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業界ニュース 2019.9.16

「200マイルオーバーの戦い」フルチューンFC3Sで世界最速に挑んだ男の物語/後編【DANDY×FC3S 最速王座・奪取計画 at 2009】

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舞台は白銀のソルトフラッツ、目標は390km/hオーバー!

チームDANDY密着レポートDay.5~7

    「ボンネビルスピードウィークのすべて」フルチューンFC3Sで世界最速に挑んだ男の物語/予告編【DANDY×FC3S 最速王座・奪取計画 at 2009】

Day.5(8/12 Wed.)

10kg/cm2超の油圧に負けてオイルクーラーがパンク!!

ラクにパスできると思われたライセンスBの取得で図らずも足踏み。しかも、この日の1本目、またしても4速8300rpmでスピンしてしまった。

「アクセルを踏んでいてもいなくても、170MPHあたりでリヤの接地感がなくなり4輪ドリフト状態になってしまう」という常世田サン。それを受けて、ついに対策が施されることになった。ウエイトを載せることでリヤ荷重のアップを狙うのだ。

用意したのは砂袋。これをリヤラゲッジに搭載する。ところが「ウエイトは固形物で、かつボディにボルトで固定しなければダメ」とのことで認められなかった。

次の手として、機能していない純正燃料タンクに水を50L注入。それが功を奏し、2本目で190.517MPH(306.5km/h)を記録し、ようやくライセンスBを手にすることができたのだ。

常世田サンも「今回は2.25~3マイル区間で4速8700rpmをキープできました。まだリヤの挙動がナーバスですが、浮きあがるような感覚はなくなったので方向性は間違ってないですね。それにしても、ショートコースでこんなに苦しむとは思いませんでしたよ」とのこと。

しかし、すべてのことがうまく運んだワケではなく、2本目のアタックでエンジンオイル漏れが発生。オイルクーラーにクラックが入り、そこから吹き出してしまったのだ。

常世田サンによると、「3マイルあたりでプシュッとオイルをふいて、車内にニオイが充満した」とのことで、バンパーからボンネットまでオイルが付着。リヤの挙動の問題が解消方向にあったところで、新たなトラブルが発生した。

エンジンルームも当然、オイルまみれ。オイルクーラーIN側取り出し口のつけ根にクラックが入り、そこからオイルを噴いたのだ。原因はアイドリング時6kg/cm2、走行中はおそらく10数kg/cm2に達してると思われる高い油圧と推測された。

幸いエンジンにダメージはなさそうだけど、修理にかかる時間を考えると、この日のうちにロングコースのスタートラインに並ぶのはムリと判断。翌朝、修理を行って走らせることになった。

以下、田中サンのコメントだ。「オイルクーラーのパンクだけど、実は日本で実走セッティングしてる時にも、まったく同じところにクラックが入ったんだよね。そもそも油圧を10数kg/cm2もかけることなんて想定した設計じゃないだろうから、仕方ないとは思うんだ。それと気になるのが水温。今回のアタックでは126度まで上がってた。サーモを外しているんだけど、どうやら8000rpm以上でキャビテーションを起こしてるようだね。ただ、ロングコースではオーバーヒートしても踏ませるつもり」。

ちなみに190.517MPHを記録した時でさえ、スロットル開度はわずか30%。マシン的には十分すぎるほどの余力が残っている。

トラブルを抱えてはいるものの、チームダンディの雰囲気は明るい。明日からはいよいよロングコースで走行、クラスレコードの更新を狙える条件が整ったからだ。

Day.6(8/13 Thu.)

5速8300rpmでついに200MPHを突破!

朝イチからオイルクーラーまわりの修理に取りかかる。冷却性能を考えたツインオイルクーラー仕様だけど、クラックが入った側はもはや使えない。そこで配管をつなぎ替えて1基のみで対応させることにした。同じ症状が出る可能性が高いが、残された時間を考えるとそれ以外に対策方法はないのだ。

オイルクーラーの修理を終えて、昼前にロングコースのスタートラインに着く。本来なら、この時点で200~249MPH(321.8~400.4km/h)でライセンスAの取得と、レーシングビートの記録更新への王手がかけられる。けど、ショートコースでスピンが続いたため、まず200MPH(321.8km/h)、ついで220MPH(354.0km/h)という2段階の速度制限がオフィシャルから提示された。

ダッシュボードに貼られたその覚え書き。200MPH(321.8km/h)は5速7500rpmで、220MPH(354.0km/h)は8300rpmでクリアする。

1本目、180MPHあたりでスライドし、コースの端まで飛ばされながらも5速7400rpmで196.723MPH(316.5km/h)を記録。エンジン回転数が低く、車速があがっていることで、水温は108度に留まっている。

走行後、全開時以外の燃調を全体的に薄くする方向でECUのリセッティングが行われた。「気温が40度近くて、吸気温が初めて50度を超えたけど、空燃比はまったく問題ナシ。インジェクターにもまだまだ余裕があるよ」と田中サン。

2本目は、5速8300rpmまで回して202.024MPH(325.1km/h)と、初めて200MPHを突破。ブースト圧は1.2kg/cm2しかかかってないから、まだ実力を出し切ってない状態での記録になる。

また、5速に入ってからの挙動が怪しいとのことで、アクセルを細かくオンオフしてコントロールしていることがロギングデータからわかった。

そこで3本目を前に、リヤオーバーハング部に70kg分のウエイトを搭載することになった。

燃料タンクに注がれた50Lの水と合わせ、合計120kgのウエイトを積んで臨んだ3本目。「トラクションのかかりが格段によくなって、うまくスタートできました。が、スピードが乗り始めた2マイル地点手前で突然、フロアから“ガラガラ…”と音が出はじめて。すぐにアタックをヤメてコースオフしました」と常世田サン。

リヤサスは、デフキャリアからも前方にトレーリングアーム伸びるワンオフのリジッド式に変更。ウエイトを搭載したことで加速時のリヤの沈み込みが大きくなり、その反動で前端部にかかる応力が増大。取り付け部のボルトが緩み、プロペラシャフトと干渉してしまった。

これで、この日はアタックを終了。ウエイトをひとつ(17kg分)外して最終日に備えることになった。

Day.7(8/14 Fri.)

これが最後のチャンス、レコードランに王手!

連日19時までアタックが認められているけど、最終日は昼12時でライセンスランが打ち切られ、そのあとは記録更新がかかったマシンによるレコードランのみが行われる。

つまり、ダンディFC3Sにしてみれば、まず1本目でレーシングビートの記録238.442MPH(383.7km/h)を上回ることが絶対条件。さらに、立て続けにレコードランを行い、そこで1本目と同等以上の最高速を出せば平均速度でレーシングビートを抜き、念願の記録更新が達成できるワケだ。

ただし、時間的な余裕はなく、ワンミスも許されない状況。こうなると初日、2日目とマシンの手直しに時間が費やされ、ライセンスBの獲得にも手こずったことが悔やまれるけど、過ぎたことを今さら言っても始まらない。今は、これから走る1本に集中してレーシングビートの記録を抜くことだけを考える。

レコードランに王手をかけるには、燃料タンク内のガソリンを一度抜いて新たに給油。添加剤投入などの不正がないように給油口が封印される。そのため、燃料ポンプにホースを直結してタンク内のガソリンを吸い出す。

給油が終わるとキャップをテープで封印。さらに、走行後のチェックでテープが外されなかったかどうかを確認するため、マニキュアでのマーキングも行われる。

おそらく、これが最後のアタック。スタートラインでその時を待つチームダンディには、これまでにない緊張感が漂っている。

エンジン始動。高く、乾いたペリターボ独特のサウンドが、抜けるような青空のもとでこだまする。スターターの合図を受けて発進。次第に小さくなっていく後ろ姿を、チームダンディの思いがあと押ししているようだ。

最初の計測ポイント2.25マイルで187.462MPH(301.6km/h)をマーク。スタートが決まり、車速のノリも悪くない。さらに3マイル地点で195.414MPH(314.4km/h)、4マイル地点では213.928MPH(344.2km/h)と、これまでの自己ベストを大きく上回る領域に突入。

「200MPHを超えたあたりでは直進性も抜群でしたけど、220MPHからフロントが小刻みに振られ始めて。5速8000rpm後半まで回っているのを確認して、そろそろ6速にシフトアップだな…と思った瞬間、フロントがスパッと持っていかれてスピン。もうどうしようもなかったですね。リヤが安定していて、これはイケる!! と確信していたんですけど」と常世田サン。

スピン直後のようす。ボディには細かい塩がこびりつき、エンジンルーム内にも結構な量の塩のかたまりが侵入している。キレイに掃除するのが大変そう…。

計測記録としては4マイル地点で213.928MPH(344.2km/h)だったけど、ロギングデータからスピン直前に5速8595rpmまで回っていたことが判明。速度早見表からの換算では、誤差を補正する係数をかけて366.149km/hをマークしてたことになる。

ピットに戻るとすぐに車内で録画していた走行映像を見る。順調に車速を伸ばしている途中、一瞬にしてスピンした瞬間、「あ~っ!!」と笑いが出た。

田中サンいわく、「4マイル地点でのスロットル開度は60%。そのあとアクセルコントロールが入って、トップスピードに達した時はスロットル開度30%だったけど、ブースト圧は1.3kg/cm2までかかってたよ。ちなみに、インジェクター噴射率はプライマリー85%、セカンダリー57%。パフォーマンス的には、間違いなく記録を狙えるところにいるよね」とのことだ。

たしかに、レーシングビートの壁は高かった。けど、テッペンがすぐそこに見えていて、手を伸ばせば届くところにまできていることがわかっただけでも、今回の大きな収穫といえる。

さらに言えば、日本のチューナーが仕上げたチューンドロータリーとして、他を寄せつけない驚異的かつ圧倒的な記録を達成したことは紛れもない事実だったりする。

1週間にわたるレースを終えて、最後にチームダンディのスタッフ全員で記念撮影。みんなの笑顔から、大きなマシントラブルもなく全力で戦えたことに満足している様子がうかがえる。

ボンネビルでのクラスレコード更新という“大きなおみやげ”まではムリだったけど、国内最速チューンドロータリーという“小さなおみやげ”をダンディFC3Sは持ち帰ったのだ。

●PHOTO:小林克好(Katsuyoshi KOBAYASHI)/TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

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