現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「広島偏重」を打破、通産OBでマツダ元社長の古田徳昌さんを悼む[新聞ウオッチ]

ここから本文です
業界ニュース 2019.9.18

「広島偏重」を打破、通産OBでマツダ元社長の古田徳昌さんを悼む[新聞ウオッチ]

  • みんカラ つぶやく
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

3連休中の読売(9月14日付朝刊)などでも報じていたが、通産省(現経済産業省)出身で、1987年から91年までの4年間、マツダの7代目社長を務めた古田徳昌さんが心不全のため亡くなった。葬儀日程などは遺族の意向で非公表のようだが、享年91というご長寿とはいえ、第一線を退いてからしばらくお目にかかる機会がなかっただけに、突然の訃報に接すると、やりきれない思いがする。

    マツダCX-30のオススメは高速道路で美点多いディーゼル。後席や硬めの乗り心地は要確認

仕事柄、取材などを通じて古くからの知り合いは多いが、古田さんとは初めて出会ったのは駆け出し記者の頃でもう40年以上も前。資源エネルギー庁の石油部長時代で、オイルショックによる原油価格の高騰で大騒ぎだった。日中平和友好条約が締結された後の1980年には古田さんら当時の通産幹部とともに、中国の東北部まで同行取材をしたこともあった。10日間ほどの日程で撫順の露天掘り炭鉱や大慶の油田などを視察しながら、技術援助やエネルギー資源の安定供給のための、事務レベルの交渉を熱心に行っていたことを思い出す。

その後、古田さんは貿易局長などを歴任して退官後は、電源開発(J-POWER)理事に就任するが、85年10月には畑違いのマツダへ。“新聞辞令”による内定の時点で当時、筆者は経済誌で自動車業界を担当していたことから、直接本人に確かめると「先輩(両角良彦・元通産事務次官)から『次は“住友自動車”だ』と伝えられた」と、オフレコながら正直に話してくれたのを覚えている。いわゆる官僚の天下りで、一般的には監督官庁とのパイプを太くするための窓口役を担当するケースが多く、その時点では本人も“社長含み”とは考えてもみなかったようだ。

ところが、マツダでは当時の山本健一社長が任期半ばで健康上の問題を理由に退任を決意。後継者選びの過程では、当初メインバンクの旧・住友銀行出身の筆頭副社長に白羽の矢が立てられたが、再び“住友支配”の印象を与えることを嫌った住銀首脳が拒否。そこで入社歴わずか2年の通産OBの古田さんがいきなり大抜擢されるという、どんでん返しのトップ交代が行われた。

当初は“タナボタ社長”とか“妥協の産物”とか評判はイマイチだったが、社風の改革や販売体制の拡充強化など、バブル景気に踊らされたこともあるが、プロパーにはなかなかやれなかった柔軟な発想で味のある経営を断行した。在任中にはルマン24時間耐久レースにロータリーエンジン搭載車で挑み、日本車として初優勝を飾ったことでも話題になった。古田さん自身、在仏日本大使館の参事官として欧州駐在の頃は「よく長距離ドライブを楽しんでいた」という運転歴から、テストコースを150km/h以上の猛スピードで走り抜けるなど、還暦を過ぎてからA級ライセンスにも挑戦したほどだった。

今の経営者には少ないが、なかなかの趣味人でもあり、小唄は春日流名取、囲碁は4段、ゴルフもハンデ12の腕前だが、新宿の歌舞伎町の行きつけのピアノバーでは、石原裕次郎の『北の旅人』や小林旭の『熱き心に』などが得意で、好きなワインのグラスを片手に持ちながら生演奏に合わせてよく歌っていた。

社長時代にインタビューした中で印象深かったのは、経営企画部門などの中枢機能を東京に移して、実質的な広島と東京の2本社制導入の試みである。「いつまでも狭い一つの地域にしがみついてばかりいては、モノのとらえ方や考え方が狭くなってしまう」という危惧の念から、ぬるま湯に浸かった社員たちへのショック療法でもあった。

それまでマツダの東京の事務所といえば、五反田駅前の狭いオフィィスビルから、日比谷の帝国ホテルに隣接する大和生命の高層ビル(現U-1ビル)に引っ越したばかりで、企業風土を変えるチャンスでもあった。それから30年が過ぎ、日比谷地区の再開発計画でその高層ビルも取り壊されるという。年内にはマツダの東京本社も官庁街にある霞が関ビルに移転する予定だ。そして来年1月には創立100周年を迎えるが、すでに鬼籍に入られた山崎芳樹さんや山本健一さんら歴代の社長とともに、功罪相償う古田さんにしても、社史に刻まれるような一つの時代を築いた先駆者だったことに変わりはないだろう。合掌。

2019年9月17日付

●サウジ攻撃、トランプ氏「臨戦態勢」イランへ報復示唆、原油一時19%高(読売・1面)

●ポスト西川、再建への要、日産絞り込み社内は3氏有力(読売・3面)

●米のGM工場全面スト、12年ぶり待遇改善で交渉決裂(読売・9面)

●自動車保険サービス競争、大手4社値上げへ、顧客つなぎ留め(読売・9面)

●声で操作カーナビアプリ、LINE無料で提供、運転中にメッセージも(読売・9面)

●千葉7万戸停電続く(朝日・1面)

●視点、車改造に専用保安基準を、障害者ドライバーに法規制の壁(東京・4面)

●西川日産社長が退任、取締役には留任(日経・11面)

  • みんカラ つぶやく
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(レスポンス 福田俊之)

コメントの使い方

みんなのコメント

ログインしてコメントを書く

(株)カービュー関連サービス

メールマガジン メールマガジン

愛車無料一括査定

あなたの愛車今いくら?

車の種類を選択
事故車 商用車
お住まいの郵便番号を入力
-
※郵便番号がわからない方はこちら

※(株)カービューのページへ移動します