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伝統のボクサーツインを積みフレンドリーになって降臨『BMW R1200R』(2015年) #試乗インプレ

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伝統のボクサーツインを積みフレンドリーになって降臨『BMW R1200R』(2015年) #試乗インプレ

80余年の伝統を持つBMWの水平対向エンジンは、ボクサーが左右にパンチを打ち出すが如くピストンが動くため、ボクサーツインとも呼ばれる。今回、R1200GSやRTにも積まれる新型ボクサー搭載のロードスターが登場。それは誰もがボクサーの魅力を楽しめるものとなっていた。

ボクサーツインは特別な乗り物じゃない
BMWのボクサーツインには、どこか特別なバイクとのイメージを抱く人も多いのではないだろうか。

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確かに、クランクシャフトが横置きではなく縦置きで、左右にシリンダが突き出ていて、後輪をシャフトで駆動。

そしてフロントサスは、93年のR1100RS以降、20余年も一貫して、一般的なテレスコピックフォークに代わり、テレレバーが採用されてきた(1年前登場のRナインTはテレスコピックだが)。

そうした車両形態ゆえ、決して特殊とは言えないにしろ、一般的なバイクにない一種の独自性が放たれていたことは事実だと思う。

ところが、フロントがテレスコピックになった新しいR1200Rには、初めてボクサーに接する人にとっても、違和感を感じさせるような個性はない。

あらゆる点において、すごくナチュラルなのだ。

いや、むしろ至って人当たりが良く、取っ付きがいい。他の多くのバイクと比べても、その点においてR1200Rは秀でていると言っていい。

見た目にボリュームがあって、存在感を感じさせる車体だが、跨ると意外なほどコンパクトに身体が納まる。

車体後部が低く、長くもないので、跨るのも楽だ。シート高は790mmで足着き性が悪くないばかりか、低重心ゆえの安定感があって、実際よりもシートは低い印象だ。

試乗に際しバイクは、クルマが一方通行できる程度の道幅の狭いところに、横向きに停められている状況。

ハンドルを右一杯に切って、発進していかなければならず、足着きや低速バランスに不安があって、ハンドル切れ角も小さいバイクだと、緊張させられるところだ。

でもR1200Rは、難なく、小回りしながら発進していくことができる。

ハンドル切れ角は34度と、一般的なスポーツネイキッドよりかなり大きく、その切れ方も従順で分かりやすい。エンジンもスムーズそのもので扱いやすい。

そして、そのままスペインの石畳の街中を通過し、ワインディングへと繰り出していく。

取っ付きがいいから一層、ワクワク感が膨らむ。

SPECIFICATION
エンジン:空水冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒
排気量:1170cc
ボア×ストローク:101×73mm
最高出力:125PS/7750rpm
最大トルク:12.75kg-m/6500rpm
圧縮比:12.5:1
燃料供給装置:フューエルインジェクション
全長?全幅?全高:2165×880×1300mm
軸間距離:1515mm
シート高:790mm
車両重量:231kg
燃料タンク容量:18ℓ
ブレーキ前・後:φ320mmダブルディスク・φ276mmディスク
タイヤ前・後:120/70ZR17・180/55ZR17

ライポジはアップライトで、もはや体格を選ばない
本文にもあるように、快適かつスポーティに走れるライポジは、小柄な身体にも全く無理がない。

シートを選択できることも嬉しく、820mm高のハイシートでも足着き性そのものはさほど変わらなくても、790mm高の標準シートのほうが車体が傾いた際も安心感を保ちやすい。

ハンドリングはハイシート装着時のほうが素直で軽快な反面、標準シートでは操る面白さが濃厚という魅力もある。

ストレスなく移動できコーナリングで悦に入る
走り出しても、とにかくストレスがない。エンジンは、ビッグツインにありがちなゴツゴツ感とは無縁で、極低回転域でもスムーズに回っている。粘りも良く、6速、50km/hで走ることもできる。

怒涛のトルクをひけらかすことはなく、必要なだけのトルクを忠実に取り出すことができ、扱いやすい。

パワーモードは、"レイン"はもちろん"ロード"でも、至ってフレンドリーで、従順そのもの。

"ダイナミック"ではファイターらしいキャラに一変するが、それさえも右手のコントロール次第で従順になる。

オートシフターはスムーズかつイージーなシフトを可能とし、これはシフトダウンでも働いてくれる。

クラッチもスロットルも必要なく、小気味良い空吹かしを自動的に挟んでギヤを落とせるから、ミスもなくマシンは安定し、疲れもない。

そして、コーナリングがまた気持ちいい。

ゆったりとしたリズムでコントロールを実感しながらコーナーに入ると、荷重感覚や手応えが如実に四肢とお尻に伝わってくる。コーナリングに酔える感覚だ。

それに、豊かなストロークの前後サスペンションは路面を舐めるように追従。何とも心地良い。

多くの人が、バイクの魅力であるコーナリングの醍醐味に気付くことになるんじゃないかと思う。

縦置きクランクのジャイロ効果は、このエンジンでは他の軸と打ち消し合い、かつてほどのアクの強さはない。が、その個性までもが去勢されたわけではない。

ボクサーを一つの個性として、縦置きクランクによる安定感を走りに生かし、気負わずに楽しむことができるのだ。

DETAILS
シリンダヘッドを水冷としDOHC化した新エンジンは、すでにR1200GSやRTにも積まれているが、R1200Rではエアボックスやサイレンサーの変更で低中回転域が強化されている。

エンジンをフレームの剛性部材として利用して、軽量コンパクト化を図っている。

パラレバーは、シャフトドライブのリヤギヤケースをフローティング支持し、特有のリフトアップをなくすためのメカ。

04年型R1200GSからは、EVOに進化している。

LEDテールライトは、左右二つのC型グラブバーと呼応するようにダブルC型に点灯する。

スレンダーなテールまわりは、フォルムのみならず、跨りやすさにも貢献している。

アナログ速度計の右側に置かれた多機能TFT液晶パネルは、左ハンドルスイッチで表示内容を変更できる。

また周囲の明るさや昼夜によって、明るさや色が自動的に調節される。

文/和歌山利宏

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