現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【最新ディーゼルの動向02】はじめてユーロ6d NORMをクリア。メルセデス・ベンツA200dに搭載された「OM654q」エンジン

ここから本文です

【最新ディーゼルの動向02】はじめてユーロ6d NORMをクリア。メルセデス・ベンツA200dに搭載された「OM654q」エンジン

掲載 更新
【最新ディーゼルの動向02】はじめてユーロ6d NORMをクリア。メルセデス・ベンツA200dに搭載された「OM654q」エンジン

2015年、フォルクスワーゲン車の排ガス不正事件がきっかけとなって、欧州はディーゼルエンジンに強い逆風が吹くことになった。独メーカーを中心に、それまでCO2削減の主流と目されていたディーゼル乗用車に見切りを付け、電動化に一気加速するようにも見えた。しかしメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディなどはディーゼルエンジンの開発も進めている。

それでも続くクリーンディーゼルの開発の理由は?
これは、クリアできなければ罰金を科されるEU排出ガス規制(2021年規制)の対策としてCO2排出量が少ないディーゼル車が不可欠という見方があるからでもある。そんな中、2020年から施行されるユーロ6d NORMの路上試験「RDE Phase2」をいち早くクリアしてきたのが、メルセデス ベンツA200dなどに搭載されるディーゼルエンジン「OM654q」だ。

現存する2台のうちの1台、あのマクラーレンF1がオークションに! 落札価格は?

ディーゼルエンジンは頑丈さが求められるために必然的に大型で重くなる傾向があるが、OM654qではシリンダーブロックはシリンダーピッチを90mm、シリンダー間の厚みを8mmとしてコンパクト化し、材質もアルミ合金とすることで軽量化を図った。

対してピストンはスチール製だ。シリンダーとピストンは、エンジンが稼働して発熱し膨張することで適正なクリアランスとなるようにできているが、このエンジンは、それぞれを異なる材質で膨張率が異なることを利用して、フリクションを40%以上低減しているという。

さらに、シリンダー表面にスチールカーボン材を溶射コーティングする「NANOSLIDE」と呼ばれる摩擦低減加工をし、徹底的に機械的損失を排除している。

NOx削減のための方策のひとつとしては、高圧EGRと低圧EGRを組み合わせた「マルチウェイ排出ガス再循環(EGR)」を採用した。EGRは、吸気の一部を排出ガスに置き換えて、酸素濃度を低下させ燃焼温度を下げNOxを低下させる技術のこと。

高圧EGRは、タービンの前の排出ガスをコンプレッサーの後ろで合流させ吸気に回す。低圧EGRは、タービンを抜けた排出ガスをコンプレッサーの前に戻す。前者は低負荷時、後者は高負荷時に有効で、これによって後処理を行う前のNOxの低減を図っている。

ターボチャージャーから出た排出ガスは、酸化触媒でCOとHCを浄化し、アドブルー(尿素水溶液)を添加した後、sDPF(DPFにSCRを塗布したシステム)でPMとNOxを低減し、SCR触媒でNOxの処理を行う。さらにアンダーボディにも新規追加されたSCR触媒でNOxを徹底的に削減する。

ここでは余剰のアンモニアを処理するアンモニアスリップ触媒(ASC)を備え、アンモニアが外気中に放出させることを防いでいる。逆に言えば、これで十分な量のアドブルーの噴出が可能となったとも言える。このように何重にも排出ガス対策をすることにより、どのような状況でも基準値を超えない排出ガスに抑えるようにしているわけだ。

同じボディでガソリンエンジンを搭載するA180と比較しA200dは車両本体価格で71万円高い。A180スタイルだと30万円の差となる。排出ガスはクリーンだとして、このコストをどう見るか?が悩みどころと言えるだろう。

■文:飯嶋洋治(Webモーターマガジン) ■写真:井上雅行/メルセデスベンツ日本

[ アルバム : 「OM654型」エンジンとメルセデス・ベンツA200d はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
ベストカーWeb
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
AUTOSPORT web
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
AUTOSPORT web
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
ベストカーWeb
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
Auto Messe Web
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
カー・アンド・ドライバー
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
グーネット
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
グーネット
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
グーネット
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
グーネット
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
月刊自家用車WEB
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
AUTOSPORT web
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
Auto Messe Web
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
グーネット
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
AUTOCAR JAPAN
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
driver@web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村