今やフェラーリやポルシェにも搭載されているアイドリングストップ機能。
燃費向上、環境に優しいという理由で、近年は、ほとんどの新型車に搭載されている機能ですが、初めてこの機能が採用されたのは、なんと約40年以上も前のこと。40年も前に開発されていたシステムなのに、近年まで普及しなかったのは、アイドリングストップ機能が「ユーザーに敬遠されがちな機能」だからでしょう。
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では、アイドリングストップが嫌われる理由には、どんなものがあるのでしょうか。また、この機能と上手に付き合っていく方法はどうしたらいいのでしょうか。いまだに嫌悪する人もちらほら見かけるこの機能、なにげにコツコツと進化してきた事情はご存じでしょうか。以下、元自動車メーカーエンジニアである吉川賢一氏が解説します。
文:吉川賢一 写真:Adobe Stock
■アイドリングストップ機能とは?
ご存じのとおり、アイドリングストップ機能は、駐停車時や信号待ちなどのあいだに、ある条件下でエンジンを自動で停止させることにより、燃料節約と排出ガス削減の効果が期待できます。
一般的に、一度の停車で5秒以上アイドリングストップを行うと燃料節約の効果があるといわれています。燃費節約という側面でみると、微妙な機能ではありますが、排ガス抑制面では、大きな意味のある機能で、2001年にグリーン化税制が施行されたのを機に普及が進みました。
■なぜアイドリングストップが嫌われるのか
よく取り上げられる意見としては、「ぎくしゃく感」が挙げられます。
前述のとおり、車速が低下したときにシステムがエンジンを停止させてしまうため、交通の流れが鈍くなってきた時や、コインパーキングのチケットを取るタイミングなど、ちょっとした停止時間でもエンジンが停止してしまい、ドライバーとの感覚やタイミングのズレに、不快を覚える方が多いようです。
さらに、エンジン再始動時の音が嫌だという人も多いようです。
遮音性能の向上によりエンジンの作動音を車内で気にすることは少なくなりましたが、スターターモーターの音は意外に大きいものです。また、決して大きくはないものの、再始動時の振動も体に伝わってきます。停車の度にこれが繰り返されることが不快だと感じる方も少なくないようです。
この他にも、アイドリングストップ機能が装着された車のバッテリーやスターターモーターの部品代が高価であることや、補機類、電装系への負担増によるメンテナンス費用の増大を理由に挙げる方もいます。
■技術の進歩と、アイドリングストップ機能との上手な付き合い方
これらのアイドリングストップが嫌だと感じるユーザーの声に応えるべく、自動車メーカー各社は対策をしています。
日産の場合ですが、アイドリングストップの状態から再出発する際には、ブレーキから足を離すと約0.4秒でエンジンが再始動し、また、ブレーキを踏んだままの状態でもステアリングホイールに力を入れることでも、再始動が可能。これにより、右左折や合流の際に早めに発進準備を行うことができます。
また、駐車操作を繰り返すような場面や、渋滞時に車速8km/h以内の低速で前進と停止を繰り返す状況では、クルマが状況を判断してアイドリングストップの作動をコントロールしてくれます。これでエンジンの停止や再始動をわずらわしく感じることは少なくなるでしょう。
エアコンに関しては、アイドリングストップ中は送風に切り替わってしまいますが、冷房や暖房を優先する場合には「アイドリングストップOFF」ボタンを押して、アイドリングストップを作動させないことも可能なので、必要に応じて使うことで、快適にドライブすることができます。
このように、メーカーは技術を投入して、少しでも快適になるよう努力をしているのです。
■まとめ
現代を生きる私たちとって、環境への配慮は必要不可欠です。アイドリングストップ機能を使うことで、ガソリン車ではCO2が44%も低減する、という試算もあります。「不快だから」という理由で、エンジン始動時に毎回「アイドリングストップOFFボタン」を押すのではなく、「愛車と地球と上手に付き合う楽しみ方」が、現代のドライバーには求められているのだと思います。
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