■現代のクルマでならし運転をする必要性とは
かつて、新車を購入したあとには、部品同士をよくなじませることを目的にした「ならし運転」をしたほうがクルマが長持ちするといわれてきました。
しかし、近年では「ならし運転は必要」という意見が、以前より聞かれなくなりました。果たして、現代のクルマでもならし運転は必要なのでしょうか。
ならし運転について厳密な定義がある訳ではありませんが、一般的には穏やかなペダル/ハンドル操作を心がけることなどが、ならし運転にあたるといわれています。
一般ユーザーを対象におこなったならし運転に関するアンケート調査では、70%のユーザーが現在もならし運転をしていると回答しています。
「ならし運転をしている」と回答したユーザーは、次のように話します。
「新車1か月点検までは、『急』のつく運転はしないようにしています。その期間中は、高速道路も走りません。
工場から新車を出荷する前に、最終ラインでの走行点検がおこなわれていると聞いていますが、一瞬のことだろうと思うので、長く乗るのであれば慣らし運転は必要だと思います」
一方、「ならし運転をしていない」というユーザーは、「ならし運転と関係なく、派手な運転をしなければ良いだけだと考えます。ならし運転は必要ないのではないでしょうか」といいます。
果たして、ならし運転は必要なのでしょうか。トヨタは、ならし運転の必要性について、次のように説明しています。
「ならし運転の必要はありません。理由としては、ごく一般的な安全運転を心がけていただければ、ならし運転の目的である部品同士のなじみは自然と出るから、ということが挙げられます。
お客様が新しいクルマに慣れるための期間を、ならし運転の期間と考えていただければ、問題ございません」
一方、ホンダは、ならし運転について次のような見解としています。
「現在のクルマは、エンジンやその他の部品精度が向上しているため、必ずしもならし運転をおこなう必要はありません。
ただし、機械の性能保持と寿命を延ばすためには、1000km走行までをならし運転の期間として、急激なアクセル操作や急発進をできるだけ避けていただくことをおすすめします。
また、取扱説明書にならし運転期間について記載がある場合は、その期間はならし運転の期間としてください」
ならし運転をしないことで、それが何らかの問題に直結する訳ではないようです。しかし、愛車に長く乗ることを考えているのであれば、リスクを軽減する意味も含めて、一定期間はとくに慎重な運転をするのが望ましいといえるでしょう。
■今でもやる? 暖機運転の必要性
ならし運転が、新車購入後一定期間の運転方法を指しているのに対し、エンジン始動直後にクルマへ負荷をかけないことを目的とした行為を「暖機運転」といいます。
やり方としては、エンジンをかけた状態で5分から10分程度待ち、エンジンが暖まった後にクルマを発進させるというのが一般的です。
しかし、暖機運転はいい方を変えると「アイドリング」という行為にあたり、騒音問題や排出ガスなどの観点から、道の駅やコンビニの駐車場などをはじめさまざまな場所で禁止されていることが多くなっています。
近年のクルマで暖機運転は必要なのでしょうか。ホンダは暖機運転の必要性について次のように説明します。
「暖機運転をする必要は、基本的にはありません。エンジンが暖まりにくいといわれている冬季であっても、極寒冷地などの一部の特殊条件下を除けば、必要無くなっているのが現状です」
※ ※ ※
いまでは暖機運転の必要はなくなっていますが、その一方で慌ててクルマを発進させる行為は、危険を伴います。
駐車場の物陰に隠れた子どもや自転車との衝突に注意して、かつクルマをいたわって加速することを心がければ、特別な暖機運転は必要ない、というのが現状のようです。
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