■高齢者による事故により、注目される「免許返納」
高齢者による事故などにより、注目を浴びる運転免許証の自主返納。しかし、クルマを使って生活をしている人は、免許返納後の生活に不安を覚える人も少なくありません。
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では、運転免許証を返納した後の生活とは、どのようなものなのでしょうか。
2019年4月、東京都豊島区で80代の男性が運転するクルマで起きた凄惨な事故は、大きな話題となり、連日報道されました。
近年、高齢者が運転するクルマによる重大事故が増えており、「免許返納」という言葉を耳にする機会も増えましたが、普段の生活がクルマ中心となっている場合、免許返納に抵抗がある人が多いのも事実です。
免許返納後、重要となるのが「移動手段」ですが、それまで自らの運転で自由に移動できていたことが制限されるため、代替案が必要になります。
各自治体により差があるものの、多くの自治体では免許返納後にタクシーやバスなどの公共交通機関の利用が割り引かれる制度が導入され、東京都では電動カートの購入をサポートする特典も存在。
免許返納後に受けられるサポートは、公共交通機関の移動だけではなく、商店街やデパート、スーパーなどの食品や生活用品の割引などもあります。
免許返納をすると、移動手段が限られるというデメリットは確かにあるものの、免許返納をすることにより特典を受けることができるというメリットも存在しているのです。
具体的に受けられるサポートとして、東京都では「一般社団法人東京都個人タクシー協会」で乗車料金10%割引や、「三越伊勢丹」や「高島屋」でおこなわれる自宅への配送無料のほか、「巣鴨信用金庫」や「東京シティ信用金庫」では、特別な定期預金が組めるなどがあります。
近年注目される免許返納について、警察庁広報室は次のように話します。
――警察の免許返納についての取り組みを教えてください。
警察では、自主返納制度や自主返納された人に対する各種支援施策について広報啓発に努めています。また、自主返納された人への支援について、自治体や民間事業者に働きかけをおこない、協力いただき、バスやタクシーなどの公共交通機関の割引をはじめ、宅配サービスの割引などの支援がおこなわれています。
――近年、免許返納数が増加していますが、その要因はなんでしょうか。
運転免許証の自主返納が増加している要因は、一概には申し上げることはできませんが、その背景には、高齢者やご家族の関心の高まりがあると考えられます。
――免許返納をすべきか悩んでいる場合、どうしたらよいでしょうか。
各都道府県警の運転免許センターなどに運転適性相談窓口を設置し、運転に不安のある高齢者やご家族などから相談を受け付けています。
相談窓口には、保健師や看護師の配置を進めているので、自主返納に悩んでいる人や運転に不安のある人は、運転免許センターなどにご相談ください。
■ついに決心! 気になる免許返納の方法とは?
運転免許証を自主返納した場合、申請をすると「運転経歴証明書」を交付してもらえます。この運転履歴証明書は、運転免許証と同様に写真付き身分証として使用することが可能です。
また、前述した免許返納後のサポートは、運転経歴証明書を提示することで、利用することができます。
運転免許証の返納は、最寄りの警察署や運転免許試験場などで手続きをすることが可能です。運転経歴証明書の交付に必要なものは、運転免許証の他に申請用の写真と、本人による手続きが難しい場合は委任状が必要となります。
代理人による申請の場合、東京都では運転免許試験場のみで、受付可能時間は平日の8時半から16時までです。
自分の地域で、免許返納によりどのような特典を受けることができるのかは、各自治体での確認が必要です。
電車などの公共交通機関が都市部に比べて発達していない地域の場合、免許返納をすると買い物や通院ができないという死活問題に関わってきます。
しかし、多くの自治体ではバス会社やタクシー会社と提携し、公共交通機関が利用しやすくなるように割引を実施しています。
クルマで移動ができないと考えるとデメリットに感じますが、タクシーやバスを上手に利用することで、クルマを持っているときよりも交通費が抑えられるケースもあるようです。
運転免許証の自主返納を考えたとき、家族も含めて生活の仕方を話し合うことが大切かもしれません。
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