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業界ニュース 2019.7.20

打倒ベンツ!? FF化したBMW新型「1シリーズ」にBMWらしさはあるか?

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 今回、8年ぶりとなるフルモデルチェンジで第3世代となったBMWのコンパクトモデル「1シリーズ」。最大の特徴は、これまで採用してきたFRレイアウトに別れを告げて、このクラスの標準的な駆動方式であるFFレイアウトを採用したことです。

 駆動方式が変わったことによって、新型1シリーズはどのようなクルマに進化したのでしょうか。

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FF化によって新型1シリーズはどう変わったのか? BMWは、2014年に発売した「2シリーズアクティブツアラー」で、同社初となるFFレイアウトのモデルをラインナップしました。さらに、2015年には3列シートの「2シリーズグランツアラー」を追加しました。

 これは同じBMWグループのMINIブランドで使っているFFレイアウトのアーキテクチャを用いて作られたクルマでした。

 今回の新型1シリーズは、この流れにあるといって良いでしょう。MINIが用いているFFレイアウトのアーキテクチャを、新型1シリーズも使ったということです。

 新型1シリーズのボディサイズを見ると、全長4319mm×全幅1799mm×全高1434mmで、ホイールベースは2670mm(欧州値)となります。ホイールベースは2シリーズアクティブツアラーや、「ミニ クラブマン」および「ミニ クロスオーバー」と同じです。

 デザイン的には、最新のBMW「3シリーズ」や「8シリーズ」などで展開される巨大なキドニーグリルが特徴的な新世代のものとなりました。

 FFレイアウトを採用しつつも、フォルムは以前よりむしろスポーティになったといえます。同社のほかの新世代モデルと共通性を感じさせるテイストで、とくに外観は比較的エッヂを多用して筋肉質に見せるパワフルなデザインとなっています。

 このあたりは、最近のトレンドでもあるキャラクターラインを削いでいく方向とは真逆の、濃厚な感覚といえるもので、人によってはうるさく感じる場合もあるでしょう。

 内装は、3シリーズなどと共通する世界観で、10.25インチサイズのフル液晶メーターパネルと、その横に10.25インチのタッチスクリーン式コントロール・ディスプレイが組み合わされます。

 そんな先進性とドライバーオリエンテッド感の強さを融合した、スポーティなBMWらしい内装となっています。

 今回、1シリーズがFFレイアウトを採用した最大の理由は室内空間、とくに後席の足元スペースおよび荷室スペースの拡大です。

 こう聞くと、寂しさを感じるBMWファンは多いかもしれません。しかし、このクラスでは上質な走りが実現できる一方で室内を犠牲にするFR駆動よりも、普段使いでの使い勝手の良さが優先されます。

 ただ、その数値を見ていくと切ないものを感じるのも事実です。室内空間に関して、新型では後席の膝まわりのスペースは33mm、ヘッドルームは19mm、後席肘まわりのスペースは19mmそれぞれ拡大されました。ラゲッジスペースは先代モデルよりも20リッター増えて380リッターになったといいます。

 ファンからすると『きわめてわずかな増加』と思えるわけで、そのためにFRレイアウトを諦めたのかと考えると残念な思いもあります。

 こうした室内の寸法拡大に加えて、FRレイアウトゆえに生じていた、このクラスにしては高いコストとの決別が裏テーマとして存在するのは、やはり間違いないでしょう。

 室内は、たしかに先代よりも広がっていることを感じます。とくに後席に座ると明らかに広く、以前よりも乗り降りもしやすいです。ただ、このクラスだと後席にそれほど頻繁に人が乗るとは思えないわけですが。

 荷室容量も含めて、このクラスのFFモデルとして常識的なものになっているといえます。

搭載されるエンジンはガソリン・ディーゼルどちらもパワフル 今回の最大の特徴であるFFレイアウトの採用によって、はたして新型1シリーズの走りはどうなったのでしょうか。

フルモデルチェンジされたBMW新型1シリーズ 新型1シリーズのサスペンションは、フロントがマクファーソンストラットでリアがマルチリンクという組み合わせです。これは同じグループの「ミニ クロスオーバー」などと同じ形式となっています。

 新型1シリーズも属する欧州のCセグメント市場のクルマでは、さまざまなリアサスペンションが用いられています。

 例えば、「マツダ3」はリアサスペンションにトーションビームをあえて使っているほか、メルセデス・ベンツも、モデルによってトーションビームとマルチリンクを使い分けている状況です。

 ここにはコストの兼ね合いもあるわけですが、そんななかで新型1シリーズはコストがかかるであろうマルチリンクを用いています。そしてエンジンルーム内に補強バーを入れ、モデルによってはさらにボディの下面でも補強をおこなうなどしています。

 エンジンはさまざまなものがラインナップされますが、今回試乗したのはトップモデルである「M135i xDrive」と、「118d」の2種類です。

 M135i xDriveは2リッターの直列4気筒ターボで、最高出力306ps、最大トルク450Nmを発生する、4気筒でもっともパワフルなユニットを積みます。

 燃費は複合モードで14km/Lから14.7km/L、0-100km/h加速タイムは4.8秒(Mパフォーマンスパッケージは4.7秒)、最高速度は250km/h(リミッター作動)です。そして8速ATとxDriveと呼ばれるFFベースの4輪駆動システムを介して走行します。

 118dは2リッターの4気筒ターボディーゼルで、ディーゼルパティキュレートフィルターとNOx吸着触媒コンバーター、尿素SCRシステムを備えるものです。排ガス基準はユーロ6dのTEMPをクリアしています。

 最高出力は150psで最大トルクは350Nm、燃費は複合モードで22km/Lから24km/L、0-100km/h加速タイムは8.4秒、最高速度は216km/hとなります。こちらは8速ATを介して、前輪を駆動するFFレイアウトです。

 実際に走らせると、M135i xDriveはスポーツモデルならではの痛快な感覚が備わっています。450Nmの最大トルクは、1525kgと決して軽くはないボディをグイグイと加速させるだけの力を感じさせるものです。

 エンジンの回転も最近の直噴ターボとしてはだいぶ高回転域まで回る方で、サウンドも気持ちよく響き渡り、6000回転を超える高回転域も味わえるものとなっています。もちろん、もっとも力が出ているのはそれ以前の常用域である1700回転から4500回転までですが。

 118dも、このクラスながら2リッターエンジンなので余裕を感じる走りです。ライバル車であるメルセデス・ベンツ「Aクラス」の「200d」が、同じ2リッターながら最高出力150ps、最大トルク320Nmなので、118dはそれよりさらに30Nmも太いトルクとなっています。

 A200dも相当に余裕を感じる走りを見せますが、118dはさらにその先をいくゆとりを見せてくれるのです。日常使用では、ほぼ2000回転までですべてが事足りてしまうほど。速度域が高いところでも、エンジン回転数は1500回転を下回るため、じつに静かで燃費にも貢献します。

 典型的なフラットトルクのディーゼルエンジンで、最大トルクは1500回転から2500回転の間で発生しますが、それでもアクセルを踏めばBMWのディーゼルらしく、気持ちよく高回転域まで回るのが印象的です。

FF化の影響を感じさせない乗り味を実現 そんなふたつの優れたパワーユニットに対して、FFレイアウトを採用したシャシが生み出す走りはいかなるものだったのでしょうか。

BMW「M135i xDrive」 端的にいって、新型1シリーズの走りは、FF化されてもBMWらしさを感じさせるものになっていたと報告できます。

 今回の新型1シリーズでユニークな点は、FFレイアウトを採用しても、かつてFRレイアウトを採用していた先代までの1シリーズに負けないような優れたハンドリングを実現するために、「ARB」と呼ばれる制御を採用したことです。

 ARBは電気自動車であるBMW「i3」で採用された技術で、発進時やコーナリング時、さらにウェット路面を走行しているときのホイールスリップを以前よりも3倍速く制御することでトラクションを著しく増大できる仕組み。

 従来のモデルではホイールスリップを検知した場合、その信号をDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)のコントロールユニットへと送り、そこからその信号がエンジン・コントロールユニットの制御系へと働きかけ、エンジン回転を抑えることでスリップを制御していました。

 しかしARBのホイールスリップの制御は、DSCのコントロールユニット内ではなく、エンジン・コントロールユニットにあります。

 このためホイールスリップを検知した場合、その信号は長い経路を通らずに、直接エンジン・コントロールユニットの制御系へと送られ、エンジン回転を抑えスリップを制御。

 このため制御速度が従来の3倍となり、体感では10倍近く速くなったように感じるのです。

 さらにARBはDSCと緊密に連携することで、DSCを介入させることなくFF特有のトルクステアを大幅に抑制できるのだといいます。これによって、ステアリングフィールも向上する効果があります。

 加えて、BMWパフォーマンスコントロールというブレーキ制御によるヨーモーメント制御との組み合わせで、さらにニュートラルなハンドリング特性が得られます。

 このような、とても複雑な制御を与えられた新型1シリーズは、確かにほかのFFモデルとは異なるとてもスッキリとした走りが印象的でした。

 FFレイアウトを採用するモデルでは、操舵と駆動の両方を前輪が担当するため、操舵フィールのなかに駆動の感触が伝わります。そのため、FRレイアウトのようなスッキリとしたフィーリングにはなりづらいです。

 もっとも、多くのFF車がFR車のようなフィールを手に入れようと頑張っているわけですが、そうしたなかで新型1シリーズはこのARBやBMWパフォーマンスコントロール、そしてDSCのなかのダイナミックトラクションコントロールの設定を変えることなどで、限りなくスッキリと気持ち良いフィーリングを作り込んだわけです。

 今回は一般道でのみの試乗だったので高負荷をかけたコーナリングなどはおこなっていませんが、普段乗りレベルでも走りがスッキリしたものになっていたことは確認できました。ハイペースのワインディングやサーキットなどではさらに気持ち良さを体感できるでしょう。

 とくにM135i xDriveはその恩恵をしっかりと受けていました。118dはディーゼルエンジンの搭載ゆえか、ハンドルを操作するとフロントまわりに若干の重みを感じることもあって、さすがにM135i xDriveほどのスッキリとしたハンドリングまでは到達していませんでした。それでも軽快な走行感覚を持っていたのは確かです。

フルモデルチェンジしてもBMWらしさを出せているのか? 両モデル試乗していてともに感じたのは、リアサスペンションがマルチリンクであるがゆえの懐の深さです。やはり路面からの入力をしっかりと受け止めている感覚があります。

BMW「118d」 これはドライバーズシートに座るとハッキリと感じる部分で、スポーティで同乗者にとってはハードな乗り心地となるM135i xDriveでも、ドライバーズシートではストローク感のあるリアのサスペンションの動きが感じられました。118dでは、ゆったりと心地よさを感じる動きが味わえます。

 こんな具合で新型1シリーズの走りは、FFレイアウトになってもほかとはちょっと違う感覚を持ったものになっていました。もっとも、このあたりはすでに世に送り出されているMINIで、相当にハンドリングを研究してきたゆえのノウハウも活かされているのは間違いないでしょう。

 今回エンジニアに話を聞いたところ、BMWもMINIも同じアーキテクチャのものは一緒に開発がなされており、そのベースからBMW方向、そしてMINI方向にチューニングしていくのだということを教えてくれました。

 MINIの場合はゴーカートフィールという特有のクイックなハンドリングをFFレイアウトで作りましたが、新型1シリーズの場合は同じアーキテクチャからFRにも負けないスポーティなハンドリングやフィーリングを作り込みました。そこで必要だったのがARBなどの技術ということです。

 FFレイアウトになっても走りを標榜する新型1シリーズですが、このクラスのクルマに求められている先進性や実用性ももちろん忘れていません。

『OK BMW』と呼べば応えるインテリジェント・パーソナルアシスタントを採用するのはもちろんのこと、スマホがキーの代わりになるデジタルキーを採用したり、3シリーズで話題になった直近のルートを記憶して、後退時に走行ルートに沿って自動でハンドル操作をおこなうリバース・アシストも備えています。

 今回リバース・アシストを実際に試しましたが、これは狭い駐車場が多い日本では確かに便利な機能だと感じました。また運転支援系の装備もしっかりと備えており、まさに隙のないプロダクトに仕上がっていたといえます。

 ライバルと比べると、やはりメルセデス・ベンツのAクラスとは互角の戦いで、新型1シリーズの方がスポーティさで優っています。

 国産のマツダ3と比べても、やはり新型1シリーズの方が分かりやすい走りのスポーティさが光っているほか、なによりエンジンとトランスミッションの気持ち良さで大きく差をつけています。

 結論としては欧州Cセグメントの3本の指に入る、じつに高レベルな仕上がりを持つ1台になっていたということです。まわりのライバル車と同じ駆動レイアウトであるFFを採用してもなお、BMWらしさで勝負できるプロダクトになっていた、ということでもあります。

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(くるまのニュース 河口まなぶ)

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