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アストンマーティンの未来とは? CEO、大いに語る!

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アストンマーティンの未来とは? CEO、大いに語る!

スポーツカー(メーカー)はこれからどこへ行くのか……アストンマーティンの社長兼CEOを務めるドクター・アンドリュー・パーマーに、2019年8月初旬、インタビューする機会を得た。

SUVの導入など、いろいろな面で話題を呼んでいるアストンマーティンの現状と、スポーツカーの未来について、展望を訊くいいチャンス、と思い、東京・青山にある「House of Aston Martin Aoyama」に足を運んだ。

なぜミシュランは開発拠点を日本におくのか?

最近のアストンマーティンといえば、(当然ながら)スポーツカー関連の話題が多い。ひとつは、レッドブル・アドバンスト・テクノロジーズと共同開発によって誕生したハイパースポーツカー「ヴァルキリー」のデリバリーが迫っていること。

2019年にデリバリー開始予定のミドシップ・スポーツ「ヴァルキリー」。また、2019年7月28日におこなわれた「スパフランコルシャン24時間耐久レース」において「ヴァンテッジGT3」がPro-Amクラス優勝を果たすなど、耐久レースやGTレースへの参戦も、アストンマーティン・ファンを喜ばせている。

さらに、ウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングとは、155台限定の4ドアEVスポーツ「ラピードE」の開発が進行中だし、くわえて2019年12月には、スポーツSUV「DBX」がいよいよ登場する予定だ。

アストンマーティン初の市販EV「ラピードE」。2基のモーターを搭載するという。気になる経営状況は?アストンマーティンをめぐっては、いっぽうで、経営状態を危惧する声もある。『フィナンシャルタイムズ』をはじめ英国を中心としたメディアが、このところ、さかんに経営状態の問題について書き立てているのをご存知の読者もいるだろう。

2018年10月3日、ロンドン市場で株式公開したアストンマーティン・ラゴンダ社は、新規株式公開(IPO)価格を下まわる水準で取引を終え、さらにそのあと、2019年2月28日には株式上場以来最大の下落率で取引を終えた。また、2019年7月24日も、年度後半の生産台数予想などを発表後、大きく株価を下げた。

「まず、申しあげておきたいのは、業績はけっして悪くない、ということです。米国市場では100パーセント、日本で約40パーセント、世界全体で約26パーセントの(販売台数の)伸び率を実現しています。こんなに好調な伸びを達成している自動車メーカーはありません」

【プロフィール】アンドリュー・パーマー アストンマーティン・ラゴンダ社長およびグループCEO1991年に日産自動車欧州法人に入社。その後、日産ライトトラック社長として実績を上げ、2006年に日産自動車の執行役員、2009年に常務、2011年に副社長兼チーフ・プランニング・オフィサーに。2014年、アストンマーティン・ラゴンダの最高経営責任者に就任、現在にいたる。「ムシアツイ」を連発して苦笑するドクター・パーマーを前にして、最初の質問、「株価下落をどうとらえていますか?」、という問いに、笑顔を崩さず、即座に答えた。

「(株価下落の原因になった)生産台数調整については、欧州と英国市場での不調が響いています。これらの市場で期待どおりの成績が出ていないのは、欧州の経済が不安定なのにくわえて、ブレクシットの影響でしょう。ブレクシットは当初、(2019年)3月だったものが、現状、(2019年)10月31日に延期され、それに影響された買い控えが起きています」

いっぽう、米国ではドクター・パーマーの言葉にあったように、2018年度の2倍という驚異の伸びを実現している。これは販売政策が成果をあげているのだそうだ。

「米国市場で販売が伸びているのは、おもに2つの理由があります。ひとつは新しいヴァンテッジのルックスに消費者がようやく慣れて、受け入れてくれたこと。もうひとつは、リースで購入するひとが圧倒的に多い米国市場の慣例にならい、適切なリースプログラムを導入したことです」

ヴァンテージは2シーターのFR(後輪駆動)スポーツだ。ちなみに、日本でも2019年7月1日から、株式会社ジャックスと業務協定契約を締結したアストンマーティンジャパン合同会社は、キャプティブファイナンス(メーカーが提供する金融サービス)として各種ローンプランを提供する。

アメリカ市場での適切なリースプログラムとはいかに? 「たとえば、ポルシェより頭金が高くても、月額は半額、というプランです」とドクター・パーマーはつけくわえた。

大衆化はありえない!?また、「数百台を減産しての台数調整は、ブランドを守るために必要な措置」と、ドクター・パーマーは言う。作りすぎによってブランドを毀損する可能性が危惧されるアストンマーティンにとって、「フェラーリ程度の台数が望ましい」と、ドクター・パーマーは続けて述べる。

「アストンマーティンにとって大きな転換点は、2019年末に導入予定のSUV、DBXです。私たちからの大きなクリスマスプレゼントになるでしょう。いまスポーツモデルの年産台数は約6000台ですが、DBX導入によってさらに4000台を上乗せします。『SUVなんて……』、という声も耳にしますが、いまSUVを作らないスポーツカー・メーカーはほとんどありませんよ(少し笑)」

2019年末、市場に投入される予定のアストンマーティン初のSUV「DBX」。Drew Gibson株式市場でヘッジファンドが、アストンマーティン・ラゴンダに対し”売り持ち”のポジションをとっているのに対し、大いに納得がいかない様子のドクター・パーマーは、ここを先途とばかり、さまざまな計画を語った。

「DBXのあとに登場するのは(ハイパースポーツの)ヴァルハラです。電気モーターをハイスピード実現のために使うモデルです。いっぽう、『ラゴンダ』はEVブランドとして、2022年ないしは2023年の新車投入を目指し、開発を進めています」

現在開発中のミドシップ・スポーツ「ヴァルハラ」。搭載するパワーユニットはエンジン+モーターのハイブリッド・システムだ(詳細なスペックは不明)。1913年創業のアストンマーティンは、長い歴史を持つぶん、消費者はさまざまなイメージを抱いている。ときにそれが、同社が将来進んでいこうとしている方向性にとって障碍になることもあるようだ。とくに、SUVモデルの導入については賛否両論ある。

「アストンマーティンはトラディショナルな(長い歴史をもつ)メーカーだから、トラディショナルな(昔ながらの)モデルを作っていればいい、という声もあります。しかし、私としては、アストンマーティンがどういうコンセプトでクルマづくりをしてきたかを思い出していただきたい、と言いたいのです」

復活予定のラゴンダはEVモデル専用ブランドになるという。2019年のジュネーブショーには、シューティングブレークスタイルのコンセプトモデルを展示した。ドクター・パーマーは熱のこもった口調で、舵取りの責任を任されているアストンマーティン・ラゴンダのありかたについて語る。

「small(意図しての少量生産)、agile(動きの速い)、そしてcutting edge(技術を含めて時代に先んじている)であることこそ、100年以上アストンマーティンが守ってきた価値であると思っています。その価値がトラディションと考えて、私はアストンマーティンの行く先を考えています」

「ベントレーもランボルギーニもSUVを投入しているいま、アストンマーティンが(SUVを)投入するのは自然の流れです」と、話すドクター・パーマー。アストンマーティンはどうなるのだろう? と、心配していたファンに応えるためにインタビューに応じたドクター・パーマーは、安心させてくれる口調で語った。SUVが導入されても、ラインナップが拡充されても、アストンマーティンらしさが失われることはなそうだ。

文・小川フミオ

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