疲労軽減や緊急時の安全性確保などシートベルトは進化している
シートベルトの歴史は古く、約100年前の1903年には最初のシートベルトが考案され、現在主流の3点式シートベルトも1959年にボルボが開発。ベルトの素材も、ポリアミドからポリエステルへと進化し、織り方も帯状を保ちながらより強く、より柔軟で快適な締め心地になるよう技術が改善されている。
ちなみに、量産車用のシートベルト(ウェビング)の破壊強度は、JIS規格で決まっていて、肩ウェビング=1810kgf以上、腰ウェビング=2720kgf以上となっている。さらにクルマのボディとシートベルトをつなぐ金具やスルーリングにも、強度の高いものが求められ、クロムモリブデン鋼を使ったり、レース用のフルハーネスは金具をすべてチタン製にしたりして軽量化も図っている。またベルトの色もけっこう豊富で、現在100色以上も用意され、目立たないところでけっこう改良が進んでいるのだ。
メカニズム的にも、衝撃の程度に合わせてきめ細やかにシートベルトの拘束力をコントロールするロードリミッター付プリテンショナーシートベルトも普及してきているし、装着中の圧迫感低減(約20%)、装着時にシートベルトを引き出すときの力も10%減らした日産の「低フリクションシートベルト」なども登場している。
またZF社では、衝突前にシートベルトの緩みを巻き上げ、衝突時には乗員を適切な位置に保持する最新世代のアクティブ・コントロール・リトラクター・シートベルト・システムを開発し、ベンツCLSクラスに提供。
将来的には、ベルトを細かく振動させることで、自動運転中に手動運転への切り替えが必要となったことを知らせる警告機能も、シートベルトに持たせることまで考えられている。
万が一の衝突時に衝撃を軽減するエアバッグも大幅進化
エアバッグも小型軽量化はつねに課題で、設置場所も運転席、助手席からはじまり、ニーエアバッグ、サイドエアバッグ、ルーフエアバッグ、ボンネットのエアバッグ、センターエアバッグなど、室内の各部にエアバッグを用意し安全性を高める方向に向かっている。先月には、ZF社から車両の外部に展開するサイドエアバッグを装備した世界初のプリクラッシュ乗員安全システムのプロトタイプも発表されたばかりだ。
一般ユーザーからすると、「シートベルトやエアバッグなんて、もう何年も進歩なんてしていないのでは?」と思うかもしれないが、じつはクルマの技術競争のなかでも大激戦区のひとつで、日本のタカタをはじめ、ZFなど世界中の部品サプライヤーが安全性と快適性の両立、そして小型軽量化を目指してしのぎを削っているホットな分野なのだ。
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