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業界ニュース 2019.8.20

全部同じに見える? それとも個性的なのか? 各メーカー「顔」デザインの成功&失敗6選

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 昨今の自動車デザインを形成するうえで大きな特徴となっているのが「顔」だろう。各社が統一した「顔」をデザインに持たせることで、ブランドをすぐに消費者に理解させる狙いもある。

 しかしこの「顔」にもやはり成功と失敗がある。特徴的なデザインが消費者から敬遠されたり、あまりにも似すぎたデザインで「全部同じクルマ」なんて指摘されるメーカーも多い。

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 各社の「顔」での成功パターン、そして失敗パターンを振り返っていこう。デザインには一家言ある清水草一氏に聞いてみました。

文:清水草一/写真:レクサス、BMW、ACURA、Peugeot、三菱、スバル、日産

■「顔」を作ることについて最後発だった日本メーカー

 現在、各自動車メーカーが、それぞれのデザインアイデンティティを持った顔を作っている。いわばブランドを表す看板とでも申しましょうか?

 誰が見ても、遠くから見ても一目でわかるように、目印として「統一した顔」を持とうってことですね。

 これは世界的な傾向だが、その中にあって日本メーカーは最後発グループだ。

BMWはその特徴的なキドニーグリルを戦前から使ってきた。80年以上の歴史がある「顔」と最近それを始めた日本車とは歴史の厚みが違うのは当然だ(写真は1936年頃に作られたBMW328)

 トヨタのキーンルックや、日産のVモーショングリルを見て、「なんだこりゃ」「こんなことして意味あんのか」と思ったクルマ好きも少なくないでしょうが、ようやく日本にもグローバルな流れが押し寄せた、というのが実情だ。

 考えてみりゃ、メルセデス・ベンツのラジエター型グリルやBMWのキドニーグリルは、戦前からのもの。

 こういった統一顔を持つのは、主に高級ブランドメーカーのものだったため、高級ブランドのない国産車には存在しなかったのだ。

 が、現在は高級じゃなくても、すべての自動車メーカーが自社のアイデンティティを明確にすべく、統一顔を持とうとしている。

 世界の市場がグローバル化して垣根が低くなった今、各メーカーともに全世界で勝負しなければならない。

 国産メーカーも、かつては国内市場が主で輸出は従だったが、現在は完全に逆転した。

 世界で戦うには、旗幟を鮮明にしないと生き残れないという、強迫観念に近いものが自動車業界には存在する。

 しかし、その統一顔がうまくいっているブランドと、あんまりうまくいってないブランドがある。そりゃそうだよね。どんな分野でも勝者と敗者はあるのが常だから。

 ということで、国産・輸入を問わず、近年誕生した「統一顔」の成功度をランキングしてみたいと思います。

■レクサス/三菱/スバルは成功者の部類に入る!!

【成功/レクサス】★★★★★


 レクサスのスピンドルグリルが登場したのは、2012年の4代目GSから。つまりまだたったの7年しかたっていないが、もう完全にレクサスの顔として認識されたし、好感度も高い。

 というより、「スピンドルグリル=レクサス=高級」という連想ゲームが、ユーザー側に定着したと言うべきか。

最初スピンドルグリルを見た消費者の反応は決してよくはなかった。しかし今やこのグリルをみればすぐにレクサスを連想させるのも事実。戦略としては成功だ

 登場当初は、特に国内では「エグイ」とか「あのヘンテコな形のグリルはなんだ」「目立ちすぎる」といった批判の声が聞かれたが、アウディのシングルフレームグリルも当初はそんなものだった。

 強烈な印象を残すデザインは、つまり個性的なわけで、当初は拒絶反応が出る。

 しかしブランドの統一顔は、見る者にある程度強烈な印象を残さなければ無意味。その点スピンドルグリルは適度に強烈かつ適度に個性的で、統一顔としての役割をきっちり果たしている。

 ちなみに、スピンドルとは「糸車」という意味だが、これはトヨタの前身が豊田自動織機という織物機械メーカーだったことにちなんでいる。つまりトヨタの歴史を体現している部分もあるわけですね。

【たぶん成功/三菱】★★★★☆

 三菱の顔と言えば、かつて「ブーレイ顔」があったが、これは完全に失敗し、現在はX字型にクロスする流れを持つ「ダイナミックシールド」を展開している。

 ダイナミックシールドは、パジェロなどのたくましいイメージ=プロテクションと、ランエボなどの台形グリル=パフォーマンスを融合させたということだが、レクサス同様、適度に強烈かつ適度に個性的であろうとした結果だろう。

 ダイナミックシールドが最初に商品化されたのは、2015年のアウトランダー(マイナーチェンジ)だった。つまりまだ4年なんですね。

三菱の新しいアイデンティティになりそうな「デリカ顔」。eKクロスにも採用されておりそのド迫力はまさに「三菱らしさ」の象徴だ

 当初は取ってつけた印象が強かったし、続くeKカスタムやRVR、エクリプスクロスも、「ふーん」程度のものだった。

 しかし今年発表されたデリカD:5とeKクロスでは、その個性派ぶりを盛大に開花させ、すさまじい賛否両論を巻き起こした。
 
 この賛否両論――というより、まず否定論が一斉に噴出するものの販売は意外と好調、という流れこそ、統一顔成功の兆し。

 一度見たらクセになって目をそらせなくなり、エグいとか醜いと思いつつ、「いや、意外とカッコいいかも!」となるのが黄金パターンだ。

 ダイナミックシールドは、まだその成否ははっきりしていないが、おそらく成功するんじゃないか。ただそれは、デリカD:5以降のエグいパターンのほうで、アウトランダー系のヌルいダイナミックシールドではダメだろう。

【プチ成功/スバル】★★★☆☆

 スバルも、顔のイメージをゆるーく統一しようという意図は感じられるが、その顔には、強烈な個性はない。

強い個性はないもののこの六角形グリルとライトの組み合わせは、地味ながらスバルらしさ全開のデザインだ

 どこにでもありそうな六角形のグリル形状と、角形異形のヘッドライトの組み合わせにすぎない。

 しかし、各ブランドが強烈な顔で勝負する中、この自己主張の弱さが、スバルらしい質実剛健さにマッチして、逆に好印象を与えている。

■ちょっと失敗しちゃってる?? 日産/プジョー/アキュラ

【プチ失敗/日産】★★☆☆☆

 日産の顔はVモーショングリルだが、Vの字型にはクルマの顔として特に違和感はないため、強烈でも個性的でもない。

スカイラインにも採用されたVモーション。どんどん太くなるがどこまでこれは続くのか?

 そのため日産は、徐々にV字を太く大きくしていったが、V字のメッキ部には緻密な印象がないこともあって、高級感には結びつかず、大味な印象にとどまった。

 日産も「これはマズイ」と思ったのか、次世代のEVスポーツセダンコンセプトカー『IMs』では、Vモーション部をメッキからデイライトに変更。試行錯誤を続けているが、まだプラスイメージを生み出すにはいたっていない。

【失敗/ちょい前までのプジョー】★☆☆☆☆

 欧米メーカーでは、近年になって新たに統一顔を導入する例は稀だが、プジョーはそれで一時、デザイン面で完全に失敗した。

まるで『トトロ』に出てくる猫バスのようなグリルに、キリっと吊り上がったライトは特徴的だった

 プジョーは、206でデザインテイストを大胆に変えて成功したが、後継モデルの207ではさらにその路線を推し進め、「ネコ科の猛獣顔」を強化した。

 続く307も同様。それらの特徴は、極端なツリ目と歯をむき出したようなグリルだった。

 しかし、ネコ科路線は特段の斬新さには欠けるし、エグい印象ばかり強烈になって化け猫化したため、デザイン的に袋小路に入り、迷走するにいたった。

現在は化け猫路線とは決別し、微妙に個性的程度の中庸デザインに路線変更中で、大成功はないが失敗もないだろう。

【大失敗/アキュラ】☆☆☆☆☆

 アキュラRLX(日本名レジェンド)などのアキュラ顔は、カラス天狗みたいで強烈だが、グリルやヘッドライトの面積や配置は従来的で驚きはない。

 部品の形状のみ、妙に違和感を刺激するエグいものにしている。つまり、創造性のない小手先のヘン顔みたいなものだ。RLXだけでなく、SUVのRDXやMDXも同じパターン。

アキュラRLX(日本名:レジェンド)。グリルとヘッドライトの大きさなどやや違和感を覚えるのがアキュラ顔。トップ画像のMDXも同様だ

 アキュラが現在のカラス天狗顔を打ち出したのは、2016年の「プレシジョン・コンセプト」からだが、アキュラの販売は、2015年をピークに下がり続けている。

 NSXはプレシジョン・コンセプトより前の旧アキュラ顔だが、スーパーカーのわりに人気は低調で、アキュラブランドのテコ入れにはなっていない。

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(ベストカーWeb ベストカーWeb編集部シオカワ)

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