360モデナを購入してから、いくつかの出会いがあった。ひとりは講談社の人で、いまではボクの愛読書になった『フェラーリ・メカニカル・バイブル』(講談社)を、「参考になれば」と、わざわざ送ってきてくれた人である。
まだ、お会いできていないが、「いずれ、ツーリングに行きましょう!」と、誘いも受けている。聞けば、その人もフェラーリを所有しているそうだ。
29歳、フェラーリを買う──Vol.9 フェラーリの洗車事情
もうひとりは、西麻布のガソリン・スタンドで知り合ったTさんだ。ロールス・ロイスの「ファントム」で来店していたTさんは、洗車中の360モデナをしばらく見ていたので、おもいきって声をかけた。
すると、「綺麗なモデナですね」と、褒められた。Tさんもフェラーリを所有しているという。しばらくふたりで、フェラーリ談義に花を咲かせた。そして、別れ際、「今後ともよろしくお願いします」と、名刺まで交換した。
このように、見ず知らずの人に声をかけられる機会が圧倒的に増えた。フェラーリ購入以前は、そんなこと1度もなかったから驚きである。
ちなみに、ボクはオーナーズクラブの類に所属しているわけでもないし、週末、クルマ好きが集まる場所……たとえば首都高の辰巳パーキングエリアや大黒パーキングエリアといった場所に出かけるわけでもない。普段通りの生活を送っているなかでの出会いである。
フェラーリについて知識をほとんど有さないボクにとっては、先輩の経験談やアドバイスは大いに参考になる。やはり、生の話ほど信用度の高いものはない。
先日、取材したフェラーリのオーナーズクラブ「フェラーリ・オーナーズ・クラブ(FOCJ)」のイベント「FOCJ フェラーリ ブランチ」でも、驚くべき生の声をいくつも聞けた。
当日は、全国津々浦々から179台のフェラーリが、静岡県・御殿場市にある「ミュゼオ御殿場」に集結。最新の「488」から貴重な「F40」や「F50」、「365GTB4」までさまざまなモデルがあった。
せっかくなので何人かのオーナーに話を聞いた。東京から参加したある人は、現在、「308」と「GTC4ルッソ」を所有しているという。
とくに、308はファースト・フェラーリで20年以上所有しているとのこと。「大変なことはありましたか?」と、質問すると「えぇ、大変なことばかりでした」と、ひとこと。くわしく聞くと、エンジンから火を吹いたこともあったとか。しかも、原因は不明という(結果、エンジンは載せ替えた)。
「トラブルは頻繁に起こりましたが、はじめてのフェラーリなのでずっと所有しているんです」と、その溺愛ぶりに感激!
なお、かつてF1マチックの「F430」も所有していたという。新車から5年で約4万km近く走ったものの、故障はまったくなかったそうだ。しかも、「2万kmでの交換が一般的」と、噂されているF1マチックのクラッチ交換は、1度もしなかったという。
「360モデナ以降のフェラーリは、ほとんど故障はしないですよ」と、怯える筆者には、実に心強いコメントだった。
今度は、大阪から参加したSさんにも話を聞いた。普段はカリフォルニアに乗っているという。
「今のフェラーリはほとんど故障しませんよ」と、教えてくれた。が、以前所有していた360モデナについての話を聞くと「故障はありましたね」と、さっきとは異なる返答が。
F1マチックのクラッチについても「約4000kmで交換したこともありましたね」とのこと。「そんな短い距離で交換ですか……(汗)」と、ボクは焦る。
が、またしても、心強い言葉が! 「クラッチ残量を計測するテスターは、残量が40%あったとしても『10%』と表示する場合もあるようで、さほど正確ではないんです。だから、ニュートラルに入りづらくなったり、変速しなかったりと具体的な症状が起こったときに、クラッチを交換すれば大丈夫ですよ」。
あくまで、“個人的な意見”かもしれないが、フェラーリ未知数のボクにとっては重要な情報である。ただ、F1マチックのクラッチ交換に、これほどまで走行距離にひらきがあるのに驚いた。運転次第で大きく変わるようだから、今後も慎重な運転を心がけたい。
東北から参加したオーナーは「488スパイダー」を所有しているという。
「フェラーリはずっと憧れでしたので思い切って購入しました」とのこと。トラブルについて聞くと、「まったく故障はありません」。
ほかの人の話も総合すると、2000年代後半以降のフェラーリはほとんど壊れないようだ。トランスミッションも、新世代のフェラーリはDCT(ダブル・クラッチ・トランスミッション)を搭載するが、トラブルはまずないという。
「保証制度もしっかりしていますから不安はないですね」と、ボクとは対照的に気楽なフェラーリ・ライフを送っているのが羨ましい。
なお、今後欲しいフェラーリについて聞くと「古いフェラーリですね。たとえば328や355とか。ただし、維持費が嵩みそうなのがネックです」と、話す。ちなみに、「ほかにどんなクルマを所有していますか?」と、聞いたところ、ベントレーやメルセデス・ベンツ、BMWなどという。
錚々たる高級車を、複数台所有していれば、古いフェラーリの維持費なんぞ、さほど気にならないのでは? と、思った。が、気にするということは、やはりそれなりの費用を要するのだろう。
古いフェラーリを所有するには、相当な覚悟が必要であることにあらためて気付かされた。ボクの360モデナは328や355に比べれば新しいかもしれないが、それでも登場から約20年である。一般的に考えれば十分“古いクルマ”だ。
高級車を複数台所有する人ですら敬遠してしまう古いフェラーリを、勢いで購入してしまったなんて……自らの勇気に、もう笑うしかなかった。
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