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業界ニュース 2019.8.24

【これトラック? 電車!??】激変する物流の姿 ドイツ最新電動技術に仰天

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 担当がドイツ・ニュルブルクリンクへ取材に訪れた時に「アウトバーンを電車みたいなトラックが走るんだぜ」と現地のドイツ人に聞いた。

 いったいなんのこっちゃ、と思って調べてみたらトレーラーヘッドの上に電車のようなパンタグラフがあるじゃないですか!! 世界屈指の高速道路「アウトバーン」でいったい何が始まっているのか?

    なぜ自動車メーカーは開発車をサーキットで走らせるのか?

 エコだからってトラックを電車にしちゃいました、みたいな話なのだろうか。ドイツの技術が凄いのは知っているけどそれにしては発想が大胆すぎやしないか??

 ヨーロッパの最先端技術を駆使して登場したという架線トラック道路「eハイウェイ」。ドイツ在住のジャーナリスト、池ノ内みどり氏がその全貌をお伝えします。

文:池ノ内みどり(Midori Ikenouchi)/写真:Hessen Mobil

■架線集電&内燃機関で走る次世代ハイブリッドトラック

 ドイツで初の試みとなるeハイウェイシステムのテストドライブが、ヘッセン州フランクフルト近郊のアウトバーンA5線上のランゲン/メルフェルデンとワイターシュタットのジャンクション間の上下線併せて10kmに渡るテスト区間において始動した。

 “eハイウェイ”とは、果たして一体何なのだろうか? CO2削減及び、エネルギー環境保護の観点等から、大型トラックに架線パンタグラフによる電力供給システムを採用した輸送システムの試験モデルを指す。

アウトバーンの1車線を封鎖して「eハイウェイ」のレーンが設けられた。専用車線ではなく混在車線になっている。不思議な光景だ

 簡潔に表すと、トラックの屋根部分にパンタグラフ(編註:電車の屋根上にあるひし形、もしくは“くの字“の集電装置)が装着され、電力が道路上の架線を伝い電気モーターとトラックのバッテリーに通電して走行する。

 運転中にバッテリーの充電もする事ができるといい、いうなれば電車と同じようなシステムなのだ。

 ただ、唯一電車と違う点は、架線がない区間や追い越し等をしたい場合には、自動、または運転手の操作によってパンタグラフが屋根に格納されること。

 そしてバッテリーまたはトラック本来の内燃機関へとスイッチし、電気とディーゼルエンジンの両方を駆動できる。つまりハイブリットエンジンを搭載していることになる。

ヘッセン州のeハイウェイプロジェクトは2022年までを予定しており、それに関する予算は約1500万ユーロ(2019年8月20日現在、約17億7000万円)、更にデータ収集や分析に1500万ユーロが必要とされる。

 パンタグラフを通しての車両走行時は最高速度90km/hを誇り、80%を超えるエネルギー効率化を実現させるという。

 エネルギー消費は従来のディーゼルエンジンのトラックと比較すると半分に、内燃機関に比べて2倍の効率化を見込めるとの予想だ。

 テスト開始すぐの1000kmの走行では、既に約10%のディーゼル燃料の節約が実証されたとの事で、今後3年にわたるテスト期間のデータ収集と分析結果に関心が高まる。

■15kmの架線走行で50km走行分のバッテリーを充電する

 このヘッセン州のテスト区間の一日の平均走行台数は約13万5千台で、その内の約1万4千台をトラックが占める。

 北はスウェーデン、東はロシア、南はスペイン、ポルトガル、ギリシャやトルコまで、広いヨーロッパ大陸の物流の主な輸送手段はトラックでの陸送に頼っているのが現状だ。

 VWグループの調査機関によると、それに伴いトラック輸送から排出されているCO2は年間5600万トンにものぼる。

当然ながら既存のトラックをパンタグラフ仕様に改造する事は非常に難しく、今後このeハイウェイのシステムが採用されるとなった場合は、専用のトラックを購入する必要が出てきそうだ

 2050年には世界中の貨物の輸送量が200%増加すると予想され、それに付随して輩出されるCO2の増加も著しく上るだろう。  

 トラック本体をそのまま鉄道に、もしくは荷台部分のみを載せての列車貨物輸送を行うシステムも定番となっているヨーロッパではあるが、それだけでは問題が全て解決されている訳ではないのが現状だ。

 この非常に高額な架電パンタグラフのeハイウェイのシステムを新規に採用するよりは、鉄道網の拡大や整備に強化し、そちらに投資すべきとの声も上がっているのも実情だ。

コストを考えると手放しに称賛もできないのがこのeハイウェイ。鉄道と同じで架線もすり減ることは間違いなく、今後はコストとメリットを天秤にかけることになる


 いずれにしても3年に渡るeハイウェイのテストプログラムは開始したばかり。様々な意見や見解が寄せられるのは当然の事で、多額の税金が費やされての実走試験となるだけに、国民の関心が高まるのは当然の事だろう。

 スカニアはドイツで行われる3つのテスト区間にそれぞれ5台のパンタグラフ付きのスカニアR450を用意し、実際に地元の運送会社がそれらを実用運用しながらの試験となる。

 ドイツの試験開始以前の2016年からスウェーデン国内の高速道路上で行われたスカニアとシーメンスの2年間のテストでは、50km走行する為の充電に僅か15kmのパンタグラフ走行で可能というデータ結果を出した事もある。

 もしも、将来的にドイツがこのシステムを採用した場合には、全てのドイツのアウトバーンの区間で架電パンタグラフを建設する必要はなく、区間設置である程度の蓄電が可能だとの見解を示している。

 トロリーバスや路面電車に相当するコントロールシステムによって24時間体制で監視されている。

 万が一、電気系統の不具合が起きた場合や事故が起きた場合には、自動・手動で即座に送電のシャットダウン等が行えるように、安全には充分に配慮されている。

 ただ、電気架線の突如の不具合や不慮の追突事故等が起きる場合も想定して、消防や救急隊は特殊技能講習を実際にテストコース上で行った。

パンタグラフのシュー(架線と接する摺動板)は横に長く、パンタグラフの基台も電車用のものを横にふたつ並べた形になっている。架線からパンタグラフが離れてしまう可能性も低くなる

 また地元警察署、高速道路メンテナンス会社、システム復旧に携わる各社は、個別で更に安全・事故不具合の対策講習会を受講するなど、事前準備は十分に整えてのテスト開始のようだ。
 
 ヘッセン州に続き、シュレッスヴィッヒ・ホルシュタイン州のアウトバーンA1号線のテストが6月に始まり、来年にはバーデン・ヴュルテンブルグ州では国道でのテストが開始される予定だ。

【テスト車両:スカニアR450 スペック】
・ハイブリットドライブ:リチウムイオンバッテリー(18.5kWH 使用可能エネルギー7.4kWH)
・電気モーター:130kW(177馬力)、1050Nm
・バッテリーモードでの走行距離:約10~15km
・追加機能:パワーブーストモード(例:始動時にディーゼルエンジンサポート)、回生ブレーキ、
・ディーゼルエンジン:450馬力、13L 直立6気筒エンジン
・スカニアオプティクルーズ(オートマチックトランスミッション)
・eハイウェイの架線を通して670ボルトを車両に取得可能

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(ベストカーWeb ベストカーWeb編集部シオカワ)

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みんなのコメント

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  • saz*****|2019/08/24 06:06

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    台風が、地震など災害が多い日本で、下を普通車で走る側の人間としては万が一上空の線が下に落下してきたら・・・それを思うと怖いです。
  • yuu*****|2019/08/24 06:36

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    メンテナンスに費用がかかり過ぎて採算が取れないですね。
  • yos*****|2019/08/24 05:00

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    この辺の導入は欧州の立地ならではですね。
    環境問題にいち早く取り組み厳しい地域、ゆえにエネルギー開発が盛ん。
    いや、日中米のように他に大きな問題を抱えてないからこそ優先して取り組めてるのかな?
    国とメーカーの姿勢に差を感じます。

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