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コンセプトは悪くないのに残念な結果に 売れなかった軽自動車5選

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コンセプトは悪くないのに残念な結果に 売れなかった軽自動車5選

■ユニークな軽自動車があったが販売は低迷

 現在、車高が高くリアにスライドドアを装備したトールワゴンが人気で、販売台数が好調に推移している軽自動車ですが、過去には特徴的なクルマがいくつもありました。

軽自動車は4人しか乗れない? 条件付きで5人乗車できる方法が存在

 軽自動車だけど先進的なテクノロジーが採用されたモデルや贅沢な作りのモデル、ターゲットは明確ながら中途半端に見えてしまったモデルなどがありました。

 しかし、ユーザーのニーズと違ってしまえば、当然のように販売数も少なくなってしまいます。

 そこで、個性的だったけど販売が振るわなかった軽自動車5車種をピックアップして紹介します。

●スバル「R1」

 2004年に発売されたスバル「R1」は、同社の「R2」にも似た外観のイメージでしたが、全長やホイールベースは短く、市街地や駐車場などでの取り回しを良くした3ドアハッチバッククーペモデルとなっていました。

 シニア世代や女性を主なターゲットとし、乗車定員は4名でしたが2+2のシートのため、実質は大人2人が快適に過ごせることに特化した室内でした。

 発売当時に搭載されていたエンジンは、54馬力の660cc直列4気筒自然吸気で、4気筒ならではの滑らかな回転フィーリングと低振動を実現。

 2005年には最高出力64馬力/最大トルク10.5kgmを発揮する660cc直列4気筒スーパーチャージャー付きエンジンに、7速マニュアルモード付CVTを搭載する「S」グレードが登場しました。

 スポーティな軽自動車を好む層からは高く評価されましたが、軽自動車はパーソナルな空間よりも広さが求められる時代となっていたため、販売数を伸ばすには至りませんでした。

 2010年に販売が終了したR1ですが、Sグレードは軽自動車唯一の4気筒DOHCスーパーチャージャーエンジンが搭載されていることから、スバル好きな人や一部のマニアの人気が高まり始めています。

 今後、手ごろな価格で購入するのは難しくなるかもしれません。

●ダイハツ「ソニカ」

 2006年にデビューしたダイハツ「ソニカ」は、軽自動車の主流が室内空間の広いトールワゴンに移行しつつあるなか、流麗なデザインと優れた走行性能で市場に投入されました。

 一見すると、テールランプ形状から2005年に販売を終了したセミトールワゴン「MAX」の後継車にも見えましたが、まったくの別物です。

 カップルをターゲットとして企画され、最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボエンジンによる余裕の走行性能に、1470mmに抑えられた低い全高の安定感、風切り音やロードノイズを低減させる技術を採用した静粛性など、「軽のスペシャリティカー」となっていました。

 スペシャリティカーらしく装備も充実していて、電子カードキーを携帯していれば、ドアの解錠・施錠ならびにエンジンスイッチノブの操作によるエンジンの始動・停止が可能なキーフリーシステムを全車に標準装備。

 一部グレードには花粉除去モード付のオートエアコンやクリーンエアフィルター(花粉除去機能付)、 セキュリティアラームなどが採用されるなど、高級軽自動車という呼び方が相応しいクルマでした。

 現在は質感を高めた軽自動車が人気となっていますが、クオリティの高さの割にソニカは評価されず、「タント」や「ムーヴ」が人気となったことで、発売から3年後の2009年にひっそりと販売を終了してしまいました。

●三菱「i-MiEV」

 2009年に登場した三菱「i-MiEV」は、同社の軽自動車「i」をベースにして、リアに搭載されていたガソリンエンジンの代わりに、モーターを搭載した純粋な電気自動車です。

 他社に先駆けて三菱が世界初の量産EV製造に成功し、発売時は法人向け販売のみでしたが2010年から個人向け販売も開始されました。

 モーターの最高出力は「G」グレードで64馬力、後に追加されたバッテリー容量の少ない「M」グレードは41馬力でしたが、モーターならではの高トルクと、車体下部に重量物であるバッテリーを搭載したことによる低重心化で、小気味よく走ることが可能でした。

 発売時の価格は459万9000円(消費税込)で、当時、国から交付された補助金を適用しても実質負担額が320万9000円と高価でした。

 また、2009年時点は充電スポットが少なくインフラの整備が進んでいなかったこともあり、複数回の値下げをおこないましたが販売台数が伸びることはなく、販売台数は低迷。

 2018年のマイナーチェンジで全長を3480mmまで拡大したことにより小型車扱いとなり、軽自動車としてのi-MiEVは販売を終了しました。

■ホンダとスズキの個性的な2台も残念な結果に

●ホンダ「Z」

 1998年に登場した2代目「Z」は、360cc時代の軽スポーティカー市場を牽引した初代Zの名前を引き継ぐも、コンセプトはまったく異なるSUVでした。

 特徴的だったのはパワートレインで、エンジンを縦置きに配置したミッドシップレイアウトとし、ビスカスカップリングを用いたセンターデフを備えた4WDシステムを採用。

 通常は後輪駆動で走行し、発進・加速時や、雨、雪、坂道、悪路など路面状況に応じて前輪にもトルクを伝達することで操縦安定性、制動性能を向上させるというスタンバイ式の4WDでした。

 また、パワートレインが床下に搭載されていることから、プラットフォームは「UM-4」(Under floor Midship 4WD )と名付けられていました。

 15インチの大径タイヤと高めの車高からひと目でSUVとわかりますが、価格は114万8000円(消費税含まず)からと軽自動車としては高額だったことや、3ドアのみの構成で使い勝手が良くなかったために販売は低迷。2002年には生産を終了しました。

 同時期に販売していた三菱「パジェロミニ」やスズキ「ジムニー」は、定石どおりの4WDということで万人からの人気が高く、Zの独創的な部分が裏目に出てしまったということでしょう。

●スズキ「ツイン」

 2003年に登場したスズキ「ツイン」は、その名のとおり乗車定員2人の軽自動車クーペですが、短くて丸いデザインのボディが最大の特徴でした。

 全長2735mm×全幅1475mm、ホイールベース1800mmというサイズにより、最小回転半径は3.6mで、狭い道や駐車場でも車体の大きさを気にする必要は皆無でした。

 搭載されたエンジンは、当時、多くのスズキの軽自動車に搭載されていた660cc3気筒で、最高出力は44馬力ながら、車重560kg(ガソリン「A」・MT車)の軽量ボディとあって、ストレスなく走らせることが可能でした。

 また、最大出力5kWのモーターをエンジンとトランスミッションの間に搭載してエンジンをアシストする、軽自動車初の市販ハイブリッド車もラインナップ。

 駆動用バッテリーはニッケル水素やリチウムイオンではなくバイク用鉛バッテリーを改良し、12Vバッテリー8個を直列にしたユニットを、ふたつ直列とすることで合計192Vとしたものをリアに搭載。

 価格はベーシックなガソリンエンジン車のグレード「A」(MT車)は49万円(消費税含まず、以下同様)と安価でしたが、ハイブリッド車は129万円からとかなり高額でした。

 ドイツのスマートによって確立されたシティコミューターとしてのマイクロカーでしたが、もともとコンパクトな軽自動車の場合は「大は小を兼ねる」という意識が強かったのか、ツインの販売は低迷。

 特徴的なデザインも賛否両論あり、2005年に販売終了となりました。

※ ※ ※

 軽自動車でも独創的な仕組みや遊び心、特徴的なデザインを持ったモデルは過去に多く登場しましたが、商業的に成功したものは少ないのが実情です。

 しかし、どの軽自動車もトールワゴンばかりでは、選択肢が狭まってしまいます。各メーカーには新しい発想の新型車を開発してほしいところですが、グローバルに販売できないこともあって、なかなか難しいところです。

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