旋回性能の向上に期待できる
真っ白なタイヤスモークを上げながら横滑りしてカーブを曲がる競技、ドリフト走行。そんな車両のイメージといえば、フロントタイヤが“ハの字”になっていることを思い浮かべるだろう。いわゆる「ネガティブキャンバー」である。見た目の迫力アップが目的じゃないだろうし、偏摩耗のリスクを背負いながらもキャンバーを付ける理由とは?
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走りの性能を上げるためタイヤにキャンバーを付けるのは、なにもドリフト車両に限った話じゃない。車高を下げたサーキット仕様であれば、大なり小なりキャンバーはネガティブ、つまり車両をフロント正面から見て”タイヤがハの字”になっているはずだ。
見た目のドッシリ感が得られるため、ドレスアップ車両にも採用されるネガティブキャンバー。ドリフト車両において、採用する最大の理由はコーナリング性能を高めるためだ。
コーナーでは車体が左右にロールし、タイヤの接地面積が直進のときよりも少なくなり、結果的にグリップをフルに発揮できなくなる。足まわりの形式や好みにもよるが、キャンバー角は一般的なスポーツ走行では2~3度がスタンダード。昔は5度を超えるようなケースもあったが、タイヤの性能向上を受けてセッティングも変わり、極端なキャンバーが必要なくなってきた。
タイヤの偏磨耗や直進安定性の悪化、さらにハブベアリングなどの負担も大きく、走りの面ではコーナリングとのバランスを取る必要もあるわけだ。
しかし、走行中の大半が横を向いているドリフト車両は、バランスは当然ながらコーナリングに傾く。コーナー手前から車体を横に向けて進入するし、コースによってはストレート区間でもドリフトをする。そのためキャンバーは必然的に大きくなるといえるだろう。
またリアタイヤをスライドしなければドリフトにならないが、フロントのグリップを失えばマシンをコントロールできず、スピンやコースアウトする可能性が高まってしまう。つまり、軸となるフロントタイヤのグリップが非常に重要なのだ。ただし足まわりのセッティングは走り方やコース、タイヤなどの要因により千差万別。ドリフト車両のキャンバーが一般的なグリップ車両より必ずしも大きい、というワケではない。
では、実際のドリフト車両は、どんな方法でキャンバーを付けているのか。車高を落とせば一定のキャンバーは付くが、当然ながらそれだけじゃ足りない。代表的なチューニングパーツとして知られているのは、調整式アッパーマウント/キャンバーボルト/調整式アッパーアームなど。新旧を問わずドリフトのベースとして人気の車種なら、これらのアイテムはほぼ間違いなくラインナップされているはずだ。
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