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「サンキューハザード」非常時ランプいつから感謝のサインに? 本来の意図と違う行為は違反になるのか

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「サンキューハザード」非常時ランプいつから感謝のサインに? 本来の意図と違う行為は違反になるのか

■トラックドライバー同士のコミュニケーションから始まった

 クルマの運転中、「合流」や「割り込み」の際に、譲ってくれた相手方に対して「ありがとう」の意味でハザードランプを点灯させる『サンキューハザード』という行為があります。

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 教習所では教えてくれませんが、クルマを運転する人の間では常識的なマナーとして使われる方が多い行為です。このサンキューハザードはどのような経緯で一般的に使われるようになったのでしょうか。

 本来、「ハザード(hazard)」は、英語で『危険』という意味で、正式名称は『非常点滅表示灯(以下:ハザード)』といいます。

 基本的に、故障時ややむを得ない場合の路上駐車、クルマがけん引されるときなど、周囲を走行するクルマに対して危険を知らせるために使用するものです。

 よく目にするハザード点灯行為を例であげると、渋滞の最後尾になった際にハザードランプを点灯させ、後続車に危険を知らせる「渋滞最後尾ハザード」、駐車場で空きスペースへクルマを停める際に使用する「駐車合図ハザード」などがあります。

 周囲に危険をアピールするという意味では「渋滞最後尾ハザード」や「駐車合図ハザード」の際に使用することは理解できます。では、「ありがとう」の意味で使用する「サンキューハザード」は、いつ頃から全国的に使われるようになったのでしょうか。

「ありがとう」の意味でハザードランプを使用するようになったのは、1980年代に高速道路上のトラックドライバー同士の合図として、合言葉や挨拶の代わりに使われるようになったことが始まりです。その合図を一般ドライバーが真似したことから、全国的に広まったといわれています。

 長年に渡り長距離トラックを運転するドライバーは次のように話します。

「当時は、深夜に高速道路の走行車線を走るトラックが前方のクルマに追いついたとき、追い越し車線のやや後方を走っているトラックの前に車線変更する意志を方向指示器で出すと、追い越し車線のトラックが前照灯を一瞬消してスモールモードにして『前に入っても構いません』と合図を送っていました。

 その際、車線変更して前に入ったトラックがハザードで『ありがとうございます』と後続車に対してハザードを点灯して挨拶する、というようなシーンが多かったようです。

 私自身も、これらの挨拶行為は、誰から教わったわけでもなく、周囲の流れを見て自然に習慣化しました。そのため、一般ドライバーの人も同様に自然とやっている行為なのかもしれません」

※ ※ ※

 なお、サンキューハザードに代わって相手に感謝を伝えるため、リアガラス部に装着する「ありがとうランプ」という商品も販売されています。

 この商品を販売した経緯について、販売元の(有)プリントアートは、「サンキューハザードは誤解を招く恐れがあるほか、ハザードランプで挨拶をしなくても違法ではないのに、『挨拶がない』と、トラブルになることの危険性があるため商品化をした」と説明しています。

■サンキューハザードは違法となるのか?

 道路交通法には、具体的なハザードの使用方法は記載されていません。条文上では、ハザードについて以下の2箇所に記載されています。

「第18条第2項」
 自動車(自動二輪車及び小型特殊自動車を除く)は、法第52条第1項前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる『非常点滅表示灯』、駐車灯又は尾灯をつけなければならない。
(後略)

「第26条の3 第3項」
 通学学園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める『非常点滅灯』をつけなければならない。

※ ※ ※

 ハザードランプの使用方法として法律を要約すると、「夜間に道幅が5.5m以上の道路に停車・駐車している時は、非常点滅灯をつけなければならない」ということになります。

 では、サンキューハザードは違法行為になるのでしょうか。この件について埼玉県警は次のように説明しています。

「厳密にはハザードランプは、挨拶をするものではありません。道路交通法でもそのように定められていないので、使用用途によっては違反行為になる可能性があります」

 ハザード本来の使用用途とは違うサンキューハザードですが、運転者同士のコミュニケーションとして確立されている現状では、日常的に使う人もいます。

 地域によっては受け取り方が違うこともあるといい、ハザードランプはあくまで非常点滅表示灯です。周囲に誤解を招く使用方法は避け、交通マナーの範囲で使用し、むやみに点灯させることは避けるほうが良いかもしれません。

 しかし、「渋滞最後尾ハザード」に関して、最近では静岡県警高速隊やNEXCO西日本が推奨する動きがあります。

 静岡県警高速警察隊は、2018年に静岡県内の高速道路で追突事故が相次いで起きたことを重く見て、このハザード点灯を広く呼びかけ始めました。

 後方の車両に自車の存在を認知させるという、ハザードランプの本来的な使い方にも一致しますので、こちらは取り締まりの対象にはならないと考えられます。

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