いまや押しも押されぬ人気となったSUV。そのSUVのなかで、まだ少数派であるが、3列シート7人乗りのSUVもラインアップされている。
さて、その3列シート7人乗りSUV、ミニバンの代わりになるほどの、3列目シートの広さ、居住性を持っているのか、気になるところ。
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そこで、各メーカーがラインアップしている3列シート7人乗りのSUVをピックアップし、3列目シートが使える順にランキング!
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部
SUVの3列目シートは本当に使えるのか?
最近はSUVの人気が高い。その理由はカッコ良さと実用性の両立だ。SUVはもともと悪路の走破を目的に開発されたから、大径サイズのタイヤを装着してボディの下側には迫力がある。
そのいっぽうでボディの上側は、ワゴン風のデザインだから、前後席ともに居住性も快適だ。ボディの後部にはリアゲートが装着されて、荷物の出し入れもしやすい。
カッコ良さと実用性を兼ね備えたSUVは、子育てを終えてミニバンが不要になったユーザーの間でも人気を高めた。
ミニバンほど広い室内は必要ないが、余裕のある頭上空間に慣れてしまうと、背の低いセダンには戻れない。この時にSUVがちょうど良い選択肢になる。
そしてSUVのなかには、ミニバンのように3列のシートを備えた車種もある。乗車定員は6~7名だ。
ただし、セレナ、ヴォクシー、アルファードのようなスライドドアを備えた背の高いミニバンに比べると、主に3列目シートの居住性が下がるから注意したい。床面の構造が異なるためだ。
3列シート7人乗りSUVは、膝が持ち上がり、腰の落ち込む窮屈な姿勢になりやすい。ちなみに写真は渡辺陽一郎氏がエクストレイル7人乗りの3列目シートに座った状態
背の高いミニバンの床面構造は、車内の後部に搭載された燃料タンクをカバーできる位置まで、床を持ち上げている。車内の中央から前側は上げ底になり、床を平らに仕上げた。従って3列目まで含めて居住性を快適にできる。
これがSUVになると、前側の床を背の高いミニバンのように持ち上げてはいない。したがって3列目の床は、1/2列目に比べると燃料タンクのために高くなり、3列目シートは床と座面の間隔が不足する。
その結果、SUVの3列目に座ると、背の高いミニバンと違って膝が持ち上がり、腰の落ち込む窮屈な姿勢になりやすい。
3列目シートのサイズも異なる。背の高いミニバンは、左右に跳ね上げたり荷室の床下に格納する方式を採用して、3列目にも相応のサイズがある。
対するSUVは背もたれを倒して荷室に収めるタイプが多く、シートもサイズの小さな簡易型だ。
SUVの3列目の居住性は、ミニバンに当てはめると、全高が1700mmを下まわる車種に近い。
これらの背が低いワゴン風のミニバンは、背の高いミニバンと違って、床を高めていない。3列目に座ると、腰が落ち込んで膝の持ち上がる姿勢になりやすい。
月に数回しか3列目を使わない人はミニバンよりSUVを買うほうが合理的!
これらの居住性がSUVに似ているワゴン風のミニバンは、人気が下がって今はプリウスアルファとジェイドしか用意されていない。ウィッシュ、ストリーム、プレマシーなどはすべて生産を終えた。
オデッセイは、以前は背が低かったが、現行型はエリシオンと統合されて背を高め、床面もセレナやアルファード&ヴェルファイアと同じく平らに仕上げている。
この方式を採用しながら、オデッセイは燃料タンクを薄型に造り、床を低く抑えて乗降性を向上させた。重心も低くなるから、走行安定性も優れている。
以上のようにSUVの3列目シートは、背の高いミニバンに比べて居住性が劣るが、使い方によってはむしろ合理的だ。
例えば1か月に1~2回、多人数で短い距離を移動するために、背の高いミニバンを買うのはもったいないだろう。
3列目は少し狭くても、好きなクルマを選ぶほうがよい。3列シートのSUVは、このニーズに適している。
それでは本題に入ろう。3列目シートの快適なSUVをランキング形式で取り上げてみたい。
1位:マツダCX-8
ボディサイズは全長4900×全幅1840×全高1730mm。価格は360万7200~446万400円
SUVで3列目が最も快適な車種はCX-8だ。マツダがミニバンのプレマシーやビアンテの生産を終えたこともあり、多人数乗車の可能な車種として設定された。
CX-8は北米で売られるCX-9の全幅を狭めたモデルで(開発する上ではCX-5のロング版ではない)、全長は4900mm、全幅も1840mmに達する。
価格は大半のグレードが300万円以上だから、プレマシーに比べると100~200万円高い。従ってプレマシーからの乗り替えは期待できないが、3列シートのSUVでは居住性が最も快適だ。
ミニバンのような床面を平らにした形状ではないから、3列目に座ると膝が持ち上がって腰は落ち込むが、足元空間は相応に広い。
座り心地のいいCX-8の3列目シート
身長170cmの大人6名が乗車した時、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に設定して、3列目に座る乗員の膝先には握りコブシ1つ少々の余裕ができる。3列目に座る乗員の足が2列目の下に辛うじて収まることもメリットだ。
3列目の座り心地も良い。座面に柔軟性があるから、腰の収まり方も良好だ。
この3列目の居住性をミニバンに当てはめると、コンパクトなフリードと同程度になる。
マツダ車なら生産を終えたプレマシーに近い。片道1時間程度の乗車なら対応できる。いい換えるとSUVに装着された3列目の居住性は、最も快適なLサイズのCX-8でも、コンパクトミニバンと同程度なのだ。
むしろCX-8で注目されるのは、6人乗りの2列目シートがミニバンのキャプテンシート(セパレートシート)のような造りになることだろう。Lパッケージでは2列目の中央にセンターコンソールボックスが備わり、アルファードのような雰囲気になる。
「多人数乗車の機会は少ないが、広くて快適な2列目シートが欲しい」という理由でアルファードやエルグランドのようなLサイズミニバンを買うユーザーも多い。CX-8は、同様のニーズをSUVで満たせることが魅力だ。
2位:ホンダCR-V
ボディサイズは全長4605×全幅1855×全高1680mm。価格は343万1440~403万560円
初代CR-Vは人気の高いSUVだったが、その後はフルモデルチェンジの度にボディを拡大させ、売れ行きを下げた。
ヴェゼルの人気が高まってCR-Vは一度国内販売を終えたが、SUVが売れ筋カテゴリーになると、ヴェゼルだけではラインナップが不足する。そこでCR-Vを復活させた。
CR-Vのボディは相変わらず大きいが、ハイブリッドが加わり、1.5Lガソリンターボには3列シートの7人乗りも用意した。
膝が極端に盛り上がらないような構造で狭い割には快適に座れるCR-Vの3列目シート
身長170cmの大人6名が乗車するには、2列目シートのスライド位置を前方に寄せて、膝先空間を握りコブシ1つ分まで詰める必要がある。この状態で3列目に座ると、膝先空間は握りコブシ半分程度だ。
3列目はこのように狭いが、3列目の床は少し深く掘り込まれ、膝が極端に持ち上がらないよう配慮した。3列目に座る乗員の足が、2列目の下に収まりやすいこともメリットだ。狭い割には快適に座れる。
3位:レクサスRX450hL
ボディサイズは全長5000×全幅1895×全高1725mm。RX450Lの価格は769万円
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値は、2列シートのRXと同じだが、リヤ側のオーバーハング(後輪よりも後方にボディが張り出した部分)は110mmほど伸ばされた。
RX450hLの全長は5000mmに達するが、CX-8やCR-Vに比べると、3列目の取り付け位置が少し前寄りだ。
3列目SUVのなかでは快適な部類に入るという、レクサスRX450hL
6~7名で乗車した時でも、車内の最後部には相応の荷室が確保される。その代わり、多人数乗車時に3列目の足元空間を確保する上では不利になった。それでもSUVの3列目では快適な部類に入る。
4位:トヨタランドクルーザー&レクサスLX
ボディサイズは全長4950×全幅1980×全高1880mm。価格は515万1600~684万7200円(8人乗り)
先に述べた測り方で、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1つ少々まで詰めると、3列目の膝先にも握りコブシ1つ少々の空間が確保される。ただし床と座面の間隔が乏しく、膝を抱えるような姿勢になってしまう。
膝前空間はこぶし1つ少々の空間があるが、 床と座面の間隔が乏しく 膝を抱えるような姿勢になってしまう
特にレクサスLXは全長が5080mmと長い割に、3列目の足元空間は狭い。そもそもボディが極端に大きく、日本の使用環境には適さない。
5位:トヨタランドクルーザープラド
ボディサイズは全長4825×全幅1885×全高1850mm。価格は369万2520~536万3280円(7人乗り)
床面が高く膝を持ち上げるように座るランクルプラドの3列目シート
足元空間はランドクルーザー&レクサスLXと同程度だが、膝の持ち上がり方が大きい。僅差で5位に下がった。
6位:三菱パジェロ
2019年8月末で国内向けの生産が終了となるパジェロ。ボディサイズは全長4900×全幅1875×全高1900mm
膝前空間は握りコブシの半分程度しか入らない
2019年8月で国内向けが生産終了になるパジェロも3列7人乗り仕様をラインアップしている。車内の広さはランドクルーザープラドと同程度だが、パジェロは2列目シートにスライド機能が装着されない。
3列目を使う時に、2列目を前方に寄せて3列目の足元空間を広げることができない。したがって身長170cmの大人が3列目に座ると、膝前空間は握りコブシの半分程度だ。しかも膝が大きく持ち上がり、腰が落ち込んでしまう。
7位:三菱アウトランダー
ボディサイズは全長4695×全幅1810×全高1710mm。価格は266万8680~335万6100円。アウトランダーPHEVは5人乗り仕様のみ
3列目はこぶし半分程度、膝が大きく持ち上がり、足が2列目の下側に収まりにくい
ミドルサイズSUVだから、多人数で乗車するには室内が狭いが、2列目にはスライド機能を装着した。
前述の測り方で、2列目の膝先空間を握りコブシ1つ分に詰めると、3列目に握りコブシの半分程度の余裕ができる。
膝が大きく持ち上がり、3列目に座る乗員の足が2列目の下側に収まりにくいので、もう少し工夫して欲しい。
8位:日産エクストレイル
ボディサイズは全長4690×全幅1820×全高1740mm。価格は272万4840~308万3400円
3列目の膝先が2列目の背面に触れてしまい、かなり窮屈なエクストレイルの3列目シート
前述の測り方で、2列目に座る乗員の膝が1列目の背面に触れるところまで前側にスライドさせても、3列目の膝先が2列目の背面に触れてしまう。
つまり身長170cmの大人が多人数で乗車すると、2/3列目の膝先空間はほとんど確保されない。
エクストレイル/パジェロ/アウトランダーに多人数で乗車する場合、移動時間は片道15分程度までだ。それでも日常生活の中では、便利に使える場面がある。
特にエクストレイルの3列目シートは7万円少々と割安で、オマケの機能と割り切っても納得できるだろう。
逆にCR-Vは、本革シートを装着したEXマスターピースになると3列目の価格が22万円を超えてしまう。
標準シートのEXでも約19万円だ。3列目シートの価格も車種によって異なるので、注意して選びたい。
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