRはホンダと交渉を開始。話はトントン拍子に進んで2019年からトロロッソに加えてRBRにもパワーユニットを供給する方針が固まり、これが功を奏して快進撃が始まったのです。

※ ※ ※

 2019年10月11日から13日には鈴鹿サーキットを舞台にF1日本グランプリが開催されます。1年に1度だけ、日本でナマのF1レースを見られる日本グランプリを楽しみにしているファンは少なくないでしょう。

 また、日本GPはホンダにとっても地元で開催される大事なレースでもあります。どんな意気込みで日本グランプリに挑もうとしているのか、山本氏に聞いてみました。「鈴鹿のレースはホンダにとってももちろん大切。できるだけのことはするつもりです」

 ここで幸運だったのは、RBRホンダの初優勝を挙げたのがオーストリアGPだったことです。というのも、オーストリアGPの舞台であるレッドブル・リンクはRBRのホームサーキットだからです。

「オーストリアGPで優勝したとき、RBRの人たちから『次は鈴鹿だね』といってもらいました。それだけ彼らも日本GPを大切に思ってくれているのです。この先もレースで勝つために必要な要素をしっかり積み上げていって、鈴鹿でいい結果が残せるように頑張っていきたいと思います」(山本氏)

 RBRとともにホンダ製パワーユニットを使うトロロッソも、今年のドイツGPでは久々の表彰台に上るなど絶好調です。

 RBRとトロロッソ、そしてホンダが鈴鹿でどんな活躍を見せてくれるのか、大いに期待したいところです。

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(くるまのニュース 大谷達也)

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