昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。
デビュー以来半世紀以上、今なおコイツを超えるクルマは現れていない!!
トヨタ2000GT:昭和42年(1967年)5月発売
「トヨタ2000GTの血統を継ぐ3000GT」(先代スープラ)、「トヨタ2000GTの再来」「トヨタ2000GT以来の6気筒DOHCをしめすDOHC-6のエンブレム」(ソアラ)…。
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いずれもトヨタの高級GTのデビュー時のコピーの一節である。流れるように美しいスタイリングと最高速220km/h、ゼロヨン加速15.9秒の高性能、そして当時としては最高級の豪華な内外装備を身につけた高性能スポーツカー。
トヨタ2000GTの魅力は、それを知る人びとによって今でも熱っぽく語り継がれているが、当のメーカー自身のトヨタ2000GTに対する思い入れも前出のコピーからヒシヒシと伝わってくる。事実、国産スポーツカーの歴史を語るとき、外すことのできない名車のひとつがトヨタ2000GTであることは誰しも認めるところである。
トヨタが市街地や高速道路走行も可能な本格的な高性能スポーツカーの開発を決めたのは、1963年(昭和38年)5月の第1回日本GPの直後だったといわれる。
開発に着手したのは翌1964年5月で、当時のトヨタは66年から68年にかけて、カローラ、センチュリー、スプリンター、コロナ・マークIIというニューモデルの相次ぐ発売の計画を進めており、生産余力もなかったところから、エンジンのチューニングや試作・生産はヤマハ発動機に委託、トヨタ・ヤマハの共同開発の形をとった。設計やエンジンほかの主要部品の供給はトヨタの担当である。
試作1号車の完成は1965年(昭和40年)8月で、その年の10月の第12回東京モーターショーに美しい2シーター・ファストバックのトヨタ2000GTプロトタイプが姿を現わしている。
ショーでの人気をさらったトヨタ2000GTはその後も入念な走行テストを繰り返し、1966年5月の第3回日本GPではプロトタイプ・レーシングカーのプリンスR380に1位、2位は奪われたが、無給油で3位に入賞。6月の鈴鹿1000kmレースには2台が出場して総合1位、2位を占めた。
さらに10月には谷田部の高速試験場で高速耐久スピードトライアルに挑戦、昼夜ぶっ通しの78時間連続走行で3つの世界新記録と13のクラス別国際新記録を樹立し、このクルマの高速耐久性を実証した。
ショーのデビューから約1年半後、ファンをヤキモキさせたトヨタ2000GTの市販は1967年(昭和42年)5月から開始された。ロングノーズ・ファストバックのボディスタイルはショーに展示されたままだったが、センターロックのワイヤーホイールは、市販車ではマグネシウムホイールに改められていたほか、細部で多少の変更も行われていた。
エンジンはクラウン用の新エンジン、M型をベースにヤマハがチューニングし、DOHCとした3M型を搭載した。3M型は直列6気筒、ソレックス3連キャブ、DOHC、1988ccで、最高出力は150ps/6600rpm、最大トルクは18.0kgm/5000rpmを発生した。
足まわりはサスペンションが前後ともダブルウイッシュボーン/コイルの4輪独立懸架で、ブレーキは4輪ディスクを採用した。現在は珍しくない4輪ディスクブレーキだが、当時は国産車としては初めてであった。国産初といえばリトラクタブル・ヘッドランプもトヨタ2000GTが先べんをつけた装備である。
ローズウッドの1枚板のダッシュボードやレザー張りバケットシートなど、内装の豪華さも当時のトップレベルで「すべて純国産」も自慢のひとつであった。
しかし「ハイグレードな車づくり」による高価格も響いて、1970年(昭和45年)8月の生産打ち切りまで3年3カ月の生産累計はわずか337台。
すべてのパーツのひとつ一つを銭単位(円単位ではなく)でコスト計算して生産されるが、2000GTほどコストを無視して作られた例はない。トヨタの技術を世に知らしめる目的があればこそ、歴史に名を残せたのだ。
トヨタ2000GT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4175×1600×1160mm
●ホイールベース:2330mm
●重量:1120kg
●エンジン型式・種類:3M型・直6・DOHC
●排気量:1988cc
●最高出力:150ps/6600rpm
●最大トルク:18.0kgm/5000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:165HR15
●価格:238万5000円
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