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業界ニュース 2019.8.16

プロパイロット2.0、400馬力オーバーのエンジンを搭載した400Rなど、一新した新型 スカイライン。これが新たな日産のフラッグシップなのだろう。

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商品改良された新しい「スカイライン」を見て、筆者はそんなことを感じた。もちろん日産には「フーガ」とか「シーマ」といったスカイラインよりも大きくて高価なセダンがあるけれど、新しいスカイラインの内容をみると「スカイラインをセダンの象徴にしていこう。日産を代表するセダンにしよう」という日産の決意が伝わってきたからだ。文・工藤貴宏

写真:栗原祥光

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新型と言えど、フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジ

スカイラインに施された今回の変更は、フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジだ。ボディ構造自体や基本的なデザインは従来モデルから継続。しかしながら、そのメニューは多岐に及んでいる。

写真:新型

写真:旧型

まずはスタイル。ひとめで新型だとわかるポイントは、フロントグリルだ。これは……GT-R風じゃないか。なにより注目すべきはインフィニティ顔を捨て去り、「日産顔」になったことだろう。従来のスカイラインは、北米などで展開されている日産のプレミアムブランド(「トヨタ」でいう「レクサス」のような存在)である「インフィニティ」の共通デザインを用いていた。日本でも「INFINITY」のバッジをつけて売られるなど、インフィニティ色が濃かったのだ。日本以外ではインフィニティのラインナップとして販売されているし、インフィニティをメインに開発されたのだから当然ではあるが。
ところが新型は、日本においてはインフィニティと決別した。これは大きな事件だ。バッジも「NISSAN」となり、正式に日産の仲間入りを果たしたから、日産のイメージリーダーであるGT-Rと同じテイストなのだ。さらにはテールランプもスカイラインの伝統である“丸目4灯”のテールランプが戻ってきた。これも大きなメッセージと考えてよさそうだ。
「インフィニティ・スカイライン」から「日産スカイライン」へ。エクステリアの変更はそれを強く感じるし、かなり意味深な方向転換と言わざるを得ない。

頂点に立つグレードは405馬力を誇る400R。過去最高のパワーを達成

日産は「インフィニティは2020年をもって西ヨーロッパから撤退する」と明らかにしている。もしかすると日本以外でもそういった地域において今後はインフィニティではなく、NISSANブランドで販売することを前提として今回のフェイスリフトがおこなわれたのかもしれない。
もちろん、デザインだけを変えてお茶を濁すはずがない。メカニズムもトピックがいくつかり、まずはパワートレイン。「半分」が変更されたのだ。

これまでスカイラインには、V6エンジン+モーターのハイブリッドシステムと、メルセデス・ベンツ製の直列4気筒ターボエンジンが搭載されていた。新型ではハイブリッドをそのまま継続するいっぽう、純粋なエンジン車は日産製の3.0L V6ツインターボである「VR30DDTT」へと入れ替えたのだ(海外の一部市場では直4ターボも継続)。ひさしぶりにハイパワーガソリンエンジンが復活したのは、今回のマイナーチェンジにおける最大のホットトピックである。
最高出力は304PS。最大トルクは400Nm。驚くのはスペシャルモデルとして「400R」という頂点に立つグレードが用意され、たことだ。これがなんと、405PS/475Nmというハイスペックなのだからすごすぎる。かつての「スカイラインGT-R」すら凌ぐ、いうまでもなくスカイライン史上最強のパフォーマンスだ。もう、4気筒ターボのあの「事務的なフィーリング」を味わう必要はないのである。
さらに価格面もまさかのサプライズで、価格上昇は従来の4気筒モデルに対してわずかに10万円ほどと信じられないプライスタグ。しかも、従来はオプション設定だったダイレクトアクティブステアリング(後述)が新型では標準装備化されていることを考えれば、実質約20万円の値下げなのだから驚かずにはいられない(もしかしてベンツ製のエンジンがよほど高価だったのだろうか?)。
いずれにしろ動力性能は全体的に底上げされ、こうしたエンジンラインナップの変更からも、スカイラインが次のステージへと昇ったことを感じさせる。

メカニズムの話をすると、ハンドルとタイヤが機械的にはつながっておらず電気信号のみで繋がれている「アイレクトアクティブステアリング」(これは日産の呼び名で一般的には「ステア・バイ・ワイヤ」と呼ばれる)も進化。ステアリングの切りはじめのレスポンスを向上させ、過敏さを軽減しながら応答性を向上するなどバージョンアップされたうえで、従来の「一部仕様にオプション」から全車に標準装備化へと格上げされている。
さらには、一部仕様には「インテリジェントダイナミックサスペンション」と呼ぶ電子制御式のサスペンションも新たに設定された。ステアリング系もサスペンション系も、かなり手が入っているといっていい。

インテリアの見所は、2つのタッチパネルディスプレイを組み合わせたインターフェイスから見える先進性

写真:新型

写真:旧型

インテリアは、ダッシュボードの意匠変更といった大掛かりなリフレッシュはなくパワートレインの進化ほどのインパクトはない。
とはいえ、センター部分に8インチと7インチと2つのタッチパネルディスプレイを組み合わせたインターフェイスは十分に先進的であり、すべての操作をタッチパネルに任せるのではなくエアコンやナビの基本操作は物理的なコントローラーを組み合わせるなど、操作性にも十分に配慮されているのが印象的だ。大きなディスプレイを組み合わせたインターフェイスは先進性ばかりを求めて実際の操作しやすさがおろそかになりがちだが、スカイラインに関しては従来から先進性よりもむしろ操作性が重要視されている印象で、ここはもっと褒められてもいいと思っている。
また、ダッシュボード付近に大きな変更はないと書いたけれど、細かい部分はしっかり進化。たとえばハイブリッド車のメーターは新たに7インチディスプレイ(今回からサイズが大きくなった)が組み込まれたほか、ヘッドアップディスプレイも新たに追加されている。「見る」ことと「状況を知る」ことが、より進化したと捉えていいだろう。


こちらもハイブリッド車だけとなるが、従来は足踏み式だったパーキングブレーキが電動化されたのもトピック。細かい部分では、ハンドルを握ったままシフト操作をするための「パドルシフト」が、従来よりもひとまわり小型化されている。これは「あまり積極的に使わなくてもいいよ」というメッセージかもしれないし、もしかすると「あまり使う人がいなくて、大きすぎるのはイヤ」という声があったのかもしれない。パドルというのは形状も取り付け場所もあくまでドライバーの好みにより理想が変わるものだが、個人的なことをいえば、従来のほうがスポーティな見た目だし操作しやすかったので、ここは残念な気持ちになった。
 またナビもシステムが刷新され、通信ユニットを組み込んでコネクテッドカーに進化。通信をおこなうには別途契約が必要(もっともリーズナブルな年間契約プランで12000円/年)だが、契約すると車内Wi-Fiアクセスポイントとしても機能してオンラインの動画や音楽も通信し放題なのは、国産車では珍しい機能だ。契約すると地図更新もオンライン上でおこなえるようにもなる。これは、今後の新車には必須となっていくことだろう。

ついに2.0へと進化した、プロパイロット。どう進化した?

そんなスカイラインだが、世間的にもっとも大きなトピックとなっているのが「プロパイロット2.0」と呼ぶ先進運転支援技術のハンズオフ機能だ。ハンズオフとは、手放し運転のこと。ついに、スカイラインは日本車の量産車両としてはじめてその領域に踏み込んだのだ。手放し運転がおこなえるのはなんとも衝撃的である。
とはいえ、手放し運転機能自体はキャデラックがアメリカで「スーパークルーズ」と呼ぶ機能を市販車に搭載し、日本においてもスカイラインとほぼ同時にBMWが組み込んでいるので、世界初ではない。いっぽうでスカイラインに搭載した「プロパイロット2.0」が世界初と謳っているのは高精度の3Dマップを組み合わせていることにある。
3Dマップとは道路を単に線ではなく道路の傾斜や標識なども含めて3次元でデータ化し、車線や道路の曲率など細かい部分まで含めて正確に収録されたデジタル地図のこと。この細かい地図により、車両は左右誤差5cmレベルで自分の位置を把握し、さらには7個のカメラ、5個のレーダー、さらに12個のソナーからの情報で車両周囲の状況をしっかり読みとってハンズフリーを可能としたのだ。

もちろん、車速はアダプティブクルーズコントロールにより自動で制御されるのは言うまでもない。自動化したアクセル/ハンドル操作に加えてハンドルからも手放し可能となったことで、これまでとはまったく異なる、異次元の運転スタイルを実現するのだ。ただし、この「プロパイロット2.0」は自動運転ではない。だから限られた状態においてはアクセル/ブレーキとハンドルの操作をクルマがおこなうが、あくまで補助的なものでありドライバーは常に自分で操作できる状態を保つ必要がある。たとえドライバーが手放しをしていても操作の責任はドライバーにあるので、スマホ操作やわき見は許されないし、もちろん睡眠などもNGだ。そこは勘違いすべきでない重要な部分だ。
だから赤外線カメラがドライバーの状況を常に監視し、前方を注視していないばあいはステアリングのサポートが解除される。
いっぽうで、前方に遅い車がいる場合はドライバーに追い越しを促し、ドライバーの指示により自動で車線変更をおこなうのは新しい。ただし、その際はハンズオフが許されず、ドライバーはハンドルに手を触れておく必要がある。

写真:新型

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