霊柩車に注力の光岡、「ミニバンタイプ7割」
もはや霊柩車は、「霊柩車に見えない」ことが、ひとつのトレンドとなりつつあるかもしれません。
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クラシックカーのような見た目の乗用車で知られる光岡自動車が、近年、霊柩車の製造に力を入れています。2019年8月には新型の霊柩車「プレミアムフュージョン」を発表しました。トヨタ「アルファード」をベースにした車両で、従来型の「フュージョン」よりも上質な内装が特徴とのことですが、一見して霊柩車とは思えないような外観です。
そもそも霊柩車といえば、車両に神輿が付いたようないわゆる「宮型」の車両をイメージするかもしれませんが、これは「見る人にどうしても葬儀を意識させてしまう」などの理由で自治体が乗り入れを禁止しているケースもあり、近年激減しています。代わって普及したのが、欧米で見られる高級リムジンなどを改造した「洋型」の霊柩車です。
光岡自動車が近年になり霊柩車の製造へ本格的に参入したのも、同社のクラシカルな乗用車が改造されて霊柩車として使われるケースがあったためだそうです。しかし、実際に販売台数の伸びが大きいのは洋型ではなく、今回のようなミニバンタイプだといい、同社の霊柩車の7割を占めるそうです。
ミニバンタイプは、葬儀社にとって使い勝手のよい車両だと光岡自動車は話します。「霊柩車と搬送車、どちらにも見えますし、実際そのように使える点が喜ばれています」とのことです。なお「霊柩車」とは、葬儀場から火葬場へ遺体を運ぶクルマ、つまり故人が最後に乗るクルマのことであり、病院などから自宅へ、あるいは自宅から葬儀場まで遺体を運ぶクルマは「搬送車」と呼ばれます。
もうひとつ、ミニバンタイプが増える理由として全国霊柩自動車協会(東京都新宿区)が挙げるのが、葬儀単価の下落です。
「霊柩車は種類によって運賃が異なり、洋型はミニバンタイプに比べて3倍くらい高いです。家族葬など小規模な葬儀が増えるなか、安いミニバンタイプの霊柩車を使って葬儀コストを下げる傾向があります」(全国霊柩自動車協会)
特に低価格をウリにする新規参入の葬儀社では、ミニバンタイプの霊柩車しか所有していないケースもあるそうです。
洋型も避ける傾向も…
ミニバンタイプが数を増やしているのには、ほかにも理由があるようです。
前述のように、宮型は自治体が乗り入れを禁止しているなどの理由で使用できないこともあるほか、洋型でも見た目で霊柩車とわかるため、自宅での小規模な葬儀が増加するなか「施主が近所に気をつかって利用を避けることもある」(光岡自動車)といいます。
「当社のミニバンタイプの霊柩車は、外見は一般のクルマと変わらないものの、内装の上質さが特徴です。昔の霊柩車は内部を『見せる』演出はありませんでしたが、昨今では内装の良さが喜ばれています。もちろん外装を工夫することもできますが、あまり派手なことは好まれません。今後は、故人をしっかりしたクルマで送りたいという思いが、内装に現れてくるでしょう」(光岡自動車)
ちなみに、光岡自動車はアジアの国々でも霊柩車を販売しており、日本以外ではやはり洋型のニーズが圧倒的だそうです。一方で、同社は扱っていないものの、宮型も海外へ輸出され、その見た目の豪華さが仏教国のモンゴルなどで喜ばれているといいます。「海外は『見た目』重視ですね」と光岡自動車は話します。
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