輸入車の売り上げが伸びている。同クラスの日本車と比較した場合、基本価格で不利なはずの輸入車が売れているということは、それだけの魅力が輸入車にある、ということなのだろう。ではその魅力とは日本車がたちうちできないものなのだろうか。(参考:【国産車離れの原因を探れ】ワタシが輸入車に乗り替えた理由)
RAV4、86&BRZ、アウトランダーPHEV、リーフ、クラウン、ジムニーと、日本を代表するにふさわしい6台(7台)を、並み居る輸入車たちと比較。
【いつの間にバカ売れ!!】 ルーミーはソリオより何がそんなに良いのか!!?
各モデル、「コスパなどを加味すればいい勝負かな」という一台、さらに「これは正直分が悪いでしょ」と思われるもう一台と勝負する2番勝負を展開する。
コスパだけではない、国産車ならではの魅力も発見したい6番勝負。評論家たちの判定やいかに!?
※本稿は2019年5月のものです
文:鈴木直也、国沢光宏、岡本幸一郎、中村孝仁/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年6月26日号
■トヨタ RAV4 vs VW ティグアン&ポルシェ マカン
(TEXT/鈴木直也)
●すべてを一新したRAV4。まずはティグアンと勝負!
RAV4は世界中で年間80万台以上の大ベストセラー。
トヨタ RAV4
価格:260万8200~381万7800円
膨大な販売台数はコスパ的に大きな武器でプラットフォームやパワートレーンをすべて一新し、3種類の4WDシステムも用意できたのはそのおかげ。おまけに260万円台からと、価格設定も攻めている。
しかも、今度のRAV4は走りの評価も極めて高い。新開発のNA 2Lエンジンはスムーズかつパワフルで、CVTも発進専用ギアを備えた最新鋭。以前のガサガサしたエンジン、ルーズなCVTフィールとは、まったくの別物に進化している。
さらに、お家芸のハイブリッドは2.5Lエンジンとすることで見違えるほどパワーアップ。電動で後輪を駆動するe-Fourも、強化したモーターによりオフロードの走りが劇的に進化している。
強いてRAV4の欠点を挙げるなら、デザインの好みが分かれそうなことくらい。よくいえばダイナミック、悪くいえばアクの強いそのスタイルはメイン市場の北米に照準を合わせたもので、この点だけはライバルに設定したティグアンやマカンを好む層とは大きく方向性が異なっている。
VW ティグアン
価格:369万9000~529万円
ティグアンのデザインや欧州車テイストに惹かれるファンは一定数いるだろうが、車格が同等のSUVでほぼ100万円高いと、普通の人はなかなか手を出せない価格差。
ティグアンに関しては、コスパではRAV4に完敗と言わざるを得ないと思う。
●「棲む世界が違うクルマ」マカンにも挑むが……
一方、マカンはさすがポルシェだけにエントリー約700万円と突き抜けた価格で、実質的にRAV4とは棲む世界が違うクルマ。コスパでいえばティグアン以上に勝負にならない。
ただ、ほとんどのポルシェがそうであるように実際に乗ってみると、表現しがたい独特のドライビングテイストに魅了される。
ポルシェ マカン
価格:699万~1194万円
車高の高いSUVがなんでこんなにソリッドで地面に張りついたようなロードホールディングを見せるのか! 2L直4の標準グレードでも、目からウロコの新鮮な驚きを感じさせてくれる。
高価なクルマは見ても乗っても「やっぱり高いだけのコトはある!」と納得できないとつまらない。そういう意味では、マカンには確かに他のどんなSUVとも異なる独特のキャラクターがある。
コスパだけでは割り切れないこの魅力こそが、ポルシェの最大の武器なんでしょうね。
●判定(vs ティグアン)…劇的変身を遂げたRAV4、ティグアンを打ち負かす!
●判定(vs マカン)…マカンへ果敢に挑むが歯が立たず。RAV4の負け!
■トヨタ86&スバルBRZ vs アバルト 124スパイダー&ポルシェ ケイマン
(TEXT/国沢光宏)
トヨタ スバル 86/BRZ
価格:243万~496万8000円
●イタリアの暴れ馬!? 124スパイダーと勝負!
アバルト124スパイダーはロードスターの兄弟車である。FCAグループも期待するモノがあったのだろう。デビューと同時にラリー車として仕立て、WRCに送り込んできた。
アバルト124スパイダー
価格:398万6000~409万3000円
しかし! ベース車両としてのポテンシャルは低かった様子。すぐFCAとしての大規模バックアップ体制をやめてしまう。そういえば日本でも124スパイダーの話題、ほとんどないです。
全国5千万人読者を持つベストカーにもデビュー当時だけ少し登場したのみ。私も久々に記事として取りあげている状態。スペック的には86/BRZを凌いでいると思う。
出力の170馬力こそ86/BRZに届いてないものの、トルクが25.5kgmもある。だからこそ山野哲也選手は全日本ジムカーナで素晴らしい結果を残しているのだろう。WRCじゃ戦えないが、全日本ジムカーナだと速い!
●ポルシェ・ブランド、あのケイマンとの勝負は!?
一方、ケイマンは圧倒的なスペックを持つ。ベースモデルで300馬力。0~100km/hは5.1秒。最高速だって275km/hと素晴らしい! それでいて673万円というプライスタグを付ける。
ポルシェ ケイマン
価格:673万円
考えてほしい。100台限定販売だったGRMN86は649万円。内容といえば「ポルシェに迫る走りの味」という評価。私も「トヨタもポルシェのようなクルマが作れる!」と褒めた。
でも、673万円でホンモノが買えるなら、熱烈なトヨタ好きか86ファンじゃない限りソチラを選ぶでしょう。逆に考えたら86をベースにいいクルマを作ろうとしたら、ポルシェと同じ価格になっちゃうということです。
以上まとめると、86/BRZは「価格に見合った性能ですね」ということ。総合評価すれば、86/BRZはアバルト124スパイダーに勝ち、ケイマンだと負け。
●判定(vs 124スパイダー)…地味めの124にはクルマの存在感などで86/BRZの勝ち!
●判定(vs ケイマン)…最高出力300ps、価格673万円で圧倒され86/BRZの負け!
■三菱 アウトランダーPHEV vs MINI クロスオーバーSE All4&ボルボ XC60 T8
(TEXT/国沢光宏)
●車格は違うがどうか!? ミニのPHEVと勝負
ミニのPHEV、思ったよりずっとお手頃な価格で日本に入ってきた。何よりエンジンが136馬力とパワフル! モーター出力を合わせたシステム出力で224馬力ある。
三菱 アウトランダーPHEV
価格:393万9840~509万40円
MINI クロスオーバーSE ALL4
価格:498万円
アウトランダーPHEVも発電用エンジンを2Lから2.4Lに排気量アップしてきたものの、システム出力は190馬力程度に留まる。車重がミニPHEVの1770kgに対し、アウトランダーPHEVは1900kg。
乗り比べたら明らかにミニPHEVのほうがスポーティ。「どちらが楽しい?」と聞かれたらミニPHEVと答えそうになるけれど、やはりアウトランダーPHEVの総合的な商品力って凄いと思う。
人気のSUVでありどこでも走れる4WDだし、そのうえで快適な電気自動車。弱点を挙げるなら「もはや新鮮味は薄れましたね」。この点さえ気にならなければアウトランダーの勝ち。
●コストが別次元! ボルボXC60 T8と一戦
ボルボXC60のT8は924万円と、フル装備のアウトランダーPHEVが2台買えてしまう。
ボルボ XC60 T8
価格:924万円
乗り比べてみたら、どちらも同じDセグメントに属す車格なのだけれど、もはやクルマ作りの基本からして違う。
XC60 T8のサスペンション、大半の部品がアルミでウナるほどお金かかってます。アウトランダーPHEVは普通の国産車と同じコスト重視の作り。
これでいい勝負ができる乗り味や質感を実現できていれば、三菱自動車は世界制覇できる。
もちろん環境性能だけで比べたら、アウトランダーPHEVの勝ちです。現行モデルなら50kmくらい電池だけで走れ、電気代は夜間電力なら120円くらい。XC60 T8だと30km少々だ。
この点を価値観とする人なら、アウトランダーPHEV凄いということになるだろう。結果、価格差を考えたら引き分けですね。
●判定(vs ミニクロスオーバー)…総合的商品力でアウトランダーPHEVの勝ち!
●判定(vs ボルボXC60 T8)…価格差を加味すると、ボルボXC60 T8とは引き分け
■トヨタ クラウン vs VW パサート&ベンツ Eクラス
(TEXT/鈴木直也)
●日本市場重視のクラウン、人気欧州車2台に挑む!
クラウンのユニークさはいまどき珍しく国内市場にフォーカスしたクルマ作りをしていること。こんな贅沢が許される高級車はクラウンだけ。歴史と伝統、そして膨大な既納顧客の存在が、貴重なローカル固有種を絶滅から守っている。
トヨタ クラウン
価格:460万6200~718万7400円
そういう意味で向くベクトルが異なるゆえ、クラウンを欧州プレミアムと比較するのは難しいが……、パサート、Eクラスと対戦するとどうか!? 勝てるのか?
●クラウンの魅力、パサートとEクラスの上をいく!?
割安に感じてしまう。これが最初の印象。クラウンの対抗馬は最高級車種のTSI Rラインで約520万円。EクラスだとE200アバンギャルドの721万円。
VW パサート
価格:333万9000~588万9000円
ベンツ Eクラス
価格:721万~1841万円
対するクラウンは、ハイブリッドSが約475万円。このあたりを選んで乗り比べると、なぜクラウンが生き残っているのかがよくわかる。
パサートは典型的なドイツ製セダンで、硬めのシート、カチッとした乗り心地など、おなじみの欧州テイスト。
対するクラウンは、「ニュルで鍛えました」とか言ってるものの、その乗り味は微妙にゆったり系。快適さのスイートスポットがより低速域にあって、日本で乗るならこちらのほうが好ましく感じるように作られている。
さすがにEクラスは快適さのスイートスポットが広く、全域でクラウンに勝っているが、その代わり価格が200万円以上高い。
コスパ重視なら、クラウン2連勝でいいと思います。
●判定(vs パサート)…日本で乗るならパサートより日本製。クラウンの勝ち!
●判定(vs Eクラス)…全域で勝るが、コスパ重視ならクラウンの勝ち!
■日産 リーフ vs VW e-ゴルフ&ジャガー I-PACE
(TEXT/中村孝仁)
●普段使いでは勝てそう!? VW e-ゴルフと勝負
日産リーフ対VW e-ゴルフ、結論から言うとこの勝負、リーフの勝ち。
日産 リーフ
価格:324万3240~472万9320円
VW e-ゴルフ
価格:499万6000~534万9000円
理由は2つ。ひとつは航続距離。最新のリーフは大容量の62kWhバッテリーを搭載し、実質的に350kmは走れる(メーカー公表値はWLTCモードで458km)。
一方のe-ゴルフ、容量が35.8kWhだからその差は歴然。それでいて価格的には安いから、これはリーフが有利。
もうひとつの理由は充電ステーションの数と充電用カードの値段。ゴルフだと月々5200円で全国の充電ステーションが使い放題というが、リーフなら月々2000円。
ゴルフだって日産ディーラーでの充電も可能だろうが、間違いなく気が引ける。そんなこんなを勘案すると“使い方”でもリーフの勝ちとなる。
細かく走りの具合や乗り味などに言及すればゴルフのよさもあるのだが、EVを買うにあたり、何を最優先するかといえば、僕はその利便性、即ちガソリン車並みに気軽に使えるかどうかである。この点でリーフが上をいっている。
●厳しい戦いは必至! 対ジャガー I-PACE
リーフの次戦の相手はジャガー I-PACE。こちらの勝敗はつかず、だ。
ジャガー I-PACE
価格:959万~1312万円
高いとはいえリーフは500万円以下。もろもろ入れてもそれで収まる。一方ジャガーの場合、一番安いのを買っても乗り出しでは1000万円を超える。この価格差は埋めようがない。
とはいえ I-PACEは電動四駆だし、90kWh容量のバッテリーを積んでモーターのパワーだって400ps、71kgmとずば抜けている。動力性能で戦うのは厳しい相手。
ただ I-PACE、充電に要する時間はリーフと同じだし、やはり日産ディーラーへ行き充電をお願いするには気が引ける。
つまり今ピュアEV購入の決め手は急速充電ステーションの普及の話を避けて通れない。今回の対決で、改めてそれを認識した。
●判定(vs e-ゴルフ)…航続距離の長さ、使い勝手のよさなどでリーフの勝ち!
●判定(vs I-PACE)…クルマの出来では不利だが、今回は引き分けとなった
■スズキ ジムニー vs ジープ レネゲード&ラングラー
(TEXT/岡本幸一郎)
●車格はまったく違うがジープレネゲードと一戦
ジムニーとレネゲードだとアプローチがまったく逆だ。
もともと小さいながらも中身は本格的で悪路走破性も抜群に高いジムニーは、現行型になり一気に質感や快適性が高まり、持ち前の“本物感”を損なうことなく、武骨なイメージから一転してカジュアルな雰囲気までも身に着けた。
スズキ ジムニー
価格:145万8000~184万1400円
対するレネゲードはほかのジープ車とはやや異質で、悪路走破性はほどほどに確保しつつ、ジープのテイストをちりばめたルックスをカジュアルに乗りこなすのが似合うクルマという感じ。
むろんジープだからこそ、こうしたクルマをラインナップできるのであり、このデザインに魅力を感じる人は少なくないようだ。
ジープ レネゲード
価格:299万~365万円
そんな2台の勝ち・負け。タイプが違うので難しいところだが、やはり本格さとカジュアルさの両方を兼ね備えたジムニーのほうを評価すべきではないか……と。
コスパが圧倒的に高いこともジムニーの強みだ。
●格も走破性も上と見られるラングラーに挑戦
一方、“ジムニー対ラングラー”。世界最小の本格クロカンと世界最強の本格クロカンという対決図式。
悪路走破性はシチュエーションによって得意、不得意はあるだろうが、総合的な戦闘力としてはラングラーのほうが上と見てよさそう。
とりわけ急先鋒のルビコンは筆者も体験したのだが、「本当にこんなところを走れるのか」と衝撃を受けた。大きな岩が並ぶキツい上り勾配でも、アクセルさえ踏めば路面を踏みしめながら着実に前に進んでいく。
また、お互い奇しくも近い時期に現行型がデビューしたわけだが、快適性や先進安全装備の類いも両車最新版で、一気にアップデートされた。
ジープ ラングラー
価格:459万~530万円
次は舗装路の走り。両車とも先代で舗装路を走ると、道路ってこんなにデコボコだったのかと感じたものだが、現行モデルで快適に変わったのは同じ。むろんホイールベースが長くワイドトレッドのラングラーは安定感が高い。
それでもジムニーはこの小ささにこそ価値があるわけで、オン/オフを問わず機動性に勝るのが強み。
ただし、電制デバイスの仕上がりについては自動ブレーキに精度の甘さを感じることがあり、悪路走行時に不意に電制デバイスが介入して失速するなど、いくらか至らない点がある模様。さらなる煮詰めに期待したい。
楽しさの点では、ラングラーはトップを外してオープンエアドライブを楽しめるところも強み。過去にはジムニーにも設定があったのだが、もう長らく設定されておらず、ここはぜひ復活に期待したいところだ。
最後にコスパについて。安くて性能が高いという意味ではジムニーだけど、価格に対するバリューの高さという意味では、やっぱりラングラーが上だよね。
●判定(vs レネゲード)…本格&カジュアルさで勝利! ジムニー、凄いぞ
●判定(vs ラングラー)…巨星に立ち向かったが総合面でジムニーの負け
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