「100年に一度の変革期」といわれる自動車業界。各メーカーともさまざまな施策を打ち出しているが、その中のひとつが不採算車を中心とした「役割を終えたクルマ」の整理、すなわちモデル廃止だ。とくに2019年後半から2020年春にかけて、販売を終了する(もしくは販売終了が予想される)クルマが続出。今回紹介するクルマの購入を検討しているならば、なるべく早く販売店に相談するべし!(タイトル写真はスバルWRX STI。今秋と思われるEJ20型エンジン生産終了とともに、次期型まで販売休止になる可能性が高い)
トヨタ 2020年5月の全車種全店併売のタイミングを睨み姉妹車を中心に統廃合
すでに公表しているマークXのほかにも、2020年5月の販売店統合に向けて生産終了するモデルが多数ある。先日は各メディアでエスティマの生産終了が報じられたが、他にもプレミオ/アリオン、ポルテ/スペイド…2020年5月の統合に向けて、販売不振車や姉妹車を中心にラインアップが大胆に整理・統合される(ただし、アルファード/ヴェルファイアやヴォクシー3兄弟などの人気車種は混乱を避けるためモデルチェンジのタイミングで統合する方針のようだ)。
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一方では、販売店統合のシンボルとして,次期ハリアーを半年以上前倒しして2020年5月に発売。また、2019年11月にはダイハツからOEMされるコンパクトSUVが、また新年早々にはヴィッツ改め新型ヤリスや新世代のSUV「Tjクルーザー(仮称)」も投入されるなど、新世代のラインアップ構築が急激に進むだろう。
レクサス セダン系ラインアップを整理してSUVシフトが加速する
すでにカウントダウンに入っているGSのほか、実はCTもそろそろ生産終了がウワサされている。ベースになっているのが先代プリウス/SAIだけに、さすがに古さは隠せなくなっている。GS同様、現在販売に苦戦している地域から順に販売を終了し、遅くとも2022年にはEVもしくはPHVのBセグメントコンパクトSUVにバトンを渡す。また2021年には北米向けのフラッグシップSUV(レクサスLQ)の投入もウワサされ、今後、レクサスはSUV中心のラインアップになっていくだろう。
日産 “高齢モデル”を中心に国内ラインアップを大幅刷新。電動モデル中心へ
欧州では新型ジュークが発表されたが、実は国内投入の予定は現在のところない。現行モデルは年度内に生産を終了し、実質的な後継車は2021年に国内発売が予想されるe-POWER専用のコンパクトSUVとなる。さらにモデルとして存続が危ぶまれているのが、キューブやティアナ、シルフィやエルグランドなど。正式なインフォメーションはないものの、いずれも2020年中には国内市場から姿を消す可能性が大きい。
とくにキューブは来年発売のDAYZルークスや、DAYZベースの新型EVへとその役割をバトンタッチして年内に生産終了する可能性が高い。またティアナと商用バンのe-NV200も年内に生産を終了するとみられている。現行の日産国内ラインアップはかなり“高齢化”が進んでおり、2020年後半を予定している新型クロスオーバーEVの発売を機に、一気に電動モデル中心のラインアップとなるだろう。
ホンダ 人気の軽自動車は今後ラインアップ縮小の方向へ?
セダンの統廃合は避けられない情勢だが、意外や次期モデルの計画が見当たらないのが軽自動車のN-ONEとN-BOXスラッシュだ。ベースモデルとなったN-BOXや兄弟車のN-WGNは新世代プラットフォーム/エンジンを使用しているが、N-ONEとN-BOXスラッシュは旧世代のまま。今後はN-BOXとN-WGNそしてN-VANに原資を集中していく。
マツダと三菱は現状維持(?) スバルはセダン系に異変が
続々と車名変更を行うマツダだが、2019年秋投入のCX-30のほか基本的なラインアップに変更はない模様。むしろ、2020年度中に発売されるCX-30ベースのフルEVや次世代上級セグメント車など車種は増える傾向にある。
三菱はすでに8月いっぱいでパジェロの生産を終了したほかは現行ラインアップが継続される見込みだ。
一方で、スバル車に関しては動きがありそう。すでに北米で生産が始まっている新型レガシィB4は、日本では発売されない可能性が高い。また、スポーツエンジンとして長らくスバルのフラッグシップだった2LターボのEJ20型がいよいよ2019年秋で生産終了となる。それに伴い、次世代モデル登場までWRX STIの生産は休止となり、WRX S4のみのラインアップになる。
そのほか、スズキとダイハツに関しては当面、国内ラインアップの変更はない模様。ただし、海外向けには新型車が続々と投入されるようだ。
ともあれ、いま日本の自動車市場はかつて経験したことのないほど急激な変貌を遂げようとしている。昭和の時代に基礎を作ったビジネスモデルは、平成の時代にグローバル化の波に洗われ、令和の時代は「CASE」に代表されるクルマの在り方自体を見直さざるをえなくなっている。とは言え、今まで身近にあったクルマたちが次々に消えていってしまうのは、やっぱり寂しい…。
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