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【国産名機10選 09】「三菱 G63BT」は、200psでスタリオンを支えた究極のSOHCターボエンジン

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【国産名機10選 09】「三菱 G63BT」は、200psでスタリオンを支えた究極のSOHCターボエンジン

クルマに「名車」と呼ばれるモデルが存在するように、エンジンにも「名機」と呼ばれる優れたものがある。ここでは、1960年代から90年代の国産スポーティFR車に搭載された、そうしたハイパフォーマンスなエンジン10基を紹介していきたい。

三菱 G63BTエンジン:1984年登場
シリウス80の愛称を持つG63B型は、1982年のスタリオン発表時に国内投入された。鋳鉄ブロックなので重量は嵩むが、鋳鉄ならではの頑丈さや耐久性に加え、85×88mmのロングストロークによる優れた低中速域トルク特性など、モータースポーツ用ベースエンジンとして大きな可能性を備えていた。

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当初のターボ仕様は、2L 直4SOHCにタービン径56mm/コンプレッサー径54mmの三菱重工製TC-05ターボユニットを組み、カルマン渦をデジタルで検出するエアフロセンサーと、2本の旋回式噴射ノズルを持つECIを装着して最高出力145psを発生。0→400m加速は16.1秒の俊足を誇った。
翌1983年にはこれに空冷式インタークーラーを追加して最大過給圧を0.53から0.66kg/cm2まで上げ、燃料噴射ノズル口径を拡大して、最高出力は一気に175psまでアップを果たしている。

そして1984年、G63Bの本命ともいえるシリウスダッシュ 3×2 インタークーラーECIターボエンジンが開発され、最高出力も200psの大台に乗って、一躍脚光を浴びることになる。

シリウスダッシュの特徴は、吸気2+排気1の、気筒あたり3バルブヘッドを持つこと。通常の3バルブと異なるのは、バルブ傘径/カムプロフィル/ポート径を含めて吸気システム全体が高速用/低速用に設定されていることだ。

個別のロッカーアームを介して作動する2本の吸気バルブのうち、傘径37mmの高回転用セカンダリーバルブには油圧式弁制御機構が設けられていて、エンジン回転数が2500rpm以下では低速用バルブタイミングとリフトで傘径29mmのプライマリーバルブのみが作動する。
この時、セカンダリーバルブはG15B型オリオンMDエンジンで実用化した弁停止装置で閉じたまま維持する。これにより吸入混合気の渦流(スワール)を強化し、強力な低速トルクを発揮するよう制御される。

エンジン回転数が2500rpmを超えると高速用バルブタイミングとリフトに設定されたセカンダリーバルブも作動。2本の吸気バルブを開くことにより吸入空気量を大幅に増大させ、高回転時の出力アップを図るという、2種類のバルブモードを持つことだ。

これに伴い、ターボの過給圧制御を標準と高過給の2段階に設定。加速時には高圧過給(ダッシュブースト)に切り替えて加速性能の向上を図るほか、空冷式インタークーラーで混合気の充填効率を高めた。ECIのインジェクターも流量特性の異なる2種を組み合わせて、回転数に伴うバルブ面積増減に応じた燃料供給を実現している。

このほか、三菱得意のサイレントシャフトが継続採用され、エンジンの振動・騒音を吸収しているのもG63系シリウスの特徴と言って良いだろう。

G63型は1987年にはギャランVR-4に搭載された4バルブDOHC仕様となり、4G63型に改称した。このエンジンが1992年には初代ランサーエボリューションに搭載されWRCで活躍し、高性能ぶりを世界に見せつけていくことになるのだ。

G63BT 主要諸元
●型式:G63B
●主要搭載車種:RF型スタリオン ターボGSR
●発表年月:1984年5月
●配置・気筒数:水冷直列4気筒・縦置き
●バルブ駆動機構:SOHC・ベルト
●気筒あたりバルブ数:3(吸気2/排気1)
●過給器:TC05型ターボ
●燃焼室形状:半球形
●総排気量:1997cc
●ボア×ストローク:85.0×88.0mm
●圧縮比:9.0
●最高出力:200ps/6000rpm
●最大トルク:28.5kgm/3500rpm
●燃料供給装置:ECI(電子制御燃料噴射)
●燃料・タンク容量:プレミアム・75L
●燃費:11.4km/L(10モード:GSR-V/5速MT)

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