大日本印刷(以下:DNP)は、2枚の粘着テープを貼り合せることで硬化反応を起こして、金属やプラスチックなどの異なる素材を接着させる「DNP粘接着フィルム」の新タイプを開発した。
DNPと言えば、出版業界にとっては「印刷会社」なのだが、同社はさまざま技術開発を行なっている。自動車関連では、セルロースナノファイバーなどの開発にも積極的だ。今回は新しい接合技術を発表した。
近年、車体を軽量化させて環境負荷を軽減したいといったニーズが強まっており、従来の金属素材の一部を、プラスチックや炭素繊維などの素材で代替する材料置換が増えている。金属素材とプラスチックが接合された複合部材を得る方法として、金属素材に溶融したプラスチックを押し出して成形する方法や、金属素材とプラスチックを接着剤や粘着テープによって接着する方法が使用されている。その際に使う、2つの液体を配合する液状接着剤には、2つの液体を正確な割合で配合する必要があることや、反応が完了するまでに液ダレや液のはみ出しが起きるといった課題があった。また、粘着テープを使用する場合は、時間の経過によって変形することがあり(クリープ耐性が低い)、熱で機能が損なわれる(耐熱性が低い)といった課題もあった。
こうした課題に対してDNPは、2枚の粘着テープを貼り合せることで硬化反応を起こし、施工後に室温で約1日置くことで実用強度の接着力を発揮する「DNP粘接着フィルム」の新タイプを開発した。
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「DNP粘接着フィルム」の新タイプの概要
〇異なる成分をコーティングした2枚の粘着テープを貼り合せることで硬化反応を起こし、異素材の接着作業を行なった後、室温で約1日置くことで、実用強度の接着力を発揮する。
〇液体ではないため、液状接着剤使用時のような液ダレや液のはみ出しなどが発生しない。
〇2枚の粘着テープにはそれぞれ適切な量の成分が塗布されているため、貼り合わせるだけで最適な配合を行なえる。液状接着剤で発生する配合の割合の管理や配合ミスを防止できる。
〇テープ状のため、部材の位置ズレなども抑制しやすく、作業効率が向上する。
〇プラスチックや炭素繊維と金属などの異素材を強固に接合することが可能。
〇強度と耐久性が要求される構造用接着剤としても使用可能なレベルの耐熱性やクリープ耐性(経時変化が少ない)、せん断への耐性(接着面の強接着力)を発揮する。
〇2枚の粘着テープは、ともに長期保管(23℃で6ヵ月)が可能。
DNPは、プラスチックや炭素繊維、繊維、金属、などの異素材を接合したいというニーズが高いモビリティ用部材、建築用部材、電子部品などに本製品を販売し、2022年度に年間で10億円の売上を目指す。
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