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売り方が下手?? ライバルが強烈すぎる??? 名車ステップワゴンが苦戦の理由

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売り方が下手?? ライバルが強烈すぎる??? 名車ステップワゴンが苦戦の理由

 ホンダステップワゴンが最近どうも寂しい。クルマの完成度は高いようにも思う。

 しかしライバルのセレナ、ノア3兄弟と比べて、かつては拮抗していたのにステップワゴンが一段も二段も苦戦するようになってしまった。

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【2019年3月販売台数】
・ ノア/ヴォクシー/エスクァイア合計台数 2万3134台
・セレナ 1万2420台
・ステップワゴン 6827台

 なぜそのようなことになったのか? 1.5Lダウンサイジングターボが失敗したなど多くの要因が考えられる。

 しかしどうやら根本の原因はホンダのマーケティングの方向性も影響しているという。

 ステップワゴンが苦戦している理由を分析しました。

文:鈴木直也/写真:ホンダ、編集部

■ホンダのチャレンジングスピリットは称賛したいが……

 いわゆる5ナンバーミニバンは国内市場最大の激戦区だが、どうもステップワゴンの旗色が悪い。

 2018年暦年の累計販売台数でいうと、トップがセレナの99865台に対して、ヴォクシー90759台、ステップワゴン56872台、ノア56719台という序列。

現行ステップワゴンはいわゆるスパーダ顔のシャッキリしたフェイスが人気だ。ルックスもライバルと比較しても遜色ないと思うのだが……

 対前年度比でいうと、セレナ118.3%、ヴォクシー102.3%、ステップワゴン122.4%、ノア101.1%となっている。

 ステップワゴンの伸びがいちばん大きいが、これは2017年が販売台数46475台、前年比88.5%と低迷した反動。

 現行モデルは2015年のデビューだが、最初からずっと販売が低迷しているのだ。

ガソリングレードの一部を担うノーマルフェイス。柔和な雰囲気だが現在ではレンタカーなどで多く遭遇する

 現行のデビュー時、ぼくは新しい1.5Lダウンサイズターボエンジンや、ユニークな“わくわくゲート”など、ホンダのチャレンジ精神を高く評価した。

 試乗した印象も良かったから、じつをいうと「これはイケるかも?」とヒットを予想していた。

 ところが、フタを開けてみれば市場の反応は前述のとおり低調なもの。恥ずかしながら、ぼくの予想はまったく当たらなかったと言わざるを得ない。

 当初、この販売不調はターボのせいではないか、という説があった。

 現行型がデビューした2015年当時、このセグメントはNAの2Lエンジンが主流。

わくわくゲートなどホンダらしい装備は「これは売れるかも!!」となんとなく感じたものだが……

 そこに国産ではまだ珍しい1.5Lダウンサイズターボをぶつけてきたのがステップワゴンのウリだったのだが、それがイメージ的に逆効果だったというのだ。

 ベストカー本誌でもテストしているのだが、ステップワゴンの実燃費はライバルのNAの2Lと同等か高速ではそれを凌ぐレベル。

 ところが、クルマ知識の薄いミニバンの購買層には「ターボ=燃費が悪い」という古い固定観念が残っていて、それが敬遠されたという理屈だ。

 そういわれてみると、ベストセラーのセレナはスターター・ジェネレーター利用の簡易型エネルギー回生を“Sハイブリッド”と銘打ってラインナップ。

「ハイブリッド=燃費が良い」という一般ユーザーの常識をうまく利用している。また、ノア・ヴォクシーには価格は50万円近く高いが本格的なハイブリッド仕様がある。

 燃費性能はミニバン購買層が気にする唯一の性能指標といわれているが、ここでイメージ的に損をしているのがステップワゴンがスタートで躓いた理由。

 仮説の域を出ないにしろ、もっともらしいですよね。

ハイブリッドの追加で足回りなどを一新したステップワゴン。その走りはこのクラスとしてはかなりの完成度だ

 これに対するホンダの対応は2017年マイチェンでのi-MMDハイブリッド仕様追加になるが、ノア・ヴォクと同様に本格ハイブリッドはどうしても価格が50万円近く高くなる。

 ステップワゴンハイブリッドは、パワートレーン以外にもボディ周りの補強やサスペンションセッティングの見直しなど、クルマ全体がそうとう良くなった感があるのだが、大勢を変えるほどのヒットとはなり得ず現在に至っている。

■広告戦略で地盤を築いたセレナの躍進

 いっぽう、このクラスのベストセラー首位をキープするセレナは、現行モデルのデビュー時には“プロパイロット”で話題を呼ぶなど、マーケティング戦略が巧み。

 今でこそ公式には「高速道路 同一車線自動運転技術」と控えめだが、初期のCMでは「自動運転」というフレーズを連発。

 一般ユーザーをミスリードしていると批判覚悟の危うい宣伝戦略でブレークを果たしている。

プロパイロットやe-POWERなどは非常に便利な装備だったが、特に「自動運転」を全面に出したPRには批判も相次いだ

 さらにセレナはe-POWERでトヨタとは違う方向でハイブリッドをブランド化することにも成功。

 ステップワゴンやノア・ヴォクのハイブリッドより若干割安な価格設定もあって、いまやセレナの中では売れ筋グレードとなっているのは皆さんご存知のとおりだ。

 こういった事情を振り返ってみると、ステップワゴンの販売が不振なのはクルマそのものの商品力が弱いというより、国内営業の売り方に問題があるのではないかという気がしてくる。

 最近のホンダの国内営業方針は、価格勝負の厳しい戦いから逃げている印象が強く、結果として車種構成が高価格帯に偏りがち。

 クラリティPHEV、インサイト、CR-Vなど、みんな「もうちょっとお買い得グレードがあっても良いのでは?」と批判されている。

価格設定など最近のホンダ車は少し市場とのギャップを感じてしまうのだが……

 もちろんステップワゴンはそんな殿様商売が許されるセグメントではないのだが、もっと徹底的にコスパの良いグレードを用意したほうが良いのでは? という疑問は残るのだ。

 たとえば、ご自慢の“わくわくゲート”にしても、要らない人には要らない装備。

 1.5ターボ最廉価版にノーマルリアゲート仕様が用意されているが、たとえば上級グレードにもこれを用意して価格を引き下げることを考えてもいいはず。

 5ナンバーミニバンというセグメントは、こういう泥臭い営業努力を積み重ねていかないと、なかなかユーザーの支持を得られない激戦区。

 最近のホンダ国内営業は、なんとなくえーカッコしぃでそれを避けてるような印象があるんですよねぇ…。

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