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地上最強が日本上陸! アメリカ大統領の専用車「ビースト」とはどんなクルマ?

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地上最強が日本上陸! アメリカ大統領の専用車「ビースト」とはどんなクルマ?

■アメリカの大統領専用車は大統領と共に世界各国を移動

 令和初の国賓として来日したアメリカ合衆国のトランプ大統領。2019年5月25日から28日まで日本に滞在し、安倍総理大臣とともにゴルフや大相撲観戦を楽しみました。

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 移動時の際、大名行列となっている様子がテレビなどで取り上げられていましたが、注目の的は、地球上で最強の自動車ともいわれるアメリカ大統領専用車のビーストです。

 2018年9月に発表された最新モデルでの日本上陸は初となりますが、どのようなクルマなのでしょうか。

 大統領専用車は、大統領が世界各国を移動する際に輸送機に載せて一緒に移動しています。一緒ではありますが同時ではありません。例えば、羽田空港に大統領専用機「エアフォースワン」が到着する場合、専用機が到着して大統領がすぐにクルマで移動できるよう、数時間前に到着してスタンバイしているのです。

 帰りも同様で、トランプ大統領は5月28日お昼頃に日本を離れましたが、ビーストなどの車両一式を載せた輸送機は数時間後の夕方に飛び立っています。

 ビーストの愛称は、2009年に使用が開始された「キャデラック DTS」顔の大統領専用車をその重装甲の度合いから地球上で最強の自動車という意味を込めて、大統領シークレット・サービスでは「The Beast」と愛称で呼ぶようになり、それが一般に広まったとされています。

 トランプ大統領のビーストは、オバマ大統領時代のビーストに17億円をかけてさらなるセキュリティ強化を施しています。

 ベースとなるシャシーはセダンのものではなく、オバマ前大統領などに使用されていた前モデル同様、GM社のGMCトップキック(シボレー・コディアック)のシャシーにキャデラックのボディを載せています。(GMCトップキックシリーズはGM社の破産で2009年に生産を中止)

 各種の装甲や防弾・耐爆仕様とした結果、車両重量は2万ポンド(約9トン)にもなります。9トンといえば、コンパクトカー約9台分に匹敵する重量となるため、最高速度は100km/h前後、燃費は2km/Lから3km/L以下とされています。

 ガラスは多層の防弾仕様となっており、最も分厚い部分では厚さ約13cm。なお、こんなに分厚いガラスのため当然開閉することはできず、運転席の窓だけが3インチ(約7.6cm)程度開くようです。

 ドアにも各種の装甲が施されその厚みは20cm以上。重量はトランプ大統領が愛用するプライベートジェット、ボーイング757ジェット機のドアと同レベルの重さがあるそうです。

■地球上で最強の自動車「ビースト」の中身とは?

 外見だけでもインパクトが大きいビーストですが、中身にもさまざまな装備を備えています。大統領の安全を守るためにはあらゆる手段の攻撃を防げなければなりません。公表されている主な装備は以下の通りです。

・外敵の侵入を防ぐため、ドアハンドルに電気ショックや催涙ガスなど採用

・万が一の救急医療体制も万全。各種医療用品をはじめ、車内の冷蔵庫には大統領が負傷した際に使用される輸血用血液が大量に保管されている

・生物兵器や化学的攻撃を受けた場合でも車内の空気は完全に独立して清浄な空気で満たされており、外界とは完全に遮断される。

・防弾ガラスと装甲で強化されたボディは「携行式ロケット弾」の攻撃にも耐えられる

・タイヤはケブラー繊維が使用されたランフラットを装着しているが、タイヤが吹き飛ばされた場合でもリムだけで走行可能

・直接、銃で攻撃されても爆発しないよう燃料タンクは、フォームシールにより完全密封

・車体下も当然、耐爆処理が施されており手榴弾やIED(即席爆発装置)などから守られる

・夜間視界カメラがクルマの前部に隠されており、ヘッドライトが使用不能に陥っても夜間の走行が可能。さらにここには催涙弾の発射機がある

・車両後部には追っ手をまくための煙幕発生装置も備わる

・大統領席には、副大統領とペンタゴン(米国防総省)につながる衛星電話が備わっている

 2017年11月にトランプ大統領が来日した際、2台のビーストには同じ番号の外交ナンバープレート(青字に白文字)が装着されていました。

 これは、常にビーストが2台で移動するルールと同様、どちらに大統領が乗っているかわからないようにするためのカモフラージュとされています。日本だけではなく、他国を外遊する場合も同様です。

 ちなみに、外ナンバーの最初の2-3桁は国番号で、アメリカには「82」「83」「84」「87」の4種の国番号が割り当てられており、外交ナンバーとして外務省が発行する際は前後1枚ずつを1セットとし、2台のビーストにはそれぞれ前後が異なるナンバープレートが装着されているのです。

 前後で違うナンバーや、2台の大統領専用車が前後それぞれ同じナンバープレートを付けている法的な問題については、ウィーン条約にて認められている外交上の権利なので問題になることはありません。

 なお、2019年6月28日から29日にインテックス大阪で開催されるG20では各国の首脳に加え、招待国の首脳など合計37の国や国際機関が参加するため、外交ナンバーを付けたさまざまな外交用車両がお目見えする予定です。

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