停車した状態での暖機はまったく意味をなさない
夏だというのに暖機運転のハナシをしよう。なんだか季節はずれで申し訳ないが、真冬に暖機運転が必要だとすれば、厳密にいえば夏場でも必要なはず。
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外気温が30度だったとしても、半日以上止まったままのクルマなら、水温も油温も外気温よりは高くはないはずだ。つまり適正温度には達していないということ。
だとすれば、真夏でも水温が上がるまでアイドリングで待って、それから走り出したほうがいいのか?
結論からいうと、停止したままアイドリング状態で待機し、エンジンが(水温が)温まってくるのを待つような暖機運転は、夏だろと冬だろうと非合理的で、無用の長物といっていいだろう。
というのも、クルマの部品で、適切な作動温度になった方が望ましいのはエンジンだけではないからだ。
最新のクルマでもウォームアップは必要
タイヤの表面温度や内圧、ダンパー内のオイル、ブレーキローターとブレーキパッド、触媒、トランスミッション本体とミッションオイル、デフ本体とデフオイル、各種の油圧系、ベアリング、ゴムブッシュなど。これらの部品もそれぞれ適正な作動温度にならないと、クルマのウォームアップが終了したとは言い切れない。
そして、さまざまなパーツの摺動部、運動部がすべて温まるためには、止まったままエンジンをかけていただけではダメ。実際に走り回ってこそ、はじめて「暖機運転」といえるわけだ。
したがって、最新のクルマだろうと古いクルマだろうと、エンジンを筆頭に車体の各部が適正温度に達するまで、大人しく走る、正しい意味での「暖機運転」は必要。
一方で、停車したままアイドリングをかけ、エンジンだけを温めるやり方は、はっきり言ってナンセンスであり、まったく不要といっていい。
辞書を引いても、「運転」とは「電車・自動車・汽車・汽船などをあやつって、(動力で)走らせること」とあるように、まさに暖機運転もハンドル、ペダル、シフトレバー等を優しく操作しながらゆっくりクルマを走らせ、車体全体の動くパーツが作動温度に達するように運転することだということを覚えておこう。
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