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「第三の移動体」発進‼ 『YAMAHA TRICTY125 / PIAGGIO MP3YOURBAN300 』(2015年) #試乗インプレ

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「第三の移動体」発進‼ 『YAMAHA TRICTY125 / PIAGGIO MP3YOURBAN300 』(2015年) #試乗インプレ

斬新なアイデアと独創のテクノロジーを満載し、トリシティ125がデビューした2015年。待望の国内仕様は、抜群の乗り味と衝撃の価格での登場となった。当時の試乗レポートをどうぞ!

抜群の接地感と安心感で構えることなく扱える!
ようやく日本からも前2輪がスイングする3輪バイクが登場した。

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このタイプはトライクなどとは違い、一般的なバイクと変わらない操縦感覚のまま、これまでのバイクでは不可能だった走破性を生み出すことができる。ただ難点が二つある。

重くなることと、パーツが増えてプライスが跳ね上がることだ。

ヤマハはその対策を上手にやってみせた。

タイで生産することと、サス周りに既存の技術である、テレスコピックフォークを組み合わせることでコストを抑えた。

なんと価格はマジェスティSとほぼ変わらない、税抜33万円! こちらが心配になるほど安い!

しかも、一般的なフォークを使うことで、減速時にノーズダイブするときや、フルバンク状態で左右の車輪が別々のギャップを越えたときなどの挙動がいい。

おもにフロントまわりの動的なキャスター・トレールの変化が一般的なバイクに近いからだろう。

まるで普通のバイクだが、フロントまわりには、普通のバイクではあり得ない接地感がある。

重量はさすがに少し重めだが、それでも同クラスのスクーターより30kg重い程度。

上手く造ったものだと思う。だから決して遅くないし、身のこなしも鈍重ではない。

注目の走りだが、左右へのリーンは、少し手応えはあるが、その舵角の付き方はまるで普通のバイク。ごく自然だ。

故意に切り込んでも安定しているし、Uターンもすごくしやすい。普通の2輪バイクと思って乗ればいい。

2輪の2輪バイクと違うのは、段差などを斜めに乗り越える時だ。

左右のフロントタイヤはシーソーのように動き、片輪ずつ、生き物のようにそれを乗り越える。この時、片輪が弾かれても、もう1輪が踏ん張ってくれるので滑りにくい。

雨天などで滑りやすい、レールと凸凹の花崗岩を敷き詰めた路面電車の軌道敷きなどを斜めに横切るような状況での威力は絶大だ。

ちょっとしたスリップによって、フロントタイヤは破綻しやすいのだが、3輪バイクであるトリシティはリアよりも滑りにくい。

同クラスのスクーターにこれだけの頼れる接地感を持ったバイクはない。

これが走りや常識を変える、大きな理由だ。トリシティはそんな異次元の走りを、極めて手頃なプライスで提供してくれる。

ビックリするほど頼れる走りのコミューターなのだ。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高1905×735×1215mm
ホイールベース1310mm
シート高780mm
車両重量152kg
エンジン形式水冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量124cc
ボア×ストローク52.4×57.9mm
圧縮比10.9
最高出力11PS/9000rpm
最大トルク1.0kg-m/5500rpm
燃料供給方式FI
燃料タンク容量6.6ℓ
キャスター角/トレール20度/68mm
変速機形式Vベルト無段変速
ブレーキ形式 前・後ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後90/80-14・110/90-12

女性ユーザーにも楽しんで欲しい気品ある佇まいを目指しました
前2輪というレイアウトということもあって、フロントセクションが大きく見えてしまいがちなので、このトリシティではフロントノーズをシャープにし、側面のパネルもえぐった形状にしたり、スリットを設けてみたりして、フロント周りをスッキリ見せる工夫を施しています。

また、このトリシティは、オシャレな女性にも乗っていただきたいという想いから、上質さを感じていただけるような仕上げにも重点を置いています。

インナーパネルも単なるブラックとせず、ボディ同色パーツを大きく配置したり、ホイールのスポークをリボン状のデザインとするなど、優しさと気品を感じられるような造りにもこだわりました。

スクーターの魅力に安全性を加えたコミューターの「新機軸」に期待!
かつて、ピアジオのMP3やジレラのフオコに試乗して『前2輪構造は素晴らしい可能性を持っている』と僕はレポートした。

あれから5年。ここまで色々な苦難はあっただろうが、やっと出たか…というのが正直な印象。

だが、時間が掛かっただけのことはある。

新時代コミューターとして、トリシティは予想以上の仕上がりになっている。

前2輪という構造で目を惹くルックスだが、操作は通常のスクーターと何ら変わらない。

同じ前2輪でも車体がバンクしない車種はハンドルをコーナー内側に切ることで曲がるが、トリシティはオートバイと同じく車体を内側にバンクさせて曲がるからだ。

前輪が2本平行に並んでいることもあって、バンク開始時に僅かに粘るような重さがあるが、10分ほど走れば慣れて、急なスラロームやUターン、すり抜けだってごく普通にできる。

車重は同社のシグナスXよりも30kg重いが、シグナスXよりも低回転でより大きなトルクを発生するエンジンと専用の変速比で加速力も充分。

ライディング感覚は同クラスの2輪スクーターと何ら変わらないのだ。

では前2輪の現実的なメリットは何か? と言えば「どんな状況でも転びにくい」ということ。

もともと小型スクーターはホイールベースが短く、タイヤも小径なので安定性は高くない。

路面の悪いところではピョコピョコと跳ねて進路が乱れ、段差の乗り越えではハンドルが取られやすく、ブレーキングで少しでもフロントがロックすると転倒しやすいという弱点がある。

だが、こうした不安要素を払拭してしまうのが前2輪というレイアウトなのだ。

試乗では段差を斜めに通過したり、連続した凸凹路面で進路変更したりと、普通のスクーターなら地面に放り出されるような状況も試したが、トリシティは憎らしいほど安定していて転ぶ気がしない。

もちろん構造的には限界を超えれば転倒するが、その限界が格段に高いのだ。

その上、フロントブレーキも思い切り掛けられ、制動距離も短い。

前2輪としたことで、通常のスクーターの機動性に、2輪では実現しえない安全性が加わった。

これは不特定多数のライダーが多様に使うコミューターにとって、何よりも重要な要素。

おそらくより大きな排気量のモデルも開発しているはずだから、トリシティをきっかけに新たなライディングの世界が広がることを大いに期待している。

機能パーツも豊富にラインアップ‼
耐震、防水の専用ナビゲーション。

取り付けには別売のステー(6480円)、電源サブハーネス(1080円)が必要。

透過率30%のスモーク仕上げとした、スポーツイメージを高めるデザインのバイザー。

飛び石などから手を護ってくれる。

タンデムの快適性をアップさせる専用バックレスト。

取り付けにはテールカバーに穴あけ加工が必要。

スポーツムードを格段に高める、スモーク仕様のバイザー。

フロントマスクをより精悍にさせる。

[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]

[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]

抜群の乗り心地と力強い走りでライバル不在の魅力を放つ
278ccになったMP3・ユアーバンはこれまでよりひとまわり小柄だ。

フロントのトレッド幅が狭くなったのに合わせ、デザインも一新。

随分と軽快なイメージになった。

走りもビックリするほど変わっていた。まず元気がいい。

このユアーバン採用されているクオーサーエンジンは、もともとピックアップがよくパワフルなのが魅力。その威力と、トレッド幅が狭まり、曲がることへの抵抗が少なくなったことで、身のこなしが格段に良くなっている。

感覚的で言うと、半分くらいの手応えで切り返しができ、リーンさせるときの特性が普通のバイクとあまり変わらなくなっていた。これにはビックリだ。

大柄な通常のMP3は、寝かす、切り返す、などの操作時にフロントの舵角が遅れたり、粘るような抵抗感を感じることが多かったが、ユアーバンにはそれがない。

またフルバンク時、ギャップを乗り越えた時に感じていた、左右の車輪がバラバラに動くような不安定感も相当減った。

フロントまわりのアライメントがかなり見直したのだろう。

このMP3のフロント懸架ユニットは、やはり横に平行に並んでシーソーのように動く2本のリンクが基本。トリシティと違うのは、サスペンションが片持ち式のリーディングリンク方式という点。

スクーターによく使われるリンクで、ストロークを大きく取ることは難しいが、強度と滑らかな動きを両立するシステムだ。

ただし、リンクの角度に合わせてホイールアクスルは弧を描いて動き、アライメントもかなり変わる。

これまでのMP3は、この方式のデメリットがギリギリの状況で顔を出していたように思うが、ユアーバンではそれが少なくなっているのが嬉しい。

もともと、乗り心地は並のスクーターなどよりはるかに良く、フロントの接地感もいい。

単なるコミューターとしてだけでなく、ツーリングにも使いたくなる乗り心地、ロードスポーツの250と遜色ない加速をする動力性能に素直なハンドリング。

これは特筆すべき魅力だ。

価格も85万3000円と、ビックリするほどは高くない。なかなか魅力的なスリーホイラーだと言える。

トリシティとは「守備範囲」が違うので直接は比較できない。

トリシティは100km/hくらいまで、MP3は140km/hくらいの速度レンジを想定した車体の造りになっている。

サスの動きや剛性バランスなど、決定的なパートのグレードが違う。

使われ方の想定が異なるので、単純に較べてみるのは、どちらに対しても失礼だと言えるだろう。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高2040×760×1320mm
ホイールベース1440mm
シート高780mm
車両重量206kg
エンジン形式水冷4ストOHC4バルブ単気筒
総排気量278cc
ボア×ストローク75×63mm
圧縮比11.1
最高出力22.4HP/7500rpm
最大トルク2.37kg-m/6500rpm
燃料供給方式FI
燃料タンク容量10.8ℓ
キャスター角/トレールNA
変速機形式Vベルト無段変速
ブレーキ形式 前・後φ240mmダブルディスク・φ240mmディスク
タイヤサイズ 前・後110/70-13・140/60-14

Riding Position
身長:176cm 体重:68kg

着座時のヒザ周辺のスペースはミドルスクーターとしては少し狭め。

しかし、ヒザや上半身にはゆとりがあり、リラックスしたライポジだ。

シート高は高めだが、シート前部がスラントして低い形状なので、尻を少し前側にずらすことで足着き具合を調整可能。

長く乗っても疲れない。

DETAILS
フロントには独立懸架方式の「クアトロリンクサスペンション」を採用。

ボトムリンク式の2本のフロントサスペンションをシーソー状に動く2本の並行アームにジョイントし、素直なリーン特性と高い安定性を実現する。

エンジンは278ccのクオーサーユニット。

高回転域での伸びに定評のあるエンジンだ。

インジェクションとの組み合わせで、最高出力は22.4HPを発揮する。

シート下のスペースは想像以上に容量が確保されている。

ヘルメットを1個置いても、この通り余裕がある。

開口部も大きいので、無造作に荷物を放り込めるから、通勤・通学にも便利だ。

コンパクトな車体幅に合わせ、フロントマスクも小型でスッキリしたものを採用、スポーティなムードに仕上げている。

ライトスモークのメーターバイザーも標準装備される。

[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]

●PHOTO:南 孝幸/森 浩輔 ●TEXT:宮崎敬一郎/太田安治/青木タカオ/本誌編集部

公式サイト

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