■事故を減らすために何が必要か?
高齢ドライバーによる重大な交通事故が全国各地で相次いで発生しています。その度にテレビなどのマスコミで大きく報道され、今後の対策について専門家やコメンテイターが議論するシーンをよく見かけます。 こうした議論をまとめてみると、対策として大きくふたつの方向性があると思います。ひとつは、クルマ側の安全機能を高性能化させること。もうひとつは、免許制度などドライバー側の問題です。それぞれ、どのような対策が進められているのでしょうか。
軽こそ安全なクルマを! 国が推奨する安全運転サポート車の軽自動車5選
クルマの機能については、国が進める「サポカー」(安全運転サポートカー)の普及が必要です。高齢ドライバー事故の報道でよく耳にする「原因はアクセルとブレーキの踏み間違い」というフレーズがありますが、これに対してドライバーのミスをクルマ側が察して、事故を未然に防ぐという考え方です。
サポカーは、クルマに搭載されたカメラやレーザーなどのセンサーが周囲の状況を捉えて、障害物や急接近してくるクルマなどがある場合に、ドライバーに警告をおこないます。
それでもドライバーが危険回避の行動を起こさなければ、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などを強制的に作動させます。
また停止中、前方に障害物がある状況でアクセルを強く踏んでも、一時的にエンジンの回転数を低く抑えるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置が、軽自動車を含めて普及が進んでいます。
こうしたサポカーの購入に対して、東京都檜原村などの地方自治体では購入費用の一部を補助する制度を始めています。
また、高度な運転支援システムを搭載していない年代のクルマに対しては、すでにトヨタとダイハツがアクセルとブレーキの踏み間違いに対応した後付け機器を発売しています。
今後、自動車メーカー各社で後付け機器の販売が開始される見込みです。また、後付け機器の購入補助について、東京都の小池百合子知事は2019年6月4日、都議会定例会の所信表明のなかで「(都として)早期の実施を検討している」と話しました。
■認知機能検査だけでは不十分
高齢ドライバー事故への対策で、もうひとつの観点となるのがドライバー側の問題です。
最近でもっとも大きな動きは、2017年3月に道路交通法が改正されて実施されることになった、高齢者講習の大幅な見直しです。
高齢者講習は、70歳以上のドライバーが3年毎の免許更新時に受講するもので、75歳以上では臨時認知機能検査がおこなわれる場合があるなど、事故の発生事案が多い75歳以上を重視した対策が始まりました。
ただし、この認知機能検査とは、けっして認知症を検査することではありません。運転は、認知、判断、操作という3つのステップでおこないますが、そのなかの認知の機能について検査する、という意味です。
また、「認知症とクルマの運転の関係性は医学的に証明されていない」というのが、認知症の研究にかかる各種学会の見解です。
一方、高齢者講習のなかでは、教習所や免許試験場などを使った実技講習があります。
その模様は、テレビのニュース番組で取り上げられることがよくありますが、クランクコーナーで脱輪や一時停止無視など、高齢ドライバーの運転技量の低さに目を覆いたくなったと感じた視聴者が多いのではないでしょうか。
実際に、筆者(桃田健史)は全国各地で高齢者講習の実技講習の現場を見たことがありますが、参加した高齢者が講習会場まで自走してきたクルマの多くで、ボディ各所に壁などと接触したと思われる傷が目立ちました。
国は、高齢者講習の目的について「加齢に伴う身体機能の低下と、その運転への影響を受講者一人ひとりに自覚してもらうこと」と説明しています。言い換えてみれば、加齢に伴って運転の技量がある程度低下しても致し方ない、と解釈できます。
とはいえ認知機能が低下していなくても、加齢による身体機能の低下が原因とみられる高齢ドライバーの重大事故が発生しているのですから、あまりにも運転技量が低下している場合は運転免許の停止や、または取り消しについて考慮するべきではないでしょうか。
そもそも、運転免許とは国家試験に合格した人に与えられる運転許可証です。免許取得後、運転の技量が合格基準を大きく下回るのであれば、国は運転の許可を取り消す判断を下すべきではないでしょうか。
とはいえ「免許がなくなったら、日頃の生活に大きな支障が出る」という高齢者が多いと思います。しかし運転の技量と、国や地方自治体による生活の保障は別の問題です。
高齢ドライバー事故への対策では、免許返納後の地域の交通手段などについても議論されることがあります。その際も、運転免許を維持するための技量とは、完全に切り離して議論するべきだと考えます。
または、運転を継続する条件として、夜間走行せず日中走行のみ、単独で走行せず家族や知り合いなどが同乗するときのみ、といった限定条件を設けた免許制度も考えられます。こうした高齢ドライバーの限定免許に関しては、すでに国の有識者会議で議論が始まっています。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
ホンダが「新型SUV」発表! トヨタ「ハリアー」サイズの「“クーペ”ボディ」採用! 斬新デザインがカッコイイ「e:NS2」中国で予約受付開始へ
「ランクル250販売前線」悲喜こもごも?? 意外に多い「辞退客」とは? ディーラーごとに対応は千差万別だった
マツダのETC取り付け位置に唖然……色々あってフツーの場所なったけど戻した方がよくね??
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?