トヨタは国内の自動車メーカーのなかで、ナンバー1の販売台数を誇ります。
レクサスやOEM車を含めると、2018年度は国内だけで約157万台を販売していますが、この台数は2018年度における国内販売総数(約526万台)の30%で、小型/普通車に限定すれば46%をトヨタ車が占めています。
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国内トップシェアを誇るトヨタ 国内で販売2位のホンダは約75万台で、国内シェアは14%になり、トヨタの半分以下です。国内市場はトヨタのひとり勝ちといえるでしょう。
グローバルでみると、子会社のダイハツや日野を含まない2018年(暦年)におけるトヨタの世界生産台数は889万台でした。ホンダは536万台なので、トヨタの約6割になります。つまりトヨタとホンダの差は、海外よりも国内の方が大きいのです。
いいかえればトヨタは、海外とあわせて国内市場にも力を入れているメーカーといえるでしょう。
2018年の販売実績を見ると、トヨタの世界生産台数に占める国内の販売比率は18%で、ホンダは14%です。トヨタは世界的に販売規模が大きく、さらに国内比率も高いため、圧勝となりました。
トヨタの国内販売台数が多い背景には、販売網が充実していることがあげられます。トヨタの販売店は、東京地区の販売網がトヨタモビリティ東京として統合される前の段階では、トヨタ店が1000店舗、トヨペット店が1000店舗、トヨタカローラ店が1300店舗、ネッツトヨタ店が1600店舗、レクサスが170店舗と、国内だけで約5000か所に達しています。
これに比べるとホンダは2200店舗、日産は2100店舗、マツダは1000店舗、三菱は600店舗、スバルは460店舗という具合です。トヨタの約5000店舗はほかのメーカーに比べて圧倒的に多く、国内の販売台数がホンダの約2倍というのも納得できます。
一方で、トヨタの1店舗あたりの販売台数は、とくに多いわけではありません。2018年度に販売された157万台を5000店舗で単純に割ると、1店舗当たりの台数は314台となります。
トヨタと比べて店舗数が少ないスバルは、2018年度における販売台数は14万台ですが、460店舗で平均すると1店舗あたり304台を販売していることになります。
スバルが販売する車種の平均価格は、トヨタよりも高いので、車両販売による1店舗あたりの売上高は、国産車のディーラーではレクサスに次いで多いのです。
販売台数を見ると、国内市場はトヨタの天下ですが、本当に商売が上手なのはスバルであるともいえるでしょう。
スバルの企業規模は小さいものの、エンジンやプラットフォーム、車種の数を少なく抑えて、効率の良い生産と販売をしています。最近は完成検査問題で印象を悪くしましたが、スバルは技術力も高く、本来なら体質の優れた企業といえます。
全車種販売が販売低下の原因に? 今後のトヨタはどうなる? 販売面で気になるのは、日産です。国内で2100店舗を展開しますが、2018年度の国内販売は60万台なので、1店舗当たりの販売台数は286台です。
日産の売れ筋モデル「セレナ」はオラオラ顔にチェンジ しかも国内で販売される日産車の3分の1以上が価格の安い軽自動車なので、車両販売による売り上げは下がります。日産は、国内のメーカー別販売ランキングも5位と低いです。
2018年度における小型/普通車の販売ナンバーワンは日産「ノート」で、ミニバンの1位も日産「セレナ」でしたが、メーカー別の順位は5位ですから、日産車の販売は、これらの限られた売れ筋車種に集中しているのです。
こうなった理由は、最近の日産が国内向けの商品開発に力を入れず、海外中心になったためです。いまの日産の世界生産台数に占める国内販売比率は11%ですから、トヨタの18%、ホンダの14%と比べてもさらに低いです。
ただし、過去の販売ランキングを振り返ると、2007年頃までは、日産は安定的にトヨタに次ぐ2位に位置していました。
業績を悪化させた日産は、1999年にルノーと資本提携を結びましたが、2000年代の中盤までは、国内市場に合った小型車やミニバンを積極的に発売していたのです。
2002年には3代目「マーチ」、2代目「キューブ」、2代目「エルグランド」、2003年には2代目「プレサージュ」、2004年には「ティーダ」と初代「ラフェスタ」、2005年は初代ノートと3代目「ウイングロード」というように、さまざまなモデルが登場しました。
ところが2008年末にリーマンショックが発生すると、国内市場に対する積極性が急速に薄れ、新型車の発売が2年に1車種程度に滞ります。また2000年代には、小型/普通車の売れ行きが下がる一方で、軽自動車が販売比率を拡大させ、ホンダ/スズキ/ダイハツの順位が繰り上がりました。その結果、日産が5位に転落したのです。
これに伴って販売店舗数も減りました。日産は2003年には全国に3100店舗ありましたが、2008年は2800店舗に減り、いまでは2100店舗です。
この店舗数や販売台数の縮小と時期的に一致するのが、販売系列の撤廃です。日産では1999年に全店が全車を扱うようになり、2007年には系列も撤廃して全店の外装が同じ色彩になりました。
ホンダは、2003年の時点では2400店舗でしたが、いまは2200店舗に縮小しています。2006年に開始された全店併売の際に、ディーラーの名称がホンダカーズに変更され、その後に売れ行きが落ち始めます。
日産とホンダを見る限り、国内で売られる新型車の減少や国内販売の落ち込み、国内販売比率の低下は、販売系列の撤廃と連動して進んでいます。
こうなるとトヨタにも不安が生じます。東京地区では2019年4月に、トヨタの直営4系列をトヨタモビリティ東京に統合しましたが、2020年5月にはほかの地域も全店が全車を扱うようになるからです。
トヨタの場合、大半の地域のディーラーがメーカー資本に頼らない独立した販売会社なので、東京のような販売系列の統合は難しいです。しかし、全店が全車を扱えば系列の意味が薄れ、トヨタの販売会社同士の競争が激しくなるのは必至です。その結果、販売力の強い会社だけが生き残ります。
全車種併売についてトヨタの販売店に話を聞くと、「全車を扱えば、お客様のニーズに幅広く応じられるから歓迎したい」という声が聞かれる一方で、「取り扱い車種が膨大に増えるため、商品知識が不十分になる心配がある」「店舗の廃止などリストラは避けられない」など、賛否両論があるようです。
現時点でも、「プリウス」「アクア」「シエンタ」「C-HR」などといった売れ筋車種は、すでに全店が扱っています。今後全店が全車を扱う体制に本格移行した後、現在の専売車種となる「クラウン」「ハリアー」「カローラ」「ヴィッツ」などの売れ行きをいかに維持できるかが重要になるでしょう。
とくにセダン市場は、実質的にトヨタが支えている状態ですから、クラウンやカローラの売れ行きが下がると深刻なセダン不足に陥ります。トヨタが日本の自動車産業に与える影響は、きわめて大きいといえます。
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