“スポーツ=硬さではない”という奥深さを体感する
レーシングカーは、硬いサスペンションを備え、サーキットを走る。そのような印象を抱く人が多いだろうが、間違いでもなく正しくもない。一般の乗用車に比べればハードな乗り心地かもしれないが、ただ硬いだけではないのだ。じつはサーキットにも路面変化があり、圧倒的に速い速度で通過するとき、自ずとサスペンションが動いて路面変化を吸収しなければ、狙ったラップタイムは実現できないのである。
日本最高峰のレースクイーンが語る、今シーズンを振り返って【NISMO】
つまり、レーシングマシンであっても、サスペンションは状況に応じストロークしなければならず、単に硬いだけではないのだ。日産自動車のワークスとして国内外のレースに参戦。レーシングマシンという究極のサスペンションの知見を持つニスモが、市販車の走りを極めたらどうなるか。ニスモのバッジが付いた市販車は、ただ硬いだけのサスペンションでないことは、乗る前から想像できるのではないか。
【フェアレディZ NISMO】
V6エンジンの片バンクごとにある独立したデュアルエキゾーストシステムや専用CPUによって、低中速域のトルクと高回転での加速力を両立させているフェアレディ。足まわりやボディにもチューニングを施しており、走行性能だけでなく静粛性も向上している。また日本最高峰のレースでもあるSUPER GTで培ったNISMOのノウハウを投入したエアロパーツは、ダウンフォースのバランスを最適化させている。GT-Rとは違うFRの楽しい走りが実現される。
高速走行するGT‒RやフェアレディZには、さすがに走行中の姿勢変化を抑える硬さがあるのは事実。だが、運転者の体が跳ねて目線が動いてしまうようなことはなく、公道の路面変化をうまく吸収し、素早く収めているのが体感できる。最初から標準車の水準が高いのは事実だが、ニスモ専用のチューニングによって、さらに走りが極められていると感じるだろう。
【GT-R NISMO】
これまで確実に進化を遂げてきた王者、GT-R NISMO。’19年4月17日、GT3の’18年モデルに採用する新型ターボを搭載した最新仕様(MY20)が発表された。各部の見直しを図りレスポンスを向上しただけでなく、世界最大級のカーボンセラミックブレーキやGT3を彷彿とさせる新開発のホイールも投入。ルーフ、ボンネット、フロントフェンダーをカーボン化し、外装だけで約10.5kgの軽量化を実現している。
ニスモの市販ロードカーはほかに、ジューク、ノート、マーチ、そして電気自動車のリーフまで幅広く設定されている。SUVは、未舗装路を走ることも視野にあり地上高が高く不安定さへの心配があるため、求められる悪路でのより大きなサスペンションストロークが設定されている。また、ノートやマーチといったコンパクトモデルは、日常的な近距離走行において求められている扱いやすく、安心して運転できる設定が施されている。
【ノートNISMO/NISMO S】
NISMOを皮切りにNISMO S、e-POWER NISMO、e-POWER NISMO Sとラインアップが充実しているノート。専用エアロやサスペンション、コンピュータがそれぞれに与えられており、優れたトータルバランスで上質な走りを実現する。ノートNISMOは2WDのみの設定であり、NISMO Sは5MTを採用。よりレーシーに操る楽しみを味わいたい人にピッタリの1台だ。
そしてEVのリーフは、環境性能が何より求められるクルマだ。本来のベースモデルに求められるクルマの価値を保持しながらニスモ・ロードカーとなった各車はそれゆえに、GT‒RやフェアレディZのように走行性能をより高めることを第一の目的にはしていない。しかし、ニスモ仕様となることにより、運転した際の手応えや、クルマとの一体感が確実に進化している。
【リーフNISMO】
’17年にフルモデルチェンジしたリーフに、”NISMO”が加わったのは’18年7月。NISMOロードカーシリーズの特徴であるレイヤードダブルウイングやサスペンション、ホイールなど専用アイテムを投入し、EVらしさを兼ね備えた”走る楽しみ”を提供。CPUもチューニングしてレスポンスアップが図られている。電動パワステなど各部にもNISMO専用の味付けが施された。
NISMO仕様とは、どのような形態のクルマであっても、レースで培われた技術が必ず生かされていることを意味している。ニスモ・ロードカーを運転した人は、より安心して、なおかつ快く、また楽しくクルマで出掛けられるようになるということだ。象徴的であったのはリーフ・ニスモであり、EVのよさが一層拡大される仕上がりだった。
それぞれに求められる楽しさの追求。ニスモ・ロードカーを選ぶ理由は、そこにある。
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