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キャンプに行きたくなるクルマ──フォルクスワーゲン パサート オールトラック試乗記

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キャンプに行きたくなるクルマ──フォルクスワーゲン パサート オールトラック試乗記

フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は、クリーンディーゼル×4WDのプロモーションとして、アウトドア・ブランドのノースフェイスとコラボした「早起きは三文の徳」というウェブのスペシャル・コンテンツを6月7日(金)から公開している。

詳細はそちらを見ていただくとして、ごく簡単にいえば、2018年10月に日本での販売を開始したクリーンディーゼル×クロスオーバー4WDの「パサート オールトラック」で、キャンプに行こう! と提案しているわけである。

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日本向けのフォルクスワーゲンにはいま、パサート オールトラックのほか、2018年8月に追加された「ティグアンTDI 4MOTION」など、ディーゼル×4WDの充実を見ている。今後、「ポロ」をベースにした「T-Cross」とゴルフをベースにした「T-Roc」という小型SUV の上陸を控えてもいる。

VGJとしてはこのあたりで、「VWといえば、アウトドアでしょ!」というイメージをつくっておきたい。そこで、「早起きは三文の徳」的世界をメディア関係者に実際に体験してもらおう、と「北軽井沢スウィートグラス」というキャンプ場で1泊するスペシャルな試乗会を企画したのである。

ということで、私たちはパサート オールトラックTDI 4MOTION advanceという、オールトラックのなかでも、装備のより充実したモデルで北軽井沢を目指した。

オールトラックは、パサート ヴァリアント(ワゴン)のTDIディーゼル 4WDの最低地上高を30mmリフトし、オフロード走行にも対応した、いわゆるクロスオーバーである。

全長4780mm、全幅1855mm、全高1535mmのボディは、最低地上高が30mm上がっている分、パサート ヴァリアントより大きく見える。プラス30mmの威力は、VGJが推薦したルートの万沢林道でいかんなく発揮された。

私は帰路、この林道を走ったのだけれど、約21kmの8割ぐらいを占めるダートに、途中でイヤになっちゃった。後悔した。最初はおもしろかったのである。たぶんブナだと思うけれど、新緑がきれいだし、ダートなんて、めったに走らないからフレッシュな体験で。たいしたもんだ、と感心した。こんなに開口部がたくさんあるのに、凸凹路面でまったくガタピシ言わない。悪路で乗り心地がいいのは、ボディがしっかりしている証拠だ。さすがドイツもんだ。フォルクスワーゲンだ。実用車の鏡だ……というあたりで終わればいいのに、凸凹道は延々続く。

やがて道の両側がクマザサに覆われてくる。ピピピピピという警告音がときおり鳴る。パークディスタンスコントロールがクマザサに反応しているのだ。ササの生え具合で、三三七拍子とか、野球の相手チームの攻撃が凡打に終わったときの応援、ピッピピ、ピのピッピッとかに聞えたりする。

さらにどんどこ行くと、こぶし大のトンがった石がゴロゴロしている路面に変わる。前方に、営林署のパトロールとおぼしき三菱「パジェロ ミニ」が道の真ん中を塞いでいる。どうやらパンクしたらしい。私にとっては幸いなことに、彼らはちょうど作業を終えたところで、すぐに路肩に寄ってくれた。

このあとからである。パンクはせぬか、という不安が押し寄せてきたのは。山の中はただダートの道があるだけで、だれともすれ違わない。万沢林道ひとりぼっちである。パンクしたらひとりで交換しなければならない。営林署のパトロールはふたり組であった。林道なんて来なければよかった。とはいえ、引き返すには半分近く来ている。3分の1だったかもしれない。たとえ3分の1だったとしても、引き返していたら、その分、ゴールは遠くなる。

前に進むしかない。時速20km以下で、慎重に走る。万沢林道の21kmは修行といってもよかった。4×4専門ブランドだって、こんな過酷な試練は課さないのではあるまいか。

私はみずからの運とパサート オールトラックの走破力を信じ、ひたすら出口を目指した。4MOTIONは、フルタイム4WDではあるけれど、電子制御の多板クラッチ式を使うスタンバイ4WDで、状況に応じて前後のトルク配分を100:0から50:50の範囲で、最適に制御する。風雨で倒れたりした細い枝とかが転がっていたりする路面もあった。たかが30mm、されど30mm。パサート・オールトラックは160mmの最低地上高でもって、これら障害物にゴチンと当たることなくクリアしていく。

オフロードにおいては、ドライビング・プロファイルをオフロード・モードにしておくと安心感が高い。30km/h以下の下り坂では「ヒルディセントアシスト」がブレーキを自動制御して減速してくれる。アクセル・ペダルの特性が低速域での緻密なコントロールを可能にすべく、私の観察よると、入力に対して鈍くなる。アクセル・ペダルをガバチョと踏み込んでも、エンジン回転がビュンと吹け上がったりしない。これまた安心である。

万沢林道を1時間以上かけて抜け出したときは嬉しかったなぁ。一般道をしばらく走ったのち、関越自動車道に渋川伊香保ICから入った。

2.0リッター直列4気筒のコモンレール式ディーゼル・ターボは最高出力190ps /3500~4000rpm、最大トルク400Nm/1900~3300rpmを発揮する。車重は1680kgで、このサイズの4WD、しかもディーゼル搭載車としては妥当なところだ。

高速巡航が静かなタイプではない。出力、トルクの発生回転からも推しはかれるように、ディーゼルとしては高回転型で、中低速トルクが痩せているように感じる。「DSG」と呼ばれる6速のデュアル・クラッチ・トランスミッションのギアリングもあってだろう、1000rpmちょっとで巡航していることが多い。そこからアクセルを踏み込むと、2000rpmまでさしたるトルクを生み出さない。2000rpmを超えたところから、俄然、大きなトルクを噴出させる。

ディーゼルなのに、ガソリンのドッカン・ターボみたいな味わいが、ちょっとある。メリハリのはっきりした、まわりたがるディーゼルなのだ。うるさいのがタマにキズではあるけれど、燃費はたいしたものだった。

今回1泊2日で、品川にあるVGJから北軽井沢のキャンプ場まで行き、帰りに万沢林道に寄ってVGJに戻った。オドメーターは523.2km、燃費計は14.3km/リッターを指している。走行可能距離は440km。タンク容量66リッターの燃料計の針は半分よりちょっと少なめの位置を指している。いまさらながら、ガソリン・エンジンだと、こうはいかない。

キャンプに行くのにパサート・オールトラックはピッタンコだった。長距離が大得意なのだ。比較的大きなクルマで、大きなクルマに乗っている安心感がある。高速巡航のとき、風切り音はちょっと大きい。静かすぎないところが親しみを感じさせる、ともいえる。隣のひとと大きな声で話している下町の雰囲気もある。

もっとも、1980年代のフォルクスワーゲン・ゴルフと較べれば、たいへん静かである。だけど、あの頃のゴルフに通じる、なんとなく庶民的な印象を受けることもまた確かである。

最低地上高が160mmと、この種のクロスオーバーとしては低めなことは間違いない。アウディ「A4 オールロード クワトロ」だって、170mmあるし、スバルの「レガシィ アウトバック」なんて200mmもとってある。

だけれど、前述したように万沢林道の走破には十分だったし、最低地上高を欲張らなかったおかげで腰高な印象がない。高速巡航をふつうのパサートのようにこなす。二兎を追って、オン、オフの二兎を得ている。燃費がよくて、荷物もいっぱい積める。三兎も四兎も得ている。

「ピープルズ・カー」という親しみやすいブランドだから、ガンガン乗り倒すことに後ろめたさを感じない。そこもイイ。むしろ、それこそ本来の使い方だ。ホントにキャンプにピッタンコなのだ、繰り返しになるけど。

北軽井沢のキャンプ場はサイコーだった。私たちはテントではなくてバンガローに泊まったのだけれど、6月だというのに夜はちょっと冷え込んだ。薪ストーブがあって、使い方を教わってから薪をくべた。薪にうまく火がつくと、たちどころに部屋が暖かくなった。炎が暖かい気持ちにさせてくれる。

薪ストーブっていいなぁ。きらびやかな贅沢ではないけれど、そう、しみじみ思った北軽井沢の夜だった。

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