維持費が安くトラブル知らず
パッと見はクラシックカーで中身は最新の軽自動車、そんなクルマを街中やクルマ関連のイベント会場で目にした人もいるはず。以前はコアなファンが支えていたカテゴリーだが、近年は裾野が大きく広がると同時にカスタムも多様化している。ブームの理由はランニングコストの低さ、そして新しい国産車ならではの安心感があった。
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じつは軽自動車をレトロな外観にカスタムするという歴史は古い。代表的なモデルはワンボックスをベースにしたワーゲンバスで、自家用だけじゃなく移動販売車としても人気が高い。ところが近年はベース車両やモチーフにする車両が多様化し、スタイリングの好みや予算による選択肢が増加。事実、以前よりもユーザーも増えているのだ。
理由は1985年から始まったバブル期まで拡大したクラシックカーのブームと、ベースとなる軽自動車の進化を抜いては語れないだろう。以前の旧車ブームは1960~1970年代が中心だったけど、現在の20~30代の人にはバブル期のクルマですら十分にレトロ。個性的なルックスの車両は根強いファンが多いものの、故障やパーツの供給を考えると一抹の不安は拭えない。そこで日本が誇る軽自動車の出番というワケだ。
税金やタイヤ代といった維持費が安いことは当然として、最近のモデルは安全装備や室内空間の広さも普通車に見劣りしない。日常の使い勝手を犠牲にせず、古き良き憧れのルックスが手に入る、というのは購入を決意する大きな理由になる。トラブルの少ない近年の軽自動車をベースに、クラシックなスタイリングが手に入るエアロパーツ(ボディキット)を装着するという手法だ。
2002年にスバル・サンバーをベースとした”ワーゲンバス仕様”を発売して以来、旧車チックな軽自動車カスタムを数多く手がける、神奈川県のモデストオートの田中代表にブームの背景について話を聞いてみた。
「元々は自分が旧車や人とは違うクルマが好きでボディキットの販売を始めました。問い合わせが増えたと感じるのは10年ほど前からで、当社でも徐々にラインアップを増やしていきました」とか。現在はホンダの名車ステップバン風の『ポケットバン』、ロシアの『ワズ』という車両をモチーフにした『パズ』、ニッサン『パオ』がモデルの『パイク』など、全国各地からオーダーが入るという。
レトロなフォルムになるボディキットを求める年齢層は40~60代が多く、いま乗っているクルマを持ち込んだりする例もあるそうだ。もちろん、中古車または新車を使ったコンプリート製作も可能だという。
同社がラインアップするボディキットを装着できるベース車は、軽バンが中心となっているが、そんな商用感の強いクルマでもオシャレに乗りたいという人が増えているわけだ。
そのようなカスタマイズの近道といえるのがクラシック風のエアロパーツなのだが、注意して欲しいのは粗悪なコピー品だという。
「旧車スタイルブームは非常に歓迎すべきことですが、悲しいことに盛り上がるほどコピー品も増えます。エアロは薄っぺらいし仕上げも悪く、装着や塗装の際に余計な手間がかかってしまい、品質と見合わない費用になることが多いです」と田中代表は話す。安心感は流行を支える大きな理由のひとつ。安易な気持ちでコピー品に手を出し『安物買いの銭失い』とならないよう、くれぐれも注意するべし。
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